オミクロン株 BA.5対応ワクチンの使用承認 厚生労働省

新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンについて、厚生労働省は国内での使用を正式に承認しました。

今後、必要な手続きを進め、早ければ10月中旬にも接種が始まる見通しです。

オミクロン株対応の新型コロナウイルスのワクチンは、9月20日に「BA.1」に対応したワクチンの接種が始まっていますが、アメリカの製薬大手ファイザーは9月13日、現在感染の主流になっている「BA.5」や「BA.4」、それに従来の新型コロナウイルスに対応するワクチンについて承認の申請を提出していました。

5日夜に開かれた厚生労働省の専門家による部会では、このワクチンについて、体の中で作られるウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値の上昇が確認され、「BA.5」を含む変異株に対する予防効果が期待されると評価し、安全性については影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとして、国内での使用を了承し、その後、厚生労働省が正式に承認しました。

厚生労働省はおよそ4300万回分のワクチンを来週以降、自治体に配送する計画で、今後、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、早ければ今月中旬以降、接種が始まる見通しです。

接種の計画は

厚生労働省はオミクロン株対応のワクチンについて、年末年始に懸念される感染拡大に備えて希望する人が年内に接種を終えられるよう体制の整備を進めています。

オミクロン株の「BA.1」と従来のウイルスに対応する成分が含まれたワクチンはすでに9月20日から接種が始まっていて、4日までにおよそ56万人がファイザーとモデルナのワクチンを接種しています。

一方、今回了承された「BA.5」「BA.4」などに対応するワクチンの自治体への配送計画もすでに示されています。

10月10日から11月上旬にかけてファイザーのワクチンおよそ4300万回分が配送される計画で、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、今月中旬以降に接種が開始できる見込みです。

また、2種類のオミクロン株対応ワクチンをあわせた11月上旬にかけての配送量はおよそ8000万回分で、厚生労働省はどちらのワクチンもオミクロン株に対して従来のワクチンを上回る効果が期待されるほか、今後の変異株にも効果がある可能性が高いとしています。

厚生労働省は、接種の時期が来た時点で接種できるオミクロン株対応のワクチンを接種してほしいとしています。

専門家「接種できる機会を逃さずに接種を」

新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ、「BA.5」に対応する成分を含むワクチンについて、臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「現在、主流となっている『BA.5』に対しては感染や発症を防ぐ効果は、今回のワクチンのほうが高いと思われる」と話しています。

すでに接種が始まっている「BA.1」対応のワクチンと「BA.5」対応のワクチンのどちらを接種するかについては「『BA.1』と『BA.5』の違いは従来のウイルスとその後の変異ウイルスの違いと比べると大きなものではない。『BA.1』対応のワクチンでも重症化を防ぐ効果は十分期待できる。今、『BA.1』対応のワクチンを予約しているのならそれを接種すればいいのではないか。前回の接種から5か月たつころに『BA.5』対応のワクチンが実際に出回るなら『BA.5』対応のワクチンを接種すればいいだろう。接種できる機会を逃さずに接種するというのが基本だと思う」と述べました。