【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9月22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア市民 周辺国へ出国の動き「予備役の部分動員」影響か

ロシアのプーチン大統領が予備役を部分的に動員すると発表したあと、ロシアの市民のなかには周辺国に出国する人も出始めています。

ロシアと軍事同盟を結び入国ビザが不要となっている、旧ソビエト・アルメニアの首都エレバンの空港に21日、到着したロシア人の男性は「予期せぬ出国でした。私は17歳で、まだ動員に関する連絡は受けていません。オンラインで学生として授業を受けていますが、徴兵を免除されるかどうか、わからないため、出国しました」と話していました。

また男性の父親は「このようなシナリオを想定していたので、それほど動揺しなかった。早めに航空券を購入したので値段はそれほど高くなく、無事に国境を越えることができた」と話していました。

このほか、ロシア国籍の人が短期滞在する際にはビザが不要となっているトルコの空港に22日、到着したロシア人の男性は「私がここに来た理由の1つは、予備役の部分的な動員です。なんともひどい決定で、多くのロシア人にたくさんの問題をもたらすでしょう。戦闘や動員、それに軍隊への参加を望むロシア人は多くないと思います」と話していました。

また、妻と10代の娘とともに到着した別の男性は「人員が不足していたので、動員は避けられなかったと思います」と話していました。

モスクワ→イスタンブール直行便チケット 27日分まで売り切れ

トルコ航空の予約サイトでは、日本時間の22日午後5時時点で、1日5便あるモスクワ発イスタンブール行きの直行便のチケットが、9月27日の分まですべて売り切れていました。

21日にプーチン大統領が予備役の部分的な動員を発表したことが影響したのではないかとみられています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、欧米各国はロシアからの航空便の受け入れを停止する中、トルコとの間では往来が続いています。

またロシア国籍の人がトルコに短期滞在する際はビザが不要とされ、トルコはロシア人にとって訪れやすい国の1つとなっています。

EU緊急の外相会議 ロシア制裁とウクライナ支援継続で一致

ロシアのプーチン大統領が、核戦力の使用も辞さない構えを示したことなどを受けて、EU=ヨーロッパ連合は緊急の外相会議を開きロシアへの制裁とウクライナへの軍事支援を続けていく方針で一致しました。

ロシアのプーチン大統領は国民向けのテレビ演説で、ウクライナに派遣する兵士について予備役を部分的に動員すると発表するとともに、核戦力の使用も辞さない構えを示しました。
これを受けてEUは国連総会が行われているニューヨークで21日、緊急の外相会議を開きました。

会議のあとEUの外相にあたるボレル上級代表は記者会見を開き、ロシアへの制裁とウクライナへの軍事支援を続けていく方針で一致したことを明らかにしました。

ボレル上級代表は「国際社会が平和を構築しようと取り組んでいるときにこうした脅しを耳にするのはショッキングなことだ。この脅しはウクライナの側に立ち、領土の一体性と主権を守ろうとするウクライナを必要なかぎり支援しようとするわれわれの決意と結束を揺るがせはしない」と述べました。

米英首脳会談 ウクライナ支援や中国・ロシア依存の減少で一致

バイデン大統領とトラス首相は21日、国連総会が開かれているニューヨークで、対面では初めてとなる首脳会談を行いました。

アメリカ ホワイトハウスの発表によりますと、両首脳は、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援や、経済力を背景に世界各地で影響力を強める中国への対応などで、緊密に連携していくことを確認しました。

また、イギリスの首相官邸の発表によりますと、両首脳はエネルギーと技術、それに部品の供給網について「権威主義国家への行き過ぎた依存を終わらせなければならない」と強調し、ヨーロッパで顕著になっているエネルギー面でのロシアへの依存と、世界的に広がる中国への経済的な依存を減らすための取り組みを強化することで一致しました。

アメリカとイギリスはこれまで、ロシアに対する制裁や中国への厳しい姿勢などで足並みをそろえてきましたが、イギリスの首相が今月からトラス首相に代わっても、引き続き連携して中ロ両国に対抗していくことを確認した形です。

ウクライナ ロシアと捕虜の交換 215人解放

ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、ビデオメッセージを公開し、ロシアと捕虜の交換を行い、215人が解放されたことを明らかにしました。

捕虜の交換はトルコなどの仲介で行われ、これまでで最も多くの人が解放されたとしています。

この中には、
▽激戦となった東部のマリウポリの製鉄所で戦っていた「アゾフ大隊」の隊員108人のほか、
▽国境警備隊、警察官なども含まれているということです。
さらに、
▽イギリス人やアメリカ人など外国人も10人含まれているということです。

