コロナ治療薬「アビガン」開発中止 重症化抑える効果得られず

新型コロナウイルスの治療薬として承認申請が行われている「アビガン」について、富士フイルムは治験の結果、重症化を抑える効果が確認できなかったとして、コロナの治療薬としての開発を中止し、承認申請を取り下げると発表しました。

「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザの治療薬で、新型コロナにも効果が見込めるとして承認申請しましたが、厚生労働省の審議会は「有効性を明確に判断するのは困難だ」として、継続審議となっていました。

会社側は、去年4月から重症化リスクがある20歳以上の軽症のコロナ患者を対象に、新たな枠組みで治験を進めていましたが、集まった84人のデータを解析した結果、重症化を抑えるとする有意な結果は得られなかったということです。

この結果を受けて、会社側は新型コロナの治療薬としての開発を中止し、承認申請を取り下げると発表しました。

アビガンは、新型コロナの感染拡大が始まった当初、政府は、治療薬としての早期承認を目指すとしていたほか、新型コロナ用に備蓄も進めていました。

富士フイルムは「感染拡大の当初は新型コロナの治療薬の候補がなく、既存の薬を転用する形で開発が進んだが、病態の解明も進み役割を終えたと考えている。治験にご協力いただいた患者や医療従事者の皆様に感謝を申し上げます」とコメントしています。