ロシア 国立バレエ団が来日公演 軍事侵攻が続く中で反発の声も

ロシアの国立バレエ団の公演が17日夜、東京 新宿区で行われました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、政治と芸術は区別すべきという声がある一方、公演に反発する声も上がっています。

公演を行ったのは、ロシアの国立バレエ団「モイセーエフバレエ」です。

17日夜は、初日の公演が東京 新宿区で行われ、およそ80人のダンサーが民族舞踊とクラシックバレエを融合させた14の演目を披露しました。

主催した「ロシア文化フェスティバル日本組織委員会」によりますと、このバレエ団は主にロシア人のダンサーで構成され、新型コロナの影響で、おととし予定されていた公演が延期になったため、このタイミングでの来日となったということです。

1800席ある会場はほぼ満席となり、訪れた70歳の女性は「こういう状況で踊っているダンサーがいちばんつらいのではないか。ようこそと言える状況がいちばんいいので本当に早く戦争が終わってほしい」と話していました。

また、18歳の男子学生は「批判があることは察していたが、今、ロシアがやっていることと文化は違うものだと割り切って考えた」と話していました。
「ロシア文化フェスティバル日本組織委員会」の長塚英雄事務局長は「政治と芸術は分けて考えるべきだ。厳しい情勢のときだからこそ、文化芸術の交流が大事ではないかと思う。ロシアの文化と芸術は大変優れているので多くの国民に触れてほしい」と話していました。

“政治利用されている” 公演中止求める動きも

一方、この公演をめぐっては、ウクライナへの軍事侵攻が続いていることから、オンライン上で中止を求める署名の動きもありました。

署名は、川崎市に住むウクライナ人、ボグダン・スルシンスキさんが呼びかけ「文化を人間から切り離して考えることはできない。ウクライナの文化はロシアの侵攻で危機にひんしている。ロシアの芸術家が自由に演奏する機会がある間にウクライナの芸術家は爆弾シェルターに隠れている」として、公演の中止を求めています。

ボグダンさんは「戦争が続いているかぎり、ロシアの文化は政治利用されている。今からでもイベントをキャンセルしてほしい」と話していました。