食パン 関西は5枚?関東は6枚や8枚が多いのなんでなん?

皆さんは、食パン1斤何枚切りで食べていますか?
静岡県出身の私は、6枚切りや8枚切りを食べてきましたが、関西では厚めの5枚切りが人気。

なぜ関西では5枚切りのような厚切りが人気なのか、そのルーツをたどることにしました。

(大阪放送局 記者 加藤拓巳)

「関西にはなんで食パンの5枚切りが?」

調査のきっかけは、視聴者から寄せられた質問でした。

「関西にはなんで食パンの5枚切りがあるんだろう?」

去年の春、関東から神戸市に引っ越してきたジュンさん。
関東では食パンといえば6枚切りか8枚切りが多いと感じていました。
しかし、関西では8枚切りはほとんど売られていません。一方で、5枚がたくさん並んでいることに驚いたそうです。

スーパーで調べてみると…

関西の食パン事情を探るため、まずは大阪市内のスーパーマーケットに。
広いパン売り場には、110種類の商品がずらりと並べられています。
どの厚さの食パンを買っているのか、お客さんに聞いてみると。

男性客
「5枚切りです。6枚では薄っぺらいし。まあ厚さはこんなもんでええかな」
女性客
「5人家族なので、5枚切りです」
女性客
「いつも4枚を食べている。焼いてバターつける。なんか分厚くて食べやすい」

全体的に厚めの食パンを好む客が多い印象を受けました。
品ぞろえを見ると、大半が4枚切り、5枚切り、6枚切りとなっていますが、8枚切りのような薄切りはほぼ見当たりませんでした。

売り場の担当者に聞くと、最も多く売れるのは5枚切り。客の目に止まりやすい1番下の棚には、5枚切りの製品を並べるようにしているということです。
関西と関東の両方に店舗を持つ、このスーパーでは関西と関東で食パンの品ぞろえを変えているといいます。
ライフセントラルスクエア西宮原店 山村誠 部門マネジャー
「この店では、全体的に5枚切りが1番売れています。関西の店舗では、5枚切りか6枚切りがメインで、首都圏では6枚切りや8枚切りを中心にそろえるようにしています」

関西と関東で食パンは違うのか?

「関西では厚切りが好まれる」

こうした傾向は、大手製パン会社のデータでも見て取れます。
業界最大手の「山崎製パン」の食パンの主力製品(ロイヤルブレッド)でみていきます。
関西で最も売れるのは、
▽5枚切りで43%
▽6枚切りが36%
▽4枚切りが17%
関東で多い▽8枚切りはわずか4%です。

一方、関東で最も売れるのは、
▽6枚切りで51%
▽8枚切りが29%
関西で最も人気のある▽5枚切りは12%となっています。

この東西の違いは、ほかのメーカーでも同じような状況でした。

厚さが違うと何が変わるの?パン屋に聞いてみた。

食パンの厚さによって食感がどのように違うのか、街のパン屋にも足を運びました。
創業11年目の大阪・中央区にあるパン屋では、毎朝、店内の釜でパンを焼き上げ、客の要望に合わせて切り分けています。

この店でも客の半数は5枚切りを選ぶといいます。
この店では、5枚切りと6枚切りの厚さの差は4ミリから5ミリ。
しかし、こうした差が食感に影響しているといいます。
ブランジュリー ラ・フイユ ル・モア 南野綾さん
「厚みがあるほうがふわふわして中はもちっとしているし、薄くなるほどパリッとした食感にはなるので、本当に好みだと思います。あとは食べる目的で、やっぱり4枚は厚みがあってちょっとおなかいっぱい。でも6枚だともの足りなくなってというと、5枚を選ぶのだと思います」

食パンの歴史を調べてみると…

では、いつごろから食パンの厚切りが食べられるようになったのでしょうか。

大阪に本社がある、創業100年を超える製パン会社にルーツを聞くことができました。
この会社で営業企画を担当する、浦崎優子さん。

パンの歴史に精通している浦崎さんによると、戦後、食パンが一般の食卓に普及するまでのいきさつが関係しているといいます。
終戦後、アメリカなどが小麦粉を大量に持ち込み、食パンが日本人の間にも本格的に普及。

この際、進駐軍から製パン会社に対し「サンドイッチに使うような薄い8枚切りの食パンをつくってほしい」という指示があったということで、最初は8枚切りが主流だったといいます。

当時は製造方法の問題で、厚く切ると、固さが気になり、ふんわりとした食感に乏しかっため、薄く切っていたといいます。
しかし、その後、1950年代後半には、小麦粉の質やパンの焼き方が進歩したことで、厚めに焼いても、ふわっとした食感が実現できるようになったといいます。

この頃から製パン会社は6枚切りを大々的に販売するようになりました。
神戸屋営業企画グループ 浦崎優子さん
「サンドイッチは具材を挟むので、やはり薄くて食べやすさがすごく求められることから8枚切りが広がったようです。さらに関東で主流の食パンは6枚や8枚と偶数が多いのですが、それもサンドイッチにしたときに余りが出ないように偶数にしたということも要因だと聞いています」

でも、5枚切りのルーツは…

8枚、6枚と徐々に厚みを増していった食パン。
ただ、浦崎さんも、その後、どうして5枚切りが関西で普及していったか、経緯ははっきりとは分からないといいます。
浦崎優子さん
「6枚切りになったことまでは分かるのですが、5枚切りがなぜ出てきたのかは完全にはつかめていません。ただ、昔は食パンは店頭でお客様の希望に応じてスライサーの厚さを設定していまして、薄く切ったり厚く切ったりしていたので、お客様の要望に応える形でどんどん厚くなっていったのではないかと推測しています」
また、関西で5枚切りのような厚切りのパンが普及する背景について、浦崎さんが指摘するのは、関西と関東でパンに求める役割が食パンが普及する前から違っていたことも要因の1つではないかと考えています。

関東では明治の初めごろにあんパンが生み出され、その結果、パンは簡単につまめる「おやつ」として根付いていったといいます。

一方の関西では、神戸の居留地や大阪のホテルで、外国人がパンを食べていたことをきっかけに、一般の人にもパンは「食事」として見なされるようになりました。
「食事」として食べ応えのあるものが求められたことから、パンにボリューム感を望むようになったというのです。

諸説さまざま…ルーツをたどる旅は続く

今回、関西で厚切りの食パンが好まれる背景について多方面を取材しました。

最も多く聞かれたのが「関西は粉モン文化で、もっちりとした食感や小麦を味わうことを好む一方、関東は、そばのような歯切れのよいものを求めるため、薄い食パンをカリッと焼き上げて食べる」という意見でした。

ただ「5枚切り」が普及した背景は詳しくは分からず、番組で情報提供を求めたところ、大阪の60代の男性が早速、情報を寄せてくれました。

「昔からパン屋では店員が切り分けるスタイルが主流だった」
「5枚を1人で食べると5日分になることが、大阪人の好みに合ったのではないか」
なぜ、5枚切りになったのか?謎に包まれている関西の5枚切りのルーツについて、さらに取材を進めていきます。

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「なんでこうなん?」「関西だけ?」
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