親ロシア派勢力が「住民投票」強行 ウクライナ政府 反発強める

ウクライナでは、東部や南部のロシアの支配地域で、「住民投票」だとする活動が強行されていてロシアは投票結果を根拠に併合に乗り出す構えですが、ウクライナ政府は「偽りの住民投票は法的に意味がない」と反発を強めていて、領土の奪還を目指す姿勢を鮮明にしています。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、東部や南部のロシアの支配地域では親ロシア派の勢力が今月23日から「住民投票」だとする活動を強行しています。

これに関連してロシアのラブロフ外相は24日の記者会見で、ロシアの記者がこの地域の併合を念頭に、「自国への攻撃を受けた場合、それが核兵器使用の根拠となるのか」と質問したのに対して「悲観的な予測をするつもりはないが、われわれには核の安全保障に関する基本原則があり、それはロシアの全領土に適用される」と述べ、核戦力の使用の可能性を明確には否定しませんでした。

これに対して、ウクライナ政府は、ロシアが一方的な併合に向けて既成事実化を進めているとして強く反発しています。

マリャル国防次官は、NHKのインタビューで、「ロシアにとって唯一の選択肢は住民投票をでっちあげることなのだが、法的には全く意味がない」と指摘したうえで「こうした地域は国際的に承認されたウクライナの国土であり、返還されなければならない」と述べ、領土の奪還を目指す姿勢を鮮明にしました。

親ロシア派の勢力は「住民投票」だとする活動を27日まで行うとしていて、ロシア国営のタス通信は、終了後、30日にも、併合の手続きが行われる可能性があると伝えていて、情勢が緊迫しています。

一方、ロシアのプーチン政権は予備役の動員に踏み切りましたが、ロシア国内では動員に抗議する活動が各地で相次いでいます。

政権側は学生の招集を延期する方針を発表するなど国内の世論に配慮したとみられる動きもみせています。