国連安保理 「住民投票」非難する決議案 ロシアの拒否権で否決

国連の安全保障理事会では、ウクライナの東部や南部で行われた「住民投票」だとされる活動を違法だと非難し、ロシアによる一方的な併合などの根拠にはできないとして、ロシア軍の即時撤退を求める決議案をアメリカなどが提出しましたが、ロシアが拒否権を行使して否決されました。

決議案は、アメリカとアルバニアがまとめたもので、ウクライナの東部や南部の4つの州で親ロシア派の勢力が行った「住民投票」だとする活動を違法行為だと非難したうえで、ロシアによる一方的な併合を含む領土の変更の根拠にすることはできないとしています。

また、各国に対してロシアによるウクライナ領のいかなる変更も認めないことを求め、ロシア軍に対してウクライナからの即時撤退を求めています。

採決は30日、日本時間の10月1日午前4時から開かれた緊急会合で行われ、理事国15か国のうち10か国が賛成しましたが、中国、インド、ブラジル、ガボンが棄権し、ロシアが拒否権を行使して、決議案は否決されました。

採決に先立ちアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、「ロシアは武力によって他の国の一部を併合しようとしており、国際社会は断じて認めない」と厳しく非難したのに対し、ロシアのネベンジャ国連大使は、「住民は投票を通じて自由な選択をした。後戻りはありえない」と強く反発しました。

アメリカはこのあと、同様の決議案をすべての国連加盟国が参加できる国連総会にも提出する方針ですが、国連の場でロシアの動きに歯止めをかけることは難しくなっているのが実情です。