米軍と韓国軍が日本海に向けミサイル4発発射 北朝鮮をけん制

北朝鮮が4日、中距離弾道ミサイル1発を発射したことに対抗して、韓国軍はアメリカ軍とともに5日、日本海に向けて地対地ミサイル4発を発射し、北朝鮮へのけん制を強めています。

韓国軍の合同参謀本部の発表によりますと、米韓両軍は5日未明、地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」を、それぞれ2発ずつの合わせて4発、日本海に向けて発射したと発表しました。

北朝鮮が4日、北部から東に向けて日本の上空を通過させる形で中距離弾道ミサイル1発を発射したことへの対抗措置だとしています。

公開された映像では、暗闇の中で移動式発射台から激しい光と煙を伴って発射されたミサイルが上昇していく様子が確認できます。

合同参謀本部は「北がいかなる場所から挑発しても、それを無力化できる能力と態勢を示した」と強調しました。

米韓両軍はことし、北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルと推定されるミサイルを発射した3月と5月、それに短距離弾道ミサイルを1度に8発発射した6月にも、対抗措置としてミサイルを日本海に向けて発射しています。

韓国軍は4日、アメリカ軍とともに戦闘機4機ずつが参加する精密爆撃訓練を行い、編隊を組んで飛行したり海上の目標を爆撃したりする映像を公開したばかりで、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮へのけん制を強めています。

韓国軍が発射の地対地ミサイルは飛行せず落下

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮による中距離弾道ミサイルの発射に対抗してアメリカ軍とともにミサイルを発射した際、韓国軍の地対地ミサイル「ヒョンム(玄武)2」1発が発射直後に正常に飛行せず落下したことを明らかにしました。

ミサイルは軍の基地の敷地内に落ちましたが、けが人や付近の民家への被害はなかったということです。

韓国の通信社、連合ニュースは「大きな音と光に驚いた住民からの問い合わせが行政機関に殺到したが、軍からすぐに発表がなく、一晩中混乱が続いた」と伝えています。

韓国軍 「ヒョンム2」飛行しなかった原因調査

アメリカで開発された地対地ミサイル「ATACMS」は、最大射程が300キロで、在韓米軍と韓国軍のいずれも保有している兵器です。

一方、正常に飛行しなかった韓国軍の地対地ミサイル「ヒョンム2」は、最大射程が800キロ以上で、韓国から北朝鮮全域に届きます。

韓国の軍事専門家は「『ヒョンム2』が通常どおり発射されていれば、きのう中距離弾道ミサイルが発射された、北朝鮮北部地域への攻撃能力を示せたはずだった」と指摘しました。

韓国の通信社、連合ニュースは「ヒョンム2」について、韓国軍にとって、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するための中心的な役割を果たす兵器だと伝えていて、軍はミサイルが正常に飛行しなかった原因を調べています。

韓国軍「米軍の空母 再び日本海に展開」

韓国軍の合同参謀本部は、アメリカ軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」が、5日から再び日本海に展開すると発表しました。

日本海では「ロナルド・レーガン」が参加して、9月29日まで米韓両軍の共同訓練が、30日には日本も含めた3か国による共同訓練が、それぞれ行われたばかりです。

「ロナルド・レーガン」の日本海への再展開は、北朝鮮による4日の中距離弾道ミサイルの発射を受けた異例の対応で、合同参謀本部は「相次ぐ北の挑発に対する米韓同盟の態勢を強化し、北のいかなる挑発と脅威にも断固として対応する意志を示すものだ」と強調しました。

アメリカ海軍第7艦隊は5日午後、NHKの取材に対し「ロナルド・レーガンを中心とする空母打撃群は現在、日本海に展開している」とコメントしました。

「ロナルド・レーガン」をめぐって、北朝鮮は「くず鉄の塊」とやゆしたうえで、地域の緊張を高めるものだとして非難していて、再び反発することが予想されます。

韓国高官 “核実験へ準備進めている可能性”

韓国大統領府の高官は、5日記者団の取材に応じ、北朝鮮による一連の弾道ミサイルの発射について「7回目の核実験の可能性を高めるための段階別シナリオを進めていくのではないかと判断している」と述べ、核・ミサイルの開発を加速する北朝鮮が、核実験に向けた準備を進めている可能性があるという見方を強調しました。

また、この高官は4日、アメリカのバイデン大統領からユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領宛てに親書が届いたことを明らかにしました。

親書には「韓国とアメリカの同盟関係を強化し、両国の共同の目標を達成するうえで、核心的な役割が遂行されることを確信する」などと記されていて、朝鮮半島や北東アジアの平和を維持しようという両国関係を反映したものだと説明しました。