博物館などで古文書食べる害虫「シミ」相次いで発見 外来種か

博物館などで紙の資料を食べることから害虫とされる「シミ」について、国内ではこれまで報告が無かった種類が全国で相次いで見つかっていることが分かりました。従来の「シミ」より繁殖力が高いとみられ、専門家は、文化財などに被害が出るおそれがあるとして、対策が必要だとしています。

紙を食べる昆虫、「シミ」は、博物館などに保管されている古文書などを損傷させる害虫として知られています。

東京文化財研究所などのグループによりますとこの数年、国内の博物館などからこれまで知られていた種類とは異なる「シミ」が相次いで報告されたことから、DNA解析などを行ったところヨーロッパや中米などに生息する外来種とみられることが分かったということです。

この「シミ」は体長が1センチほどで色が白っぽいということで、グループでは、和名として「ニュウハクシミ」と名付けました。

グループによりますと少なくとも国内の7か所で確認され、1か所で100匹以上捕獲されたケースもあったということで、メスしか見つかっていないことなどからメスだけで繁殖できる可能性があるということです。

グループでは繁殖力が非常に高いため、従来の対策では十分ではない可能性があるとして全国の博物館などに注意を呼びかけています。

東京文化財研究所保存科学研究センターの佐藤嘉則室長は「北海道から九州まで全国的に見つかっていてどんどん被害が出てくる可能性がある。紙の資料の保管法について改めて検討が必要だ」と話していました。

見つかった「シミ」とは

今回見つかった「ニュウハクシミ」は、大きさ1センチほどで、体全体が白っぽい色の「うろこ」で覆われていて、長い触角があるのが特徴です。

これまで国内では報告が無く、和名が無かったため、今回、東京文化財研究所などのグループが和名として新たに「ニュウハクシミ」と名付けました。

この数年、国内の博物館などから害虫を捕まえるトラップで捕獲されたという報告が相次いでいるということで、これまでに北海道から九州までの少なくとも7か所から捕獲の報告が寄せられているということです。

従来のシミは、捕獲されても、1か所で1匹、2匹程度だったのに対して「ニュウハクシミ」は100匹以上捕獲されたケースがあったということです。

また、これまで見つかった「ニュウハクシミ」は体の特徴からすべてメスで、研究のためにメス1匹だけを飼育しても次々と増えたことなどからメスだけで繁殖できる可能性があるということです。

「ニュウハクシミ」は、100年以上前の1910年にスリランカで初めて報告され、2017年にヨーロッパでも初めて確認されたということで、これまでにおよそ20か国で見つかっているということです。

グループによりますと、ヨーロッパなどでは新型コロナウイルスの影響で博物館などが閉館していた間に繁殖した可能性が指摘されているということです。

国内での詳しい実態は分かっていませんが資料の貸し借りなどを通じて「ニュウハクシミ」が広がったとみられるということです。

古文書への影響は

「シミ」は、主に紙を食べる昆虫で、古文書や古本などの資料に被害を及ぼす“文化財害虫”として知られています。

紙の表面をなめ取るように食べることから古文書の文字などが失われてしまうため一度、被害にあうと復元が難しいとされています。

ただ、これまで国内で知られていた「シミ」は短期間で急速に増えることはなく、温度や湿度の管理や清掃などを適切に行うことで、文化財への被害を防ぐことができていたということです。

東京文化財研究所などのグループでは新たに確認された「ニュウハクシミ」は詳しい生態が分かっておらず、従来の対策だけでは文化財に被害が出るおそれがあるとして、全国の博物館などに注意を呼びかけるほか、殺虫剤など駆除の方法について研究を急いでいるということです。