【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きをまとめました。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウでは断続的に防空警報 市民からは怒りの声

ウクライナの首都キーウでは、10日午後0時半ごろ、日本時間の午後6時半ごろにいったん解除された防空警報が午後3時すぎ、日本時間の午後9時すぎに再び発令されました。午後2時半ごろ、防空警報が解除されていた時間帯のキーウ市内では、人通りや車の通行量はふだんよりかなり少なく、人々が足早に自宅などに向かう姿がみられました。

ウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で爆発が起きたあと、ウクライナの首都キーウなどでロシア側による攻撃が相次いだことを受けて、キーウの街では人々から怒りの声が相次いで聞かれました。

このうち、激しい攻撃が続いた東部のハルキウからキーウに避難しているという19歳の男性は「ロシアはクリミアの橋が壊されただけで、その仕返しとして首都の中心部を攻撃して民間人を殺したのだ。私たちは必ず勝利する」と話していました。

また、キーウ近郊のブチャから避難しているという57歳の女性は「ブチャでも同じような爆発音をずっと聞いてきたので、またかという感じだ。早く私たちが勝利して戦争が終わってほしい」と話していました。

さらに、48歳の男性は「けさ仕事に行く時に爆発を目撃した。キーウでここまで緊張感が高まったのは、2月24日にロシアが侵攻を始めて以来だと感じる。プーチンこそがテロリストであり、だからこそ市民を攻撃できるのだ」と話していました。

ドイツ国防相 ウクライナへの最新防空システム供与を発表

ドイツのランブレヒト国防相は10日、声明を発表し、ロシアによるウクライナの首都キーウなど複数の都市への攻撃を強く非難し、市民をミサイルやドローンによる攻撃から守るため、今後数日のうちにウクライナに最新の防空システムを供与すると発表しました。

ドイツ政府によりますと、供与される防空システムは新たに開発されたもので、メディアはドイツ軍にもまだ配備されていないものだと伝えています。ドイツ政府はこの防空システムの供与をすでに発表していましたが、ランブレヒト国防相は「今後数日で効果的な防御を提供する準備が整う」として、迅速にウクライナの防衛を強化する必要性を強調しました。

ロシア大統領府報道官 “ロシアトルコ両国大統領会談の可能性”

ロシア大統領府のペスコフ報道官は10日、中央アジアのカザフスタンで今週、行われる関係国との首脳会議にあわせてプーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と会談する可能性があると明らかにしました。

また、トルコが仲介役となってロシアと欧米諸国が交渉する可能性について記者団から聞かれたのに対し、ペスコフ報道官は、現時点で具体的な提案を受けていないとする一方、プーチン大統領とエルドアン大統領の首脳会談が開かれた場合「この問題を話し合う可能性は十分ある」と述べました。

エルドアン大統領はこれまでもロシアとウクライナの仲介役として停戦に向けた働きかけを積極的に行っています。

ドイツの領事業務を行う事務所が入る高層ビルも攻撃の被害

ロイター通信はキーウ中心部の鉄道駅の近くにある高さ100メートル余りのオフィスビルの映像を配信しています。

ドイツ外務省はこのビルには現在は使っていないドイツの領事業務を行う事務所が入っていて、ロシアのミサイル攻撃を受けたと発表しています。

ビルの下層階を中心に多くのガラスが割れ、室内がむき出しになっていました。また、ビルの前の路上には粉々に割れたガラスが散らばっています。

ベラルーシ大統領 ウクライナが攻撃の可能性あると一方的に主張

ベラルーシの国営通信によりますと、ルカシェンコ大統領は10日、重要政策を協議する安全保障会議を開き、ウクライナがベラルーシに対する攻撃を行う可能性があると一方的に主張しました。

そして、NATO=北大西洋条約機構などの脅威も高まっているとしたうえで「ベラルーシ西側の国境地帯の情勢悪化に対応するため、ベラルーシとロシアの軍による合同部隊を展開することで合意した」と述べました。ただ、具体的にどこに展開するのかなどは明らかにしていません。

