米政府高官 ウクライナ情勢めぐりロシアの核兵器使用をけん制

ウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示していることについて、アメリカ政府高官は、欧米の動きの抑止にはつながらず、核兵器を使用すれば「ロシアは破滅的な結果を招くことになる」と述べて強くけん制しました。

バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は25日に放送されたアメリカ、ABCテレビの番組で、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事支援を行う欧米側を批判し、核戦力の使用も辞さない構えを示していることについて、「われわれの行動を抑止することにはならない」と強調しました。

そして「ロシアで非常に高い地位にある人間と直接、かつ非公式に連絡をとり、核兵器をウクライナで使えばロシアは破滅的な結果を招くことになると伝えた。アメリカは、同盟国や友好国とともに断固とした対応をとる」と述べて、強くけん制しました。

一方で司会者から「ロシアと直接、戦火を交えるのか」と問われると、サリバン氏は直接の言及を避け「われわれはあらゆる不測の事態に備えている」と述べるにとどめました。

また、予備役の動員に踏み切ったプーチン政権に対し、ロシア国内で抗議活動が相次いでいることについてサリバン氏は「プーチンの行いに対する強い不満の表れだ」と述べるとともに「予備役の動員や支配地域でのいかさまの住民投票は、力と自信のなさの表れだ。ロシアとプーチンがもがき苦しんでいる兆候がある」と指摘しました。

松野官房長官「核兵器使用される可能性 深刻に懸念」

バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官がロシアを強くけん制したことについて、松野官房長官は、記者会見で「日米両国間では、日頃から日米安保や防衛協力、軍縮不拡散政策に関するさまざまな事項について、緊密かつ幅広く意見交換を行っているが、やり取りの詳細は、答えを差し控える」と述べました。

そのうえで、日本政府は、ウクライナ情勢をめぐってアメリカの核の使用を容認することがあり得るかどうかについて「仮定の質問への答えは控えるが、わが国としては、ロシアによるウクライナ侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念している。唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇も、まして使用もあってはならないと強く訴えていきたい」と述べました。