三重 桑名の住宅街に30頭以上のサルの群れ 住民が動画撮影

9月、三重県桑名市の住宅街で、少なくとも30頭以上のサルの群れが移動する様子を捉えた動画が撮影されました。

桑名市星見ヶ丘に住む男性が、9月23日の午前6時半ごろ、自宅マンションから撮影した動画には、住宅街に現れたサルの群れが映っています。

サルは電線にぶらさがって地面に降りたり、車の上を歩いたりして、住宅街をわが物顔で動き回り、人を警戒する様子は見られません。

中には背中に子ザルを背負った親ザルの姿も見られました。動画に映ったサルは少なくとも30頭以上いたとみられます。

撮影した男性は「出勤しようとしていたときに突然サルの群れが現れ、階段を上って撮影しました。1頭や2頭なら見たことはありますが、こんなにたくさんのサルに遭遇したのは初めてで、とても驚きました」と話していました。

住民によりますと、この住宅街は山を切り開いて造成された場所で、これまでにもたびたび、サルの群れが目撃されているということです。

同じ地区にある教会で牧師を務める河村直也さんは、この夏、育てていたサツマイモなどを食べられる被害に遭ったということです。

河村さんが2年前に撮影した映像には、サルが人を怖がる様子もなく教会の敷地内を移動し、家庭菜園のミニトマトを食べている様子が映っています。

河村さんは「野菜をとられて悔しい思いはありますが、周りの山も開発されているので、サルも生きるのが大変なんだろうなと思います」と話していました。

市が対策も成果上がらず

桑名市では、サルが出没した住宅街をパトロールしたり、サルの餌場となる農村にわなを設置したりして対策を取っていますが、思うような成果は上がっていません。

桑名市の獣害対策室では、サルによる農業被害を防ごうと平日は毎日パトロールを行っていて、目撃情報が寄せられるとすぐにその場所に向かいエアガンで脅して追い払うことにしています。

4日のパトロールに同行して取材した際にも、担当者の携帯電話に「近くの住宅街でサルが出た」と連絡があり、現場に駆けつけましたが、すでにサルの姿はありませんでした。
このほか、市はサルの餌場となる農村の自治会と協力して箱わなを設置し、増えすぎたサルを捕獲しようとしています。

箱わなはサルが中に入ると扉が閉まる仕組みですが、その際、大きな音が出てほかのサルに気付かれてしまうため、一度に捕まえられるのは数匹で効果は限定的だということです。

桑名市獣害対策室の船橋和敏室長補佐は「サルの行動範囲がどんどん広がり、2年ほど前からは住宅街にも出るようになった。サルが増えないようにしたいが、思うようにはいかず、苦労している」と話しています。

専門家「人慣れが進み住宅街通るように」

三重県では研究機関や自治体と連携してサルの行動域などを調べていて、県内の広い範囲に115の群れが存在すると推定されています。

群れの頭数は10頭から、多い群れでは200頭にも上るということです。

このうち、桑名市内には少なくとも2つの群れが確認されているということです。

サルなどの獣害対策が専門の兵庫県立大学自然・環境科学研究所の山端直人教授は、撮影されたサルについて「動画が撮影された住宅街はもともと市街地ではなく、山を切り開いてつくった場所で、山から山に移動する途中で通ったのではないか。桑名市の多度町に2つの群れが確認されていて、その群れのどちらかではないか」と指摘しています。

そのうえで山端教授は「サルは餌場から餌場へと毎日移動していて、移動の途中に住宅街があると最初は避けて通るが、だんだん人慣れが進んでくると近道をして住宅街を通るようになる。動画のサルはかなり人慣れが進んでいるとみられ、エスカレートすると家の中に入ってきて人に危害を加えるおそれもある。サルを寄せつけないための対策と、増えすぎたサルは捕獲して頭数を管理することも必要だ」と話していました。