【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナの議員団5人がロシア侵攻後初来日

ウクライナの議会にあたる最高会議の議員団5人は、15日午後、成田空港に到着しました。議員団が来日するのはことし2月にロシアが軍事侵攻を開始してから初めてです。

議員団の中にはかつて親ロシア派の武装勢力との戦闘を指揮した軍出身の議員や、経済の専門家なども含まれています。

一行は今月26日まで滞在し、国会議員や政府関係者、それに経済団体の関係者などと面会する予定で、ロシア軍による各地へのミサイル攻撃が続く中、日本側にロシアへのいっそうの圧力強化を求める考えです。

ロシア軍 各地でミサイル攻撃も今後は「当面行わない」考え

ロシア軍は15日もミサイルでウクライナ各地を攻撃し、被害が広がっています。キーウ州の知事はSNSで砲撃があったと述べたほか、南部ザポリージャ州の知事も10発のミサイル攻撃を受け、エネルギー関連施設などのインフラが破壊されたと述べました。

一方、ロシアのプーチン大統領は、14日、ロシアメディアなどに対する記者会見の中で報復だとしてロシア軍が行った大規模なミサイル攻撃は当面は行わないという考えを示しました。

米シンクタンク「ロシア軍がミサイル不足」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、「プーチン大統領はミサイルの保有数が減っていて長期にわたってミサイル攻撃を続けられないと分かった」としていてロシア軍がミサイル不足に陥っていることを裏付けていると指摘しました。

またイギリス国防省は15日の分析で、動員された人たちがウクライナへ送られているとしたうえで「個人の装備の平均レベルが、これまで派遣されていた貧弱な装備の部隊よりも低いことはほぼ間違いない」と指摘しました。そして動員された人たちは装備を自分で調達することを強いられているなどとしていて、こうした装備品などの不足がウクライナでの戦況での劣勢につながっている可能性があるとしています。

“ロシア軍の戦争犯罪4万233件に” ウクライナ検察当局

ウクライナの検察当局は、捜査の対象となっているロシア軍による戦争犯罪が、15日の時点で4万233件に上ると発表しました。

ウクライナ軍が奪還した地域ではロシア軍により殺害され、埋められたとみられる住民の遺体が多数見つかっています。

検察当局の発表によりますと、コスティン検事総長は14日、ヨーロッパの人権侵害を監視するヨーロッパ評議会との会合で、戦争犯罪を裁くための特別法廷の設置のほか、被害者に補償を行う枠組みの導入について協議したということです。

検事総長は自身のツイッターに「ロシアによる戦争犯罪の被害者の苦しみを世界は忘れてはならない」と投稿し、ロシアの関係者を追及していく姿勢を強調しました。

米 ウクライナに日本円で約1070億円相当の追加軍事支援へ

アメリカのバイデン政権は14日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して7億2500万ドル、日本円にしておよそ1070億円相当の追加の軍事支援を行うと発表しました。

具体的には高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われる追加のロケット弾や砲弾のほか、200台以上の軍用車両などが含まれるということです。

アメリカ国防総省によりますとロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカがウクライナに行った軍事支援は総額でおよそ176億ドル、日本円にしておよそ2兆6000億円にのぼります。

国防総省は声明で「アメリカはウクライナに前例のない安全保障支援を行っており、今後も同盟国などと協力してウクライナが必要とする支援を確実に受けられるようにしていく」としています。

ゼレンスキー大統領 “すべての領土奪還目指す”強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「祖国防衛者の日」にあたる14日、首都キーウで行われた記念の式典に出席し、ロシアによる軍事侵攻で命を落とした兵士の功績をたたえ、黙とうをささげました。

式典での演説でゼレンスキー大統領は、ロシア軍に立ち向かうウクライナの兵士や市民に謝意を示し「侵略者から北部を解放した。いま、東部全体を解放しようとしている。今後、南部のすべての都市にもウクライナの旗を取り戻し、クリミアを取り返し、領土の一体性を回復する」と述べ、改めて、すべての領土の奪還を目指す考えを強調しました。

ウクライナで「祖国防衛者の日」は、ソビエト時代からロシアと同じ2月23日に祝われてきました。

しかし、2014年に南部のクリミアがロシアに一方的に併合され対立が深まったことを受け、第2次世界大戦中にウクライナ独自の軍事組織が創設された日の10月14日に変更されています。

ノーベル平和賞のウクライナ団体 “ロシアの戦争犯罪を追及”