ルカシェンコ大統領は、これまでもウクライナを侵攻するロシアを支持する姿勢を示していて、プーチン大統領としては、ウクライナでロシア軍の劣勢が鮮明になる中、ベラルーシと軍事的な連携を強化したい狙いもあるとみられます。

プーチン大統領「ウクライナに大規模な攻撃」報復措置と明らかに

ロシアのプーチン大統領は日本時間の10日夜、安全保障会議を開き、このなかで一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で起きた爆発について「ウクライナ側によるテロ行為だ」と述べ、非難しました。

そのうえで「ウクライナのインフラ施設に大規模な攻撃を行った。これからもウクライナによるロシア国内での脅威が続けば、われわれの対応は厳しいものになる」と述べ今回の攻撃が報復措置だったことを明らかにしました。

G7首脳会合 11日にオンラインで開催へ

ウクライナへのミサイル攻撃を受けてG7=主要7か国の議長国ドイツの政府報道官は定例の記者会見でロシアを強く非難するとともに、現地時間11日午後2時、日本時間の11日夜9時からオンラインの首脳会合を開いて対応を協議し、ウクライナのゼレンスキー大統領もリモートで参加すると明らかにしました。

また今回の攻撃を受けて10日、ショルツ首相がゼレンスキー大統領と電話会談を行い、ウクライナと連帯し今回の攻撃の被害からの復旧を可能な限り支援すると伝えたということです。

歩道橋近くで爆発 映像公開

10日にウクライナの首都キーウで相次いだ爆発をめぐり、ウクライナの内務省の高官は、市内にかかる歩道橋の近くで起きた爆発を記録したとする映像をSNSで公開しました。

映像には、歩道橋のすぐ下で爆発が起き、橋が炎や煙に覆われる様子が映っています。またロイター通信が配信した、爆発地点とされる映像では、歩道橋の下の地面に大きな穴があき、橋の一部が壊れていることが見て取れます。

アメリカ大使館「アメリカ市民はウクライナ出国を」

ウクライナにあるアメリカ大使館は10日、ホームページなどで「ロシアはウクライナの民間および政府機関の施設を攻撃し、民間人に直接的な脅威を与えている。アメリカ市民はとりあえず避難してもらい、安全が確認された時点で直ちにウクライナを地上の交通手段で出国してほしい」と呼びかけました。

ウクライナ軍総司令官「ロシアはミサイル75発 うち41発を迎撃」

ウクライナ軍のザルジニー総司令官はSNSに「ロシアは、ウクライナ国内に対して大規模なミサイル攻撃と航空機からの攻撃、そしてドローンによる攻撃を行っている。敵は75発のミサイルを発射したが、われわれは、そのうちの41発を迎撃した。わが軍は、国民を守るためのあらゆる手段を講じている。皆さんは避難所に逃げてほしい」と投稿しました。

ゼレンスキー大統領「標的はエネルギーインフラと市民だ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は現地時間10日午前11時ごろ、日本時間午後5時ごろ自身のSNSに新たな動画を投稿しました。

この中で「われわれはテロリストの相手をしている。何十発ものミサイルやイラン製の自爆ドローンが使われている。彼らの標的は2つある。1つ目は、全国のエネルギーインフラだ。われわれにパニックや混乱を引き起こそうとしている。2つ目は市民だ。できるだけ大きな損害を与えようとこうした時刻と攻撃目標をわざと選んだ」と述べ、ロシア側を強く非難しました。

そのうえで国民に対し「きょうは身を隠し、安全規則を守ってほしい」と身の安全を守るよう呼びかけました。

西部リビウ州知事「州内のエネルギー関連インフラ施設に攻撃」

ウクライナ西部リビウ州のコジツキー知事は現地時間10日の午前9時50分ごろ、日本時間午後3時50分ごろ、SNS上で「州内にあるエネルギー関連のインフラ施設に攻撃があった。新たな攻撃のおそれがあるので市民は避難所にいるようにしてほしい」と投稿し市民に注意を呼びかけました。

ウクライナ内務省 “一連の爆発で8人死亡24人けが”

