首都キーウで無人機による攻撃 4人死亡 イラン 武器供与を否定

ウクライナの首都キーウで17日、複数の爆発があり、これまでに4人が死亡し、ウクライナ政府はイランがロシアに供与した自爆型の無人機による攻撃だとして、ロシアとイランを非難しています。
ゼレンスキー大統領は「ロシアのテロリストの能力をなくすには最新の防空システムが必要だ」と述べ、改めて各国に武器の供与を求めました。

ウクライナの首都キーウでは17日、複数の爆発があり、これまでに4人の死亡が確認されました。

ウクライナのレズニコフ国防相は、ロシアがイランから供与された自爆型の無人機を使って攻撃したとして、ロシアとイランを厳しく非難し、各国に対し両国への圧力を強めるよう訴えました。

ゼレンスキー大統領も17日に公開した動画で「キーウではアパートが標的にされ、若い家族が殺された。今も無人機での新たな攻撃があり、撃墜したばかりだ」と述べ、ロシアによる攻撃が相次ぎ、市民が犠牲になっていると指摘しました。

そして「ロシアのテロリストの能力をなくすには、最新の防空システムが必要だ」と述べ、改めて各国に武器の供与を求めました。

一方、イラン外務省のキャンアニ報道官は17日「イランはウクライナとロシアの戦争でどちらの側にも立たないし、いずれに対しても、いかなる武器も供与していない」と述べ、ロシアへの武器の供与を否定しました。

そのうえで「何十億ドル分もの兵器などを戦争当事者の一方に供与してきた国々が、もう一方への供与を非難するのはブラックジョークだ」とし、逆にウクライナを軍事的に支援する欧米各国を非難しました。

ウクライナ イランへの抗議の動き広がる

ウクライナ政府は、ロシアがイランから供与された自爆型の無人機を攻撃に使ったとしていて、国内ではイランに対する抗議の動きが広がっています。

ウクライナ外務省は17日に発表した声明で、先週だけでもロシアが100機以上のイラン製の無人機を使って各地で住宅や発電所などを攻撃し、子どもを含む多数の死傷者が出たほか、エネルギー関連施設の3分の1が被害を受けたとしています。

そのうえで「ウクライナへの侵略戦争に武器を供与し市民を殺害することは、イランがロシアの侵略・戦争犯罪・テロ行為に共謀することになる」とし、いかなる兵器の供与も直ちに停止するよう、イラン政府に対して求めました。

またクレバ外相がEU=ヨーロッパ連合の加盟国の外相に対し、イランがロシアのテロ行為に加担したとして、イランに対し制裁を科すよう求めたことも明らかにしました。

一方、17日、キーウのイラン大使館前には市民が集まり「私たちを殺すのをやめて」と書かれたプラカードや、ウクライナ国旗を掲げて抗議をしたり、ろうそくに火をともして犠牲者を追悼したりしていました。

参加者の1人は「イランにはウクライナで民間人に犠牲が出ていることに目を向け、ロシアへの兵器の供与をやめてほしい」と訴えていました。

松野官房長官「国際法違反 断じて正当化できず強く非難」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ロシアの攻撃によりウクライナ各地で多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めている。民間人や民間施設への攻撃は国際法違反であり、断じて正当化できず強く非難した」と述べました。

そのうえで「わが国は、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていくとともに、引き続きウクライナとの連帯を堅持し、ウクライナ政府や国民を支援していく」と述べました。