ロシア軍新総司令官「非常に困難な状況 難しい決断排除せず」

ウクライナでは首都キーウなど、各地でロシア軍による攻撃が続き、発電所などインフラ施設の被害が深刻になっています。
一方、ロシアが支配し、一方的に併合したとする南部ヘルソン州の戦況について、ロシア軍の新たな総司令官は「非常に困難な状況にある」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢が強まっているという認識を示しました。

ウクライナの非常事態庁などは、今月7日から18日にかけて首都キーウを含む各地でロシア軍によるミサイルやドローンなどでの大規模な攻撃がおよそ190回あり、インフラ施設や集合住宅など多くの民間施設が被害を受けたと明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領は、今月10日以降、ウクライナ国内の発電所の30%が破壊されて大規模な停電が発生していると説明し、ロシア軍による攻撃を非難しました。

一方、東部と南部を中心に激しい戦闘が続いていると見られる中、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の新たな総司令官に、今月、任命されたスロビキン氏は18日、国営ロシアテレビのインタビューで、現状について「緊迫している」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢が強まっているという認識を示しました。

特に、ロシアが支配し、一方的に併合したとする南部ヘルソン州の戦況については「非常に困難な状況にある」としたうえで、「われわれは難しい決断を下すことも排除せず、迅速に行動する」と述べ、何らかの行動に踏み切ることも示唆しました。

またヘルソン州の親ロシア派のトップは18日、SNSに投稿したビデオ声明で、「ウクライナ側は大規模な攻勢に備えて戦力を増強している。戦場はわれわれの町や村になるかもしれない」と述べ、一部地域の住民の退避を決定したと明らかにしました。

さらに別の親ロシア派の幹部も声明を出し、「近くウクライナ軍がヘルソンへの攻撃を開始するだろう」と述べ、ウクライナ軍が中心都市ヘルソンの奪還に乗り出す可能性に触れたうえで、住民に対して、「できるだけ早く退避することを求める」と呼びかけました。

官房長官「民間人や民間施設への攻撃は国際法違反」

松野官房長官は、午前の記者会見で「民間人や民間施設への攻撃は、国際法違反であり、断じて正当化できず強く非難する。G7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていく」と述べました。

そのうえで、「冬の厳しい寒さが待ち受ける中、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施すべく、日々緊密なやり取りを行っており、おととい、松田駐ウクライナ大使がウクライナのエネルギー相と意見交換を行った。引き続き、ウクライナとの連帯を堅持し、ウクライナ政府と国民を支援していく」と述べました。