一連の爆発の被害について、ウクライナ内務省の高官はSNSへの投稿で8人が死亡し24人がけがをしたと明らかにしました。

クリチコ市長によりますと、爆発があったのは市内の2つの地区だということでそのうちの1つは、大統領府から1キロほどしか離れていない地区です。

ゼレンスキー大統領「ミサイル攻撃が起きている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は現地時間10日の午前9時45分ごろ、日本時間午後3時45分ごろ、自身のSNSに「彼らは、われわれの存在を消そうとしている。南東部ザポリージャで寝ている人や、東部ドニプロや首都キーウで通勤中の人たちを殺そうとしている。ウクライナ全土で防空警報が鳴りやまなく、ミサイル攻撃が起きている。残念ながら、亡くなった人やけが人がでている。避難所から出ないでほしい。自分と家族を守り、持ちこたえてほしい」と呼びかけました。

キーウ市長「首都がロシアに攻撃されている 危険な状態続く」

ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は、現地時間10日の午前9時半ごろ、日本時間午後3時半ごろ、自身のSNSに「首都がロシアのテロリストに攻撃されている。市内の中心部などでミサイルが命中し、危険な状態は続いている」と投稿しました。

そして「中心部に住むすべての人に伝えるが避難所にとどまり、急用がないかぎり、きょうは街に出ない方がいい。キーウの中心部は警察官によって封鎖され、救助隊が救出活動を行っている」として市民に注意を呼びかけています。

複数の車が激しく燃える 道路はがれき散乱

ウクライナの首都キーウで10日、撮影された映像では、街頭で複数の車が激しく燃え、消防隊員が消火活動を行っているほか、けが人が手当てを受けている様子が確認できます。

また道路にはたくさんのがれきが散乱し、公園とみられる敷地に大きな穴があいて炎や煙が立ちのぼる様子も写っています。

“約1時間後に再び爆発音” キーウのNHK取材班

NHKの取材班が滞在するウクライナの首都キーウのホテルでは、10日午前8時20分ごろに続き、およそ1時間後の午前9時15分ごろ再び、爆発音が聞こえました。

煙などが見えたり窓ガラスが揺れたりすることはありませんでした。

キーウのNHK取材班 “ホテルの窓ガラス揺れた”

NHKの取材班が滞在するウクライナの首都キーウのホテルからも10日午前8時20分ごろ、爆発音が複数回、聞こえました。爆発音は少なくとも3回聞こえました。

ホテルからも市の中心部で煙のようなものが上がるのが確認できました。音とともにホテルの窓ガラスが揺れました。

キーウを含めウクライナ全土で10日早朝から防空警報が出されていました。

キーウ市長「市内の中心部で複数の爆発」

ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は、「市内の中心部で複数の爆発があった」と現地時間10日の午前8時半、日本時間10日の午後2時半にSNS上で明らかにしました。

首都キーウで爆発音と報道 黒い煙も

AFP通信によりますと、10日ウクライナの首都キーウで3回の大きな爆発音が聞こえたということです。またロイター通信もキーウの中心部にあるビルから黒い煙が上がっていると伝えています。

ウクライナ大統領府顧問「テロ行為非難はロシアにとって皮肉」

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で起きた爆発について、プーチン大統領は9日、ウクライナ側によるテロ行為だとする見方を示しました。

これに対してウクライナのポドリャク大統領府顧問は9日、ツイッターへの投稿で「プーチンがウクライナのテロ行為を非難。それはロシアにとってあまりにも皮肉なことだ。さきほどロシアの航空機はザポリージャの住宅街に12発のミサイルを打ち込み、13人が死亡した」と書き込み、非難されるべきはロシア側だと訴えました。

プーチン大統領 安全保障会議を10日開催へ 橋爆発に言及か

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、国の安全保障政策を話し合う安全保障会議を、10日に開催するということです。
議題の詳細については明らかにしていませんが、橋の爆発について、ウクライナ側によるテロ行為だとする見方を示したプーチン大統領が、新たな言及を行う可能性もあります。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は9日、国営のロシア通信から、橋の爆発を受けて、核の使用に関するドクトリン=基本原則が適用されるか質問されたのに対して「質問の設定のしかたが完全に誤っている」と述べ、明確な回答を避けました。

