ウクライナ 東部要衝を奪還 ロシアは4州併合の法案を議会提出

ウクライナのゼレンスキー大統領は東部ドネツク州でロシア軍が支配していた要衝を奪還したと発表し反転攻勢を一層強めています。
これに対してロシアのプーチン大統領は2日、ドネツク州を含む4つの州を併合するための関連法案などを議会下院に提出し一方的な併合を強行する構えです。

ゼレンスキー大統領は2日、ロシア軍が支配していたウクライナ東部ドネツク州の要衝リマンについて「完全に敵を排除した」と述べ奪還したことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領はさらなる領土の奪還に強い意欲を示していて、ドネツク州に隣接する東部ルハンシク州のハイダイ知事は2日、SNSに「この地域でも大規模な奪還作戦が始まる日は近い」と投稿しました。

一方、ロシア国防省は1日、リマンをめぐって「包囲される脅威がある」として部隊を撤退させたと発表し、プーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近が軍部を痛烈に批判するなど内部で不満が表面化しています。

こうした中、プーチン大統領は2日、ドネツク州を含むウクライナ東部や南部の4州を併合するための関連法案や批准を求める「条約」だとする文書を議会下院に提出しました。

この中ではロシアが併合する領域を今の4つの州のそれぞれの行政単位での境界線だとしていて、ウクライナ側がロシアの侵攻を食い止め統治できている領土についても「ロシア領」だと主張することになります。

またウクライナ南東部にありロシアが占拠しているザポリージャ原子力発電所も完全に支配下に置く構えです。

さらに併合する地域の軍の部隊はロシア軍に組み込まれるとしているほか、ウクライナの通貨フリブニャの流通を年内で廃止する方針も示され、ロシア支配の既成事実化を一方的に進めようとしています。

法案や文書は3日から4日にかけて下院と上院での審議を経たうえで、プーチン大統領が署名し併合の手続きを完了させる見通しで、ウクライナ軍の反転攻勢を受ける中にあっても一方的な併合を強行する構えです。