プーチン大統領 旧ソビエト諸国などと首脳会談 連携を印象づけ

ウクライナ南部などでロシア軍の劣勢が伝えられる中、ロシアのプーチン大統領は、訪問先のカザフスタンで勢力圏とみなす旧ソビエト諸国などの首脳と会談を重ね、友好的な国々との連携を印象づけるねらいもあると見られます。

ウクライナでの戦況について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は13日、南部ヘルソン州では、奪還を目指すウクライナ軍とロシア軍による激しい攻防が続いているとしています。

そのうえで、南部クリミアにつながる橋が爆発によって損傷したことで、ロシアからのウクライナ南部への物資と人員の輸送が低下し続けていると分析するなど、ロシア軍の劣勢が伝えられています。

ヘルソン州を支配する親ロシア派のトップ、サリド氏は13日、ウクライナ軍からの反撃が強まっているとしたうえで、住民にロシア南部などへの事実上の退避を呼びかけています。

一方、イギリス国防省は14日、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点の1つ、バフムトで、ロシアの部隊に前進があったとしています。

ただ、正規のロシア軍がウクライナで掌握した地域はことし7月以降ほとんどなく、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の部隊が局地的に領土を掌握し、バフムトの戦闘にも「ワグネル」が深く関わっている可能性があると指摘しています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は、カザフスタンの首都アスタナを訪問していて、14日からは旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の首脳会議に出席しました。

この中で、プーチン大統領は「一部の国はナチスから人類を救ったソビエトの功績を記憶から消し去ろうとしている」と述べました。

そのうえで、第2次世界大戦の終結から80年となる2025年を「ナチズムとの戦いにおける平和と結束の年」にすることを提案し、ナチス・ドイツに打ち勝った歴史を守ろうと各国に結束を呼びかけました。

プーチン大統領は、13日にもトルコのエルドアン大統領など中東や、中央アジアなど、合わせて少なくとも6人の首脳と会談を重ねています。

ウクライナでロシア軍が劣勢となり、欧米との対立も深まる中、友好的な国々との連携を印象づけるとともに、勢力圏とみなす旧ソビエト諸国の引き締めを図るねらいもあると見られます。

プーチン大統領は、国際会議での一連の日程を終えた後、14日、記者会見を行うとみられ、発言が注目されます。

ウクライナ軍 “600以上の集落 ロシア軍から奪還”

ウクライナ政府は13日、ウクライナ軍がこれまでに東部と南部で600以上の集落をロシア軍から奪還したと発表し、戦果を強調しました。

それによりますと、ウクライナ軍は、これまでに東部では、ハルキウ州で502の集落を解放したほか、ドネツク州では43、ルハンシク州では7つの集落をそれぞれ解放したということです。

さらに、南部のヘルソン州でも75の集落を解放し、ロシア側から奪還した集落は東部と南部で合わせて627に上るとして戦果を強調しています。

ウクライナ政府は、こうした地域でガスや水道などの整備、食料や医薬品の調達などの支援を行っていて、業務を再開した銀行もあるということです。

ただ、復興には時間がかかり、インフラが整っていない地域や、地雷の除去が必要な集落からは解放されたにもかかわらず、市民が避難する動きが出ていて、ハルキウ州からは2万人以上がほかの地域へ避難しているということです。