プーチン政権はこのところ核戦力の使用も辞さない構えで欧米を威嚇していて、前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は、9月、核兵器を使用する条件について「核兵器で攻撃されたり、通常兵器を用いた侵略行為で国家の存立が脅かされたりした場合であり、大統領も明確にしている」とSNSに投稿しています。

「クリミア大橋」一部で通行再開も長い行列

爆発によって橋の一部が崩落した「クリミア大橋」では、崩落を免れた一部で通行が再開されましたが、ウクライナ南部のクリミア側からロシア側に渡ろうとする人たちの車で長い行列ができました。
橋を渡ろうとして渋滞に巻き込まれたドライバーの男性は「家に帰らなければいけないのでまだここで待ち続けることになる。夜中には橋を渡れると思います」と話していました。

ロシア連邦捜査委員会“橋爆発はウクライナ特殊機関のテロ行為”

ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会のトップ、バストルイキン委員長は、プーチン大統領への報告の中で、ロシアの治安機関、FSB=連邦保安庁とともに爆発に関与した容疑者を特定したとしたうえで「ウクライナの特殊機関が準備したテロ行為だ。ロシア、特にクリミアにとって極めて重要な民間のインフラの破壊を目的としたものだ」と述べました。
また、組織的な犯行だとする見方を示したうえで、ウクライナの特殊機関に協力したロシア人などもいると主張しました。

プーチン大統領 橋爆発をウクライナ側のテロ行為と非難

ロシアが8年前に一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシア南部をつなぐ橋で起きた爆発について、プーチン大統領は9日、重大事件を扱う連邦捜査委員会のバストルイキン委員長から報告を受けました。
この中でバストルイキン委員長は「ウクライナの特殊機関が準備したテロ行為だ。ロシア、特にクリミアにとって極めて重要な民間のインフラの破壊を目的としたものだ」と指摘しました。

これを受けて、プーチン大統領は「ロシアの極めて重要なインフラの破壊をねらったテロ行為であることは疑いの余地がない。考案し、命令し、実行したのはウクライナの特殊機関だ」と述べ、ウクライナ側によるテロ行為だとする見方を示し、非難しました。

ザポリージャ原発 “送電線が復旧 送電網に接続される”

砲撃によって送電線が損傷し、原子炉の冷却などに必要な外部からの電力供給が失われていたウクライナのザポリージャ原子力発電所について、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、9日ツイッターで、送電線が復旧して原発が送電網に接続されたと明らかにしました。
このなかで、グロッシ事務局長は、送電線の復旧を歓迎したうえで、原発の安全をすみやかに確保すべきだと改めて訴えました。
ザポリージャ原発は、これまでも砲撃で一時的に外部電源が失われるなど安全性への懸念が広がっていて、グロッシ事務局長は近くロシアを訪れ、原発周辺を安全な区域に設定するための協議を行う予定です。

FSB “ロシア領土への攻撃が急増”と発表

ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁は9日、ウクライナと国境を接しているロシア西部の3つの州へのウクライナ軍による砲撃が、今月に入ってから急増していると発表しました。
それによりますと、ロシア西部のブリャンスク州、ベルゴロド州、それにクルスク州にある合わせて32の集落で、この1週間に100回以上の砲撃を受け、1人が死亡し5人がけがをしたとしています。
また、住宅や変電所などが損傷を受けたとしています。

米大統領「ハルマゲドン」発言 “新情報に基づくものではない”

アメリカのバイデン大統領が、ウクライナ情勢をめぐって「ハルマゲドン=最終戦争」ということばを使って、いわゆる「キューバ危機」以来の核の脅威に直面しているとの認識を示したことについて、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は9日に放送されたABCテレビで「ロシアのプーチン大統領が核戦力の使用を決断したという新たな情報や兆候に基づいた発言ではない。ウクライナの戦場で起きていることや、ここ数日のプーチン氏の無責任で無謀な発言で、緊張状態が非常に高いことを受けた発言だ」と述べました。

そのうえで「われわれや同盟国は威圧を受けず、ウクライナの安全保障に必要な支援を継続していく」と強調しました。
一方、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で起きた爆発についてカービー氏は「われわれは報道以上に付け加えるものは持ち合わせていない」と述べ、コメントを避けました。