ロシア研究家 “市民の抵抗によりプーチン政権の終えんも”

ソビエト・ロシア研究の分野で世界的にも著名なエレーヌ・カレールダンコース氏は、ロシア国内でウクライナ侵攻に反対する声が広がっていることについて、かつてソビエトがアフガニスタンに侵攻し、戦争が泥沼化したことがソビエト崩壊の一因となった歴史を引き合いに出し、プーチン政権の終えんにつながりかねないと指摘しました。

歴史学者でフランスの国立学術団体「アカデミー・フランセーズ」の終身事務局長を務めるカレールダンコース氏は、1978年に出版した著作で、ソビエトの崩壊を予見したことなどで知られています。

カレールダンコース氏は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「プーチン氏は、心の底ではウクライナ人を国民性を持たない人々だと軽蔑している。この戦争もかつてのチェコスロバキアへの介入のまねごとだ」と述べ、かつて旧ソビエト軍が中心となって当時のチェコスロバキアに侵攻し、民主化運動「プラハの春」を弾圧したことに触れ、非難しました。

そして、ロシア国内で部分的な動員に対する抗議活動が広がっていることについて「かつてアフガニスタンでの戦争に対し、兵士の母親が立ち上がり、ロシア社会の真の憤りを目の当たりにしたときに似ている」と述べ、1979年、ソビエトがアフガニスタンに侵攻したことがソビエト崩壊の一因となった歴史を引き合いに出し、いまの時代との類似点を指摘しました。
そのうえでカレールダンコース氏は「ロシアでは、変革はいつも底辺からの騒乱によって始まったことを歴史は教えてくれる。軍事侵攻が始まった時からこれはプーチン氏にとって終わりの始まりになると思っていた」と述べ、こうした市民の抵抗が大きなうねりとなり、プーチン政権の終えんにつながりかねないと指摘しました。

一方、欧米がウクライナに軍事支援を行うなか、ロシアが続ける侵攻の行方については、「いつか戦争は終わるがロシアの完全な敗北で終わることは考えられない。アメリカは、当面は戦争の継続を望んでいるようだが、停止を決断すれば止まるだろう。また、中国もロシアの完敗は耐えがたいことだろう。今では、中国やインドも懸念を示している」と述べ、今後、大国による仲介が始まることに期待を示しました。
また、カレールダンコース氏は、プーチン大統領が大統領に就任した2000年、クレムリンで会談したことに触れた上で「当時は内気で不安そうに見えたが、権力は人を変える。特に絶対的な権力はそうだ。彼は、ロシア帝国のピョートル大帝に憧れ、帝国の再構成を望んでいる」と述べ、7日で70歳となるプーチン大統領は、みずからの政治的な遺産とするためにも自身の行為を歴史の中に見いだし、正当化しようとしていると指摘しました。