一方、ウクライナ側はロシア人55人と、親ロシア派の政党の指導者1人を解放したということですが、ロシア側はこれまでのところコメントを出していません。

ゼレンスキー大統領は、「これは私たちの国、社会全体の完全な勝利だ」と述べ成果を強調しました。

解放された兵士の一部はトルコにいるということです。

ゼレンスキー大統領とビデオ会議で会話を交わした兵士は「感無量です。捕虜交換に関わってくれた人やすべてのウクライナ人に感謝します」と話していました。

英トラス首相 国連総会で演説 “ロシアや中国と対決姿勢強化”

今月就任したイギリスのトラス首相は21日、国連総会で初めて演説しました。

この中でまず、今月8日に死去したエリザベス女王が1957年に国連で行った演説に触れ、「女王陛下は、高い理想を掲げるだけでなく、それを実現する政治的意思を持つ重要性を説いた。今こそ理想を守るため戦い、人々のためにそれを実現しなければならない」と強調しました。

そして「自由主義諸国には、権威主義的な国の侵略を押し返し、この戦略的競争の時代を勝ち抜くための経済的な力が必要だ」と述べ、ロシアや中国に依存しないエネルギーや資源などの供給網を確立するため、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入などを進めているとしました。

さらに、ウクライナ情勢について「プーチンは予備役の兵を恐ろしい運命に送り込み、みずからの壊滅的な失敗を正当化しようとしている」と批判し、ウクライナへの軍事支援を今の規模で続けるか、増やしていくことを明らかにしました。

そのうえで「この任務へのイギリスの傾倒は全面的なものだ。われわれは世界中の友人や同盟国とともに自由、主権、そして民主主義を支持する」と述べ、ロシアや中国との対決姿勢をさらに強化する構えを示しました。

G7外相会合 ロシアの予備役動員発表に深刻な懸念相次ぐ

ニューヨークでの国連総会に合わせて日本時間の22日朝、G7の外相会合が開かれ、林外務大臣やアメリカのブリンケン国務長官らが出席しました。

この中では、21日にロシアのプーチン大統領がウクライナに派遣する兵士について、有事に招集される予備役を部分的に動員すると発表するとともに、核戦力の使用も辞さない構えを示したことに対し、G7各国の外相から深刻な懸念が相次いで示されました。

そのうえで、G7として、今後もウクライナへの支援を継続するとともに、食料やエネルギーの安定供給の確保に連携して取り組むことを確認しました。

そして、林大臣は、ロシアに対する日本の追加制裁として、輸出禁止の対象に軍事関連団体を加える予定だと明らかにしました。

ロシア国内では派遣避けるため出国模索する動き

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに派遣する兵士について、予備役を部分的に動員すると発表したことを受けてロシア国内では戦地に派遣されるのを避けるために出国を模索する動きがみられます。

IT大手「グーグル」のインターネット検索サービスの動向を分析するサイトによりますと、「航空券」に関連する検索がそれまでの2倍以上の水準となっているほか、「出国」を意味することばの検索も急激に増加しています。

ザポリージャ原発で再び砲撃 電力供給ケーブル損傷 IAEA

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原発は、相次ぐ砲撃により一時的に外部電源を失うなど、安全性への懸念が広がっています。

最近は、原発への電力供給も復旧し、砲撃による被害も伝えられていませんでしたが、IAEAのグロッシ事務局長は声明を出し、21日未明にタービン建屋近くで砲撃があり、6基の原子炉のうち1基に電力を供給するケーブルが損傷したと明らかにしました。

現在は冷温停止状態にある原子炉は、冷却を維持するためなどの電力を必要としていて、ケーブルの損傷を受けて非常用発電機が40分ほど動き、その後、電力供給は復旧したということです。

また、グロッシ事務局長は、前日の20日にも施設内に砲撃があったと懸念を示したうえで、みずから提案する、原発周辺を安全な区域に設定することなど安全確保の必要性を改めて訴えました。

岸田首相 ゼレンスキー大統領夫人に支援継続を伝える

ニューヨークを訪問している岸田総理大臣は、日本時間の21日夜、女性の地位向上などを目指す国連機関が主催したイベントに出席した際に、ウクライナのゼレンスキー大統領の妻、オレーナ氏と短時間、ことばを交わしました。

この中で、岸田総理大臣は「日本はロシアによる侵略から祖国と民主主義を守るために戦うウクライナの国民とともにある。G7=主要7か国をはじめとする同志国と連携して対ロ制裁とウクライナ支援を継続していく」と述べました。
これに対し、オレーナ氏は「日本によるさまざまな支援に感謝する。ロシアがウクライナを侵略する中、日本の力強い声をありがたく思っている」と応じました。

ゼレンスキー大統領「ロシアが戦争望んでいる」国連でビデオ演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は、21日、国連総会でビデオ演説し、「私たちは軍事侵攻の被害を受けていて、平和を取り戻すために戦っている。そのために結束してくれていることに感謝する」と述べて、国際社会に対して継続的な支援を呼びかけました。

