日銀短観 専門家はどうみる?

今回の日銀短観の結果についてマクロ経済に詳しい三菱総合研究所の武田洋子政策・経済センター長に聞きました。

Q 大企業製造業の景気判断が3期連続の悪化となったが短観の結果の受け止めは?

武田さん:部品の供給不足が解消する中で、もう少し改善を見込んでいたが、事前の予想に比べ悪い内容だったと言える。原材料の調達コストの上昇や海外経済に減速が見られることも背景にあるとみられる。

Q 原材料価格の高騰が進む中コストの上昇を販売価格に上乗せする、価格転嫁は進んでいるのか?

武田さん:製造業では、仕入れ価格に対し販売価格が追いついてきており、世界的にはまだ低い水準だが少しずつ転嫁する動きが広がっている。

Q 日本経済の回復に向けて必要なことは何か?

武田さん:カギは2つある。1つは、賃金上昇。賃上げには追い風が吹いているところもある。生産人口が減少し、人手不足感が強まってきているのは今回の短観の雇用判断の指標を見てもうかがえる。企業が生き残りをかけてよい人材を確保するために、賃金を上げていく動きに弾みが出ることが期待される。2つ目のカギは投資。企業はデジタル化や脱炭素化の投資に前向きな姿勢がうかがえる。企業の現預金が投資や賃上げに回っていけば日本経済は短期的な回復だけでなく、企業のイノベーションや消費拡大を通じて成長力を高めていくことも期待できる。

Q 日本経済の今の立ち位置は?

武田さん:価格転嫁と賃金上昇がともに進んで企業や家計がデフレマインドから脱却できるのか。あるいは、海外経済が減速し、コストが上昇する中で企業や家計のマインドが萎縮するのかという重要な分岐点にあると思う。物価上昇が続く中で企業の賃上げの動きが広がらないことが懸念材料としてあげられる。その場合、家計の実質的な所得が低下し、消費に悪影響が及ぶ可能性がある。