静岡 清水区できょうも給水所設置 浸水被害4000棟余確認

台風15号の影響で記録的な大雨となった静岡県内では浸水被害が4000棟余り確認されていて、各地で建物の泥を洗い流すなどの作業が進められています。静岡市清水区では大規模な断水が続いていて、市と海上保安部などが臨時の給水所を設けて対応しています。

静岡県のまとめによりますと、静岡県内各地で浸水の被害が相次ぎ、26日正午の時点で、合わせて14の市と町で、床上浸水が1646棟、床下浸水が2674棟の、合わせて4320棟に上っています。

静岡市によりますと取水口に流木が詰まった影響などで静岡市清水区の8割にあたる、およそ6万3000世帯で断水が起きていて、浸水の被害を受けた地域の復旧にも影響が出ています。

清水区高橋の秋山博野さん(64)の住宅では床上およそ1メートルの高さまで水につかり、26日は床板を剥がして自宅の中を乾燥させる作業を行っていました。
しかし、断水の影響で自宅の水道の水が少しずつしか出ないため、給水所からポリタンクで積んできた水を使って家の中の泥を洗っているということです。

秋山さんは「自宅にいて水が上がってきたときにはもうだめかと思った。水はすぐに引いたが、水道がうまく使えないのでいまは家を洗う作業が進まず困っている」と話していました。
清水区内には29か所に臨時の給水所が設けられていて、清水海上保安部では、清水区日の出町の巴川の河口に巡視船が停泊し、その船内からホースを伸ばして車で訪れた人向けに給水を行っていました。

清水区の46歳の女性は「涙が出るくらい助かっています。ほかの給水所は車で入りづらいところもあり、ありがたいです」と話していました。

静岡 田辺市長 “土曜日以降の段階的な復旧目指す方針”

台風15号の影響で、静岡市清水区の8割にあたるおよそ63000世帯で断水が起きていることについて、静岡市の田辺市長は26日の会見で、27日以降に重機を投入して取水口の流木などを撤去し、土曜日以降の段階的な復旧を目指すという方針を示しました。

この中で、静岡市の田辺市長は24日昼前から続く断水について「大変不便な生活を強いられている住民がいることに非常に心苦しく思っている」と述べました。

復旧の見通しについては「急いでいるが川の水量が下がらず重機を入れられていない。機械での作業が可能になれば最短4日で生活用水の供給が可能になるので1日でも早く対応したい」と述べたうえで、27日以降に重機を投入して取水口の流木などを撤去し、土曜日以降の段階的な復旧を目指すという方針を示しました。

また、これまでの対策が十分だったか問われると、田辺市長は「目標を持って強じん化と治水対策を進めてきたが、想定を上回る雨が集中的に降った」と述べました。

海上保安部が巡視船から給水

静岡市清水区の大規模な断水への対応のため、清水海上保安部は巡視船から水を提供する臨時の給水所を設けて対応しています。

巡視船からの給水は、26日午後3時までは清水区日の出町の巴川の河口で行われ、午後3時から午後9時までは、同じ日の出町にある清水港「日の出ふ頭」で行われるということです。

午後3時から給水を行う巡視船「いず」は大型の巡視船で一般的な2トン給水車250台分に当たるおよそ500トンの水を積んでいるということです。

清水海上保安部の塩見賢司管理課長は「水は重いので車への積み込みは職員が手を貸しながら対応させてもらいます」と話していました。

自衛隊 派遣要請受け給水活動開始

静岡県の川勝知事は静岡市清水区の大規模な断水や、県内各地で集落の孤立が起きていることを受けて、26日午前、自衛隊に対し災害派遣を要請しました。

これを受けて清水区にある静岡市立清水病院には、午後4時前、航空自衛隊浜松基地から給水車が到着し、生活用水10トンを給水しました。

このほか、御殿場市の板妻駐屯地に駐屯する陸上自衛隊の部隊も静岡市内に向かっていて、早ければきょうにも断水が続く特別養護老人ホームなどの福祉施設で給水活動を始めるということです。

人工透析にも大きな影響

記録的大雨の影響で大規模な断水が続いている静岡市清水区では、大量の水が必要な人工透析にも大きな影響が出ています。

静岡県によりますと、静岡市清水区ではおよそ6万3000世帯で断水が続いていて、NHKが取材したところ、人工透析を行っている少なくとも2つの医療機関で治療が行えない状態となっています。

こうした中、清水区七ツ新屋にある「杉山クリニック」では、断水に備えて、敷地内に専用の井戸を整備していて、26日から、ほかの医療機関の患者の受け入れを始めました。

クリニックによりますと、1回の治療でおよそ120リットルの水が必要だということで、26日はふだんから通院しているおよそ70人に加え、断水地域の医療機関の患者、15人が治療を受けているということです。

杉山クリニックの杉山壽一院長は「6年前にこの建物を建てた際に井戸を整備しましたが、まさか実際に使う日が来るとは思いませんでした。患者にとっては本当に『命の水』なのでほかの医療機関からの受け入れも行い、治療にあたっていきたい」と話しています。

水を入れる容器の売り切れが相次ぐ

大規模な断水が続く、静岡市清水区では各地で市などによる給水が行われていますが、周辺の店舗では水を入れる容器の売り切れが相次いでいるということです。

このうち、清水区三保にある金物店によりますと、仕入れていたポリエチレン製の容器30個余りが大雨のあと、ほぼすべて売り切れたということです。

容器は5リットルから20リットルで、中には灯油用のものもありましたが、ほとんどは給水所で水を入れるために購入されたということです。また容器が少なくなるとバケツを購入していく人が多くなったということです。

この金物店の店主は「仕入れ先の問屋も清水区内にあり、次の仕入れの見通しはわからない」と話していました。

床上浸水のうどん店「ここまでひどいのは初めて」

静岡市清水区高橋にあるうどん店では、床上およそ1メートルの高さまで水につかり、客席や調理場のほか、店内に置いてあった酒類が被害を受けました。

26日、店の外には廃棄せざるを得なくなった酒の瓶や泥で汚れたいすや机が置かれていました。

経営者の松波岩徳さんは店の再開には1か月ほどかかる見通しだとしたうえで「これまでも浸水したことはありましたが、ここまでひどいのは初めてです。時間はかかると思いますが、なんとか営業を再開したい」と話していました。

政府 27日にも担当者派遣へ

松野官房長官は、午後の記者会見で、およそ6万4600戸で断水しているものの、応急の給水が実施されていて、最も規模が大きい静岡市では1週間以内の復旧を目指していると説明しました。

そのうえで、状況を把握して、速やかな復旧や支援につなげる必要があるとして、内閣府、厚生労働省、国土交通省の担当者を、27日にも現地に派遣することを明らかにしました。

松野官房長官は「関係機関が緊密に連携し、政府一体となって、被災した地域の支援や速やかな復旧に努めていく」と述べました。