【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 4州併合の関連法案など議会下院に提出

プーチン大統領は2日、ドネツク州を含むウクライナ東部や南部の4州を併合するための関連法案や、批准を求める「条約」だとする文書を議会下院に提出しました。

この中では、ロシアが併合する領域を、今の4つの州のそれぞれの行政単位での境界線だとしていて、ウクライナ側がロシアの侵攻を食い止め統治できている領土についても「ロシア領」だと主張することになります。

これを受け、議会下院は3日、4つの州を併合するための「条約」だとする文書について可決しました。

今後、4日に上院での審議を経たうえで、プーチン大統領が署名し、一方的な併合を強行する構えです。

プーチン政権 併合強行の構えも 要衝失い動員混乱も続き痛手か

ウクライナ軍は東部の要衝を奪還するなど攻勢を強めていて、プーチン政権にとっては動員をめぐる混乱も続くなか、政治面でも痛手となっているという見方が出ています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は2日、「リマンでのロシアの敗北は、ロシア軍のキーウからの撤退や東部ハルキウ州からの撤退以上にロシアで否定的な報道が出てきている」と指摘しています。

そして、プーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近らが軍部を痛烈に批判したことについて、結果的にプーチン大統領の指導力を弱体化させたという見方を示しています。

また、プーチン大統領が予備役の動員の過程で誤りがあったことを認めたことについて、イギリス国防省は3日、「最初の1週間で、動員が機能不全に陥っていたことを浮き彫りにしている」と指摘しています。

プーチン政権はウクライナの4つの州の一方的な併合を強行する構えですが、東部の要衝を失うなど劣勢が続き、予備役の動員をめぐる混乱も広がるなか、ウクライナの戦況だけでなく政治面でも痛手となっているという見方が出ています。

ウクライナ 新型軍艦の運用開始

ゼレンスキー大統領は2日に公開したビデオメッセージの中で、「きょうは重要な出来事があった。トルコで建造されていたウクライナのコルベット艦の進水式が行われた」と述べ、ウクライナの海軍で新たな軍艦の運用を開始することを明らかにしました。

また、ウクライナのレズニコフ国防相は、自身のツイッターに「こうした軍艦により、黒海とアゾフ海は安全になる。船の将来の母港は、クリミアの『セバストポリ』だ」と投稿し、8年前にロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアの奪還を目指す姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領 “ウクライナ軍の成果 リマンに限らない”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、2日に公開した動画で東部ドネツク州の要衝リマンに続いて、ヘルソン州の集落の名前を挙げてロシア軍から解放したとして「非常に多くの集落が敵から解放されたと報告を受けている。ウクライナ軍の成果は、リマンに限ったものではない」と述べ、領土の奪還作戦が進んでいると強調しました。

また、ロシアのプーチン大統領がドネツク州を含むウクライナの4つの州を一方的に併合する構えであることについて「ウクライナの国旗が戻れば、紙切れや併合といったロシアの茶番劇を覚えている者は誰もいなくなるだろう」として併合の動きにかかわらずさらに領土の奪還を進める考えを示しました。

一方、ウクライナ南東部にありロシアが占拠しているザポリージャ原子力発電所で、先月、安全管理の責任者がロシア側に突然連れ去られたことについて「ロシアによる完全なテロ行為であり大きな罰を受けなくてはならない」と強く非難しました。

ゼレンスキー大統領 東部ドネツク州のリマン奪還を明らかに

ゼレンスキー大統領は2日、ロシア軍が支配していたウクライナ東部ドネツク州の要衝リマンについて「完全に敵を排除した」と述べ、したことを明らかにしました。
ゼレンスキー大統領はさらなる領土の奪還に強い意欲を示していて、ドネツク州に隣接する東部ルハンシク州のハイダイ知事は2日、SNSに「この地域でも大規模な奪還作戦が始まる日は近い」と投稿しました。

一方、ロシア国防省は1日、リマンをめぐって「包囲される脅威がある」として部隊を撤退させたと発表し、プーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近が軍部を痛烈に批判するなど内部で不満が表面化しています。
また、ウクライナ南東部にあり、ロシアが占拠しているザポリージャ原子力発電所も完全に支配下に置く構えです。

さらに併合する地域の軍の部隊はロシア軍に組み込まれるとしているほか、ウクライナの通貨フリブニャの流通を年内で廃止する方針も示され、ロシア支配の既成事実化を一方的に進めようとしています。

法案や文書は3日から4日にかけて下院と上院での審議を経たうえで、プーチン大統領が署名し、併合の手続きを完了させる見通しで、ウクライナ軍の反転攻勢を受ける中にあっても、一方的な併合を強行する構えです。