コロナ専門家会合 観光で接触増に注意 インフル同時流行懸念

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は、すべての地域で減少が継続しているものの、連休や観光によって接触機会が増加することが、感染状況に与える影響に注意が必要だと指摘しました。

さらに、冬にかけてインフルエンザが例年より早く流行し、新型コロナとの同時流行が懸念されるとして、同時流行を想定した対応が求められるとしています。

専門家会合は、新型コロナの感染状況について、すべての地域で減少傾向が続き、大都市の短期的な予測などからは、緩やかな減少傾向か横ばいとなる可能性があるとしています。

気温の低下や雨が続いたことで、夜間の繁華街などの人出が各地で減ったことが、感染者数の減少に影響した可能性があると分析しています。

また、療養者や重症者、亡くなる人の数の減少も続いており、病床の使用率が低下するなど、医療体制については状況の改善が見られるとしています。

ただ、今後については、連休や観光によって接触機会が増加することが、感染状況に与える影響に注意する必要があるとしています。

また、過去2年の傾向から、この冬に新型コロナウイルスの流行が拡大し、季節性のインフルエンザが例年よりも早く流行したり、コロナと同時に流行したりすることが懸念されるとしたうえで、そうした事態を想定した対応が必要だとしています。

そのうえで専門家会合は、ワクチンについて、5歳から11歳の子どもについては初回の接種と追加の接種、生後6か月から4歳の子どもについては初回接種、それに、2回目までの接種を終えた12歳以上の人にオミクロン株対応ワクチンの接種を進めるとしていて、オミクロン株対応ワクチンについては「BA.1」対応と「BA.5」対応のいずれも従来型のワクチンを上回る効果が期待されるため、いずれか早く打てる方の接種を進めるとしています。

さらに、場面に応じた正しい不織布マスクの着用や換気を行うこと、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、症状があるときは外出を控えることといった、基本的な感染対策を続けるよう求めました。

新規感染者数 全国で減少傾向続く (11日までの1週間)

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、11日までの1週間の新規感染者数は、全国では、前の週と比べて0.73倍と減少傾向が続いています。

首都圏の1都3県では、東京都が0.67倍、神奈川県と埼玉県が0.69倍、千葉県が0.71倍と減少傾向が続いています。

関西では、大阪府と京都府が0.69倍、兵庫県が0.73倍、東海でも愛知県が0.61倍、岐阜県が0.66倍、三重県が0.78倍となっていて、すべての都道府県で前の週より減少しています。

人口10万あたりの直近1週間の感染者数は、広島県が233.52人と全国で最も多く、次いで、長野県が228.86人、北海道が222.50人、山形県が220.31人などとなっているほか、大阪府が142.92人、東京都が130.89人、全国では142.77人となっています。

脇田隆字座長「同時流行は医療へのインパクトが大きい」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、今後、インフルエンザと新型コロナが同時に流行する懸念について「海外の状況を見ると、ヨーロッパなどで新型コロナの流行が始まり、インフルエンザも一部の地域で流行が見えてきている。仮に日本で同時流行が起きれば、医療へのインパクトが大きい。必要な医療体制としては、重症化リスクのある高齢者や、脳炎のリスクがある子どもが優先的に医療にアクセスできることが求められるのではないか」と指摘しました。

そのほか必要な対策については「オミクロン株対応のワクチンや、インフルエンザのワクチンの接種を進めることは、流行の規模をなるべく小さくし重症化を予防するためにも非常に重要だ」と述べました。

また脇田座長は、一般の人に呼びかける対応について「第7波では、検査キットが不足したり、解熱薬が買いにくくなったりした。発熱した際に『セルフメディケーション』を行ってもらうためにも、今のうちに検査キットや解熱薬を買っておくということも重要ではないか。検査キットが購入しやすい環境を整えることも重要だ」と指摘しました。