そのうえで、平和を実現するための前提条件として、侵略行為が処罰されることや、領土が保全されることなどが欠かせないと訴えました。

さらにロシアが、ウクライナに派遣する兵士について予備役を部分的に動員し、ウクライナで支配する地域で「住民投票」と称する活動を始めようとしていることについて「動員にしても、偽の住民投票にしても、ロシアが戦争を望んでいることを示している」と述べて、批判しました。

また、「ウクライナは平和を求めている。ヨーロッパは平和を求めている。世界は平和を求めている。しかし、ただ1人が戦争を望んでいる」と述べて名指しはしなかったものの、ロシアのプーチン大統領を批判しました。

プーチン大統領 予備役動員表明と核戦力で威嚇

ロシアのプーチン大統領は、21日、国民向けのテレビ演説を行い、ウクライナへの侵攻を続ける考えを改めて強調したうえで、戦地に派遣する兵士について、職業軍人だけでなく、21日からは有事に招集される、いわゆる予備役を部分的に動員すると発表しました。

招集するのは、軍務経験がある予備役に限定されるとしていて、ショイグ国防相は、動員の規模は30万人だと説明し、訓練を受けた後、戦地に派遣するとしています。

また、プーチン大統領は、ウクライナへの軍事支援を行う欧米側を激しく批判し、「ロシアの領土の一体性への脅威が生じた場合、国家と国民を守るために、あらゆる手段を行使する。これは、脅しではない。核兵器でわれわれを脅迫するものは、風向きが逆になる可能性があることを知るべきだ」と述べ、核戦力の使用も辞さない構えを示し、欧米側を威嚇しました。

またプーチン政権は、ウクライナ東部や南部で支配する地域の一方的な併合をねらい、親ロシア派勢力は、23日から27日にかけて「住民投票」だとする組織的な活動を始める予定です。

予備役の部分的な動員発表 ロシア各地で抗議活動

ロシアのプーチン大統領が発表した予備役の部分的な動員や、ウクライナ侵攻を継続することへの抗議活動が、21日、ロシアの各地で行われ、政権側は参加者を次々と拘束しています。

首都モスクワの中心部には大勢の人が集まり、「動員反対」や「戦争反対」などと声をあげていました。

これに対して治安部隊が参加者を次々と拘束して車両に押し込んでいました。

また、中部の都市エカテリンブルクでも抗議活動のため集まった人たちが治安当局に脇を抱えられるなどして拘束されていました。

抗議活動はロシア各地に広がり、ロシアの人権団体は日本時間の22日午後4時すぎの時点で少なくとも39の都市で1300人余りが拘束されたとしています。

ロシア国内 「航空券」関連検索が急増

IT大手「グーグル」のインターネット検索サービスの動向を分析するサイトによりますと、21日、ロシアのプーチン大統領が予備役の部分的な動員を発表して以降、ロシア国内では「航空券」に関連する検索がそれまでの2倍以上の水準となるなど急激に増えています。

「航空券」について検索する利用者が合わせて検索しているキーワードとしては、「ロシアを出てどこに行くべきか」とか「ロシア国民がビザなしで行ける国」などが以前より増えているということです。

また、「出国」を意味することばの検索も急激に増加し、「部分的な動員のなかでの出国」などの組み合わせで検索されていて、動員の発表を受けて国外への渡航が可能かどうか調べる人が増えています。

仏マクロン大統領「若者をさらに戦争に引きずり込む選択」

国連総会に出席しているフランスのマクロン大統領は、21日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が、予備役を部分的に動員すると発表したことについて記者団に対して「動員を行い、若者をさらに戦争に引きずり込む選択をしたことをとりわけ遺憾に思っている」と述べました。

そのうえで「まずロシアに、そして全員に呼びかけるのは停戦と和平であり、この無意味な戦争を止めるため、プーチン大統領に最大限の圧力をかけることだ」と訴えました。

バイデン大統領 “国連憲章に違反”とロシア非難

アメリカのバイデン大統領は21日、国連総会で演説し、ロシアについて「国連安全保障理事会の常任理事国が隣国に軍事侵攻し、地図から主権国家を消そうとした」と述べ、安保理の常任理事国であるロシアがみずから国連憲章に違反したと非難しました。

そして、ウクライナの親ロシア派の勢力が領土の一方的な併合に向けて「住民投票」だとする活動を計画していることについて「ロシア政府は、偽りの住民投票を組織し、ウクライナの領土を併合しようとしている。重大な国連憲章違反だ」と指摘しました。

さらに、プーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示したことについて「核不拡散体制の責任を無視した無謀な発言だ」と述べ、ロシアがNPT=核拡散防止条約の締約国でありながら、責任を放棄していると強く批判しました。

そのうえで「われわれは、同盟国や友好国と連携し、ロシアに代償を科す。残虐行為や戦争犯罪についてロシアの責任を追及する」と強調しました。

一方、バイデン大統領は、ロシアによる軍事侵攻で悪化した食料危機に対応するためだとして、29億ドル以上、日本円にしておよそ4180億円