ことしのノーベル賞 3日から発表 去年の真鍋淑郎さんに続くか

ことしのノーベル賞受賞者の発表が3日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、去年ノーベル物理学賞に輝いた真鍋淑郎さんに続く2年連続の受賞となるか、注目されます。

ことしの発表日程

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈られます。

ことしの受賞者の発表は、
▽3日が生理学・医学賞、
▽4日が物理学賞、
▽5日が化学賞、
▽6日が文学賞、
▽7日が平和賞、
▽10日が経済学賞となっています。

生理学・医学賞で注目される研究者

このうち生理学・医学賞は、これまで5人の日本人が受賞しています。

注目されているのは、日本に有力な研究者が多い免疫学の分野で、▽過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学特任教授の坂口志文さんや▽免疫の働きを強める「インターロイキン6」というたんぱく質を発見した大阪大学特任教授の岸本忠三さんがこれまでに国際的な賞を数多く受賞するなどしています。

また、このほかの分野では、▽細胞どうしを結び付けて臓器などを形づくる分子、「カドヘリン」を発見した理化学研究所名誉研究員の竹市雅俊さんや▽「小胞体」と呼ばれる細胞の器官が不良品のたんぱく質を修復したり分解したりする仕組みを解明した京都大学教授の森和俊さんもカナダの「ガードナー国際賞」などを受賞していて注目されています。

去年は物理学賞に真鍋淑郎さん

物理学賞は、アメリカ国籍を取得した人を含めこれまで日本から12人が受賞しています。

去年は、愛媛県出身でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さんが受賞。気候をシミュレーションするモデルの基礎を開発し、地球温暖化の研究を切り開いた功績が評価されました。

また、研究の分野として「気象学」が物理学賞の対象となったのは初めてで、関係者には驚きも広がりました。

化学賞で注目される研究者

化学賞はこれまで日本から8人が受賞しています。

「ノーベル賞級」とされる成果を挙げている日本の研究者は、ほかにも多くいることから毎年、化学賞受賞への期待が寄せられています。

このうち、▽東京大学卓越教授の藤田誠さんは分子どうしがひとりでに結び付く「自己組織化」と呼ばれる現象の研究で国内外で高く評価されています。

▽京都大学特別教授の北川進さんは「多孔性金属錯体」という特定の気体を貯蔵できる材料の合成で世界的に注目されています。

また、▽中部大学特任教授の澤本光男さんは数多くの分子を思いどおりの構造や機能を持つようにつなぎ合わせる「精密ラジカル重合」と呼ばれる手法を確立し、幅広い分野の新素材開発に影響を与えています。

文学賞 注目は村上春樹さんや多和田葉子さん

文学賞ではこれまで2人の日本人が受賞。

例年注目されるのは、作品が50以上の言語に翻訳され世界中で読まれている村上春樹さんです。これまでに、チェコの「フランツ・カフカ賞」やデンマークの「アンデルセン文学賞」など、海外の賞を複数受賞していて、毎年、イギリスの「ブックメーカー」が行っている受賞者を予想する賭けでは“有力候補”の1人となっています。

また、長年ドイツで暮らし日本語とドイツ語で小説を執筆している多和田葉子さんも、2018年に、アメリカの「全米図書賞」の翻訳文学部門に選ばれるなど注目されています。

2000年以降に受賞した20人 すべて自然科学系の3賞

日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、自然科学系の3賞でアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

去年、物理学賞に輝いた真鍋淑郎さんに続く2年連続の受賞となるか、注目されます。

ノーベル賞の授賞式や晩さん会はことし12月にスウェーデンのストックホルムで開かれる見通しで、新型コロナウイルスの影響で出席できなかったおととしと去年の受賞者も招待されるということです。

過去の受賞者 米国籍取得者含め合計28人

ノーベル賞を受賞した日本人は、アメリカ国籍を取得した人も含めて去年までで28人います。

日本人として初めてノーベル賞を受賞したのはいまから73年前、戦後まもない1949年で、▽湯川秀樹さんが物理学賞を受賞しました。

その後、1965年に▽朝永振一郎さんが物理学賞、1968年に▽川端康成さんが文学賞、1973年に▽江崎玲於奈さんが物理学賞、1974年に▽佐藤栄作元総理大臣が平和賞を受賞しました。

また、1981年に▽福井謙一さんが日本人では初めて化学賞を受賞したほか、1987年に▽利根川進さんが日本人初の生理学・医学賞を受賞し、平成に入ってからは1994年に▽大江健三郎さんが文学賞を受賞しています。

1999年までのおよそ100年の期間は、ノーベル賞を受賞した日本人は8人にとどまっていました。

ところがこの状況は2000年以降、大きく変化します。

2000年に▽白川英樹さんが受賞したのを始まりに、2001年に▽野依良治さん、2002年に▽田中耕一さんと3年連続で日本人が化学賞を受賞します。

田中さんが化学賞を受賞した2002年には、▽小柴昌俊さんが物理学賞を受賞し、初めて同じ年に2人が受賞しました。

2008年には、物理学賞で▽南部陽一郎さん、▽小林誠さん、▽益川敏英さんの3人が同時に受賞し、さらに、その翌日には化学賞で▽下村脩さんの受賞が発表され、この年だけで4人が受賞しました。

また、2010年には化学賞で▽鈴木章さんと▽根岸英一さんがダブル受賞し、2012年には▽山中伸弥さんが生理学・医学賞を受賞しました。

2014年には、▽赤崎勇さん、▽天野浩さん、▽中村修二さんの3人が物理学賞を受賞しました。

そして、2015年には▽生理学・医学賞で大村智さん、▽物理学賞で梶田隆章さんが受賞し、この年も2つの賞で受賞者が出ました。

さらに、2016年に▽大隅良典さんが生理学・医学賞を受賞し、2回目となる日本人の3年連続受賞となりました。

近年では、4年前の2018年に▽本庶佑さんが生理学・医学賞、2019年に▽吉野彰さんが化学賞を受賞し、2年連続で日本人が受賞。

さらに去年、▽真鍋淑郎さんが物理学賞を受賞しました。

文部科学省によりますと、去年までの受賞者数の28人はスイスに次いで世界で7番目となっています。

また、2000年以降、去年までに自然科学系の3賞での日本人の受賞者数は20人で、アメリカに次いで2番目の多さとなっています。

一方、ノーベル賞の6つの部門のうち経済学賞だけは、日本人受賞者はいません。