【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ“プーチン大統領と交渉行わず”方針を決定

ウクライナの大統領府は、ロシアのプーチン大統領とは交渉は行わない方針を正式に決定したことを明らかにしました。

ウクライナの大統領府が公表した文書によりますと、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの支配地域を一方的に併合しようとしていることを受けて先月30日ウクライナの国家安全保障・国防会議が開かれ、「プーチン大統領と交渉するのは不可能だ」と結論づけたとしています。

プーチン大統領は先月30日に行った演説で「即時の停戦を呼びかけ、交渉のテーブルに戻ることを強く求める」と述べ、交渉を要求していましたが、ゼレンスキー大統領は「今の大統領では不可能であり別の大統領と行う」としてプーチン政権への強い不信感を示していました。

ウクライナ大統領府の決定についてロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、「交渉には両者が必要だ」と述べて批判したうえで「ウクライナのいまの大統領か、次の大統領かのいずれかがこうした立場を変えるのを待つしかない」と述べました。

ロシア国防省 急きょ招集された兵士の訓練の様子を公開

ロシア国防省は3日、動員によって急きょ招集された兵士がルハンシク州やドネツク州に到着し、訓練を行う様子などの動画を公開し、兵士らは「われわれの祖国を守らなければならない」などと話していました。

プーチン政権は「領土防衛」を名目に侵攻を継続する方針です。

プーチン政権 4州併合の「条約」だとする文書など 上院でも可決

プーチン政権は、ウクライナの東部や南部の4つの州を併合すると一方的に定めた「条約」だとする文書や関連法案について、議会下院に続き4日、上院にも提出して可決させました。

この後、プーチン大統領はこの文書などに署名し、一方的な併合を正式に決定する見通しです。

米シンクタンク「ウクライナ軍 過去24時間で大きな前進」

ウクライナ軍は、東部ドネツク州の要衝リマンを奪還した後、隣接する東部ルハンシク州、さらには、南部ヘルソン州でも反転攻勢を強めています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日、「現地のロシア軍部隊はこれまで精鋭部隊とみなされていたにもかかわらず、ウクライナ軍は過去24時間で、リマン周辺とヘルソン州北部で大きな前進を遂げた」と分析しています。

こうしたなか、ロシアのメディアは、東部ハルキウ州の軍事侵攻を指揮していたロシア軍の司令官が交代したと伝えています。

ロシア軍は9月、ウクライナ軍の反撃によってハルキウ州の大部分を失ったことから事実上の更迭と受け止められ、「戦争研究所」はプーチン大統領は、軍の失敗の責任を転嫁する努力を続けているようだと指摘しています。

反戦訴えたロシア国営テレビの元職員 内務省が指名手配

ことし3月、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中にスタジオに入って反戦を訴えたことで注目された元職員、マリーナ・オフシャンニコワさんについて、ロシアの国営メディアは内務省が指名手配したと伝えました。

ロシア国営メディアによりますと、オフシャンニコワさんは10月3日までに自宅を出て行方が分からなくなり、ロシア内務省が指名手配したということです。

モスクワの裁判所の決定によって10月9日まで自宅軟禁となっていましたが、元の夫によりますと、オフシャンニコワさんは娘を連れて家を出たということです。

オフシャンニコワさんは、ことし3月、ニュース番組の放送中にスタジオに入り「戦争反対」と書いた紙を掲げて反戦を訴え注目されました。

国営テレビを退職したあとも反戦活動を続けたオフシャンニコワさんは、ことし7月には、プーチン大統領を「殺人者」などと批判する紙を持って抗議する写真をSNSに掲載し、ロシア軍に対するうその情報を広めた罪で起訴され、最大で懲役または禁錮10年が言い渡される可能性があると伝えられていました。

北朝鮮外務省 “住民投票”だとする活動 支持を表明

ロシアがウクライナの4つの州の一方的な併合を強行する構えの中、北朝鮮外務省は4日、国際機構局長の名前で談話を発表し、親ロシア派の勢力が行った「住民投票」だとする活動について「住民の意思が十分に反映されるよう合法的な方法と手続きに沿って行われ、絶対多数の有権者が併合を支持した」と主張し、ロシアを支持する立場を明らかにしました。

そのうえで「住民投票」だとする活動は一方的な併合の根拠とならないとした、国連安全保障理事会の決議案について「国連安保理を悪用して自主的な国々の内政に干渉し、合法的な権利を侵奪するのはアメリカの常とう手段だ」として、決議案をまとめたアメリカを批判しています。

北朝鮮としては、国際社会からの非難が強まるロシアを擁護することで、連携してアメリカに対抗する姿勢を強調したいねらいがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領「奪還集落 ハルキウ州だけで450超え」

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、新たな動画を公開し「われわれの軍の攻撃は続いていて、いくつかの地域で新たに複数の集落を奪還した。9月に作戦を始めてから奪還できた集落の数はハルキウ州だけで450を超えている」と述べ、戦果を強調しました。

そのうえで「『住民投票』だとする活動も、併合の宣言もロシアにとって助けにはならない。ウクライナには明確で国際的に認められた国境がある」と述べ、領土の奪還をさらに進める考えを示しました。

ロシア 議会経て4州併合強行へ ウクライナ軍 南部でも反転攻勢

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの東部や南部の4つの州を併合するための関連法案や、批准を求める「条約」だとする文書を議会下院に提出し、3日、可決されました。

4日には上院で審議が行われる予定で、その後、プーチン大統領が署名し、一方的な併合を強行する構えです。

こうした中、ウクライナ東部、ルハンシク州の親ロシア派の幹部は3日、ロシアのメディアに対し「ウクライナ軍がルハンシク州にも入り、リシチャンシクに向かっている」と述べました。

ロシアが支配していた東部ドネツク州の要衝リマンを奪還したウクライナ軍が、隣のルハンシク州の重要拠点、リシチャンシクなどの奪還に向けて反撃に乗り出したものとみられます。

また、南部のヘルソン州でも、ウクライナ軍による反転攻勢が強まっていて、ロシア国防省は3日、「敵の戦車部隊がわれわれの防衛陣地に深く切り込んでいる」と発表しました。

ロシア側に連れ去られたザポリージャ原発の所長 無事解放

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は3日、ロシア側に連れ去られていたウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の所長が解放されたと、ツイッターで明らかにしました。

続いて、ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムも、SNSのテレグラムで、ロシア軍に拘束されていた所長が3日、無事解放され、ザポリージャ原発に戻ったと発表しました。

グロッシ事務局長が所長の解放に重要な役割を果たしたとしています。

所長はザポリージャ原発の安全管理の責任者で、先月30日に原発から近くの街に向かう途中でロシア側に連れ去られたと、エネルゴアトムが今月1日に発表し、IAEAはこれに強い懸念を示すとともに、関係当局と連絡を取っていることを明らかにしていました。

ロシア大統領府 プーチン大統領側近の軍部批判をけん制

ロシア軍が東部の要衝リマンから撤退し、ウクライナ軍が奪還したことについて、ロシアのプーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近、カディロフ氏が軍部を痛烈に批判するなど、不満が表面化しています。

これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は3日、記者団から見解を問われたのに対し「チェチェンのトップであるカディロフ氏が評価する権利はある」と述べました。

一方で「最も困難な時期であっても、感情的に評価すべきでない。われわれはバランスのとれた公平な評価を望んでいる」と述べ、カディロフ氏の軍部批判をけん制しました。