今月7日に、ことしのノーベル平和賞の受賞が決まったウクライナの人権団体「市民自由センター」が14日、首都キーウで記者会見を開きました。

この中で担当者が団体の調査結果を公表し、軍事侵攻したロシア軍に身柄を拘束され、不当な扱いを受けたウクライナの民間人はこれまでに少なくとも686人に上ると明らかにしました。

このうち、265人は解放されたものの、11人が死亡し、410人が拘束されたままだとしています。

会見には、ことし3月にウクライナ北部のチェルニヒウ州でロシア軍に拘束され、先月解放されたという女性も同席し、収容施設で毎日、ロシアの国歌を歌うよう強要されたことや、ウクライナ人の女性が髪を丸刈りにされ嫌がらせを受ける様子を目撃したことなどを語りました。

人権団体のオレクサンドラ・ロマンツォワ事務局長は「ロシアに不法に拘束された人たちは無条件で解放されなければならない。ロシアの戦争犯罪の犠牲となっている人たちの正義のために活動を続ける」と述べ、ロシアの戦争犯罪だとして追及していく考えを強調しました。

プーチン大統領 “ウクライナへのミサイル攻撃 当面行わない”

ロシアのプーチン大統領は、14日、訪問先のカザフスタンで、旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の首脳会議などに出席したあと、ロシアメディアなどに対して記者会見を行いました。

このなかで、プーチン大統領は、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアにつながる橋で起きた爆発への報復だとして、ロシア軍が行った大規模なミサイル攻撃について「少なくとも現時点では、さらなる大規模な攻撃は必要ない」と述べ、当面は行わないという考えを示しました。

一方、ウクライナへの軍事支援を続けているNATOについて「ロシア軍と直接、衝突する何らかの部隊が展開されたら、世界的な大惨事につながりかねない非常に危険な段階に入る。そのような分別のない行動に踏み切らないことを願っている」と主張し、強くけん制しました。

また記者から、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり「後悔していないか」と質問されたのに対し、プーチン大統領は「していない」と答えたうえで「はっきりさせたいのは、こんにち起きていることは非常に不愉快だが、いずれ同じことはやらざるを得なかっただろう」と述べ、改めて侵攻を正当化しました。

ウクライナ政府 “627の集落をロシア軍から奪還”

ウクライナ政府は13日、ウクライナ軍による反転攻勢の結果、これまでに東部と南部で合わせて627の集落をロシア軍から奪還したと発表し、戦果を強調しました。

発表によりますと、ウクライナ軍が解放した集落の数は、
▽東部のハルキウ州で502、
▽ドネツク州で43、
▽ルハンシク州で7、
そして
▽南部のヘルソン州でも75にのぼるということです。

このうちヘルソン州について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は13日、奪還を目指すウクライナ軍とロシア軍による激しい攻防が続いているとしたうえで、南部クリミアにつながる橋が爆発によって損傷したことで、ロシアからの物資と人員の輸送が滞っていると分析しています。

こうした中、ヘルソン州を支配する親ロシア派のトップは、ウクライナ軍からの反撃が強まっているとしたうえで、住民にロシア南部などへの事実上の退避を呼びかけています。

一方、イギリス国防省は14日、ドネツク州のウクライナ側の拠点の1つ、バフムトでは、ロシア側に前進があったとしたうえで、戦闘には正規のロシア軍ではなく、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の部隊が深く関わっている可能性があると指摘しています。

スウェーデン王立音楽アカデミー 指揮者のゲルギエフ氏を除名

スウェーデンの王立音楽アカデミーは、ロシア人で世界的に著名な指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏をロシアによるウクライナの軍事侵攻に反対の姿勢を示さなかったとして除名したと発表しました。

ゲルギエフ氏は、2011年からアカデミーのメンバーとなってきましたが、ゲルギエフ氏が軍事侵攻に反対の姿勢を示さなかったことを理由に、10日の会合で全会一致で除名を決めたということです。

アカデミーは、「スウェーデンには表現の自由があるが、この状況は特別だ。私たちは核で脅すような政権を明確に支持する人物と関連付けられるべきではなく、ゲルギエフ氏のように沈黙するつもりはない」とコメントしています。

ゲルギエフ氏は、ロシアのプーチン大統領の長年の友人として知られ、ことし2月、指揮をする予定だったウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演前日に交代が発表されたほか、3月にはドイツのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を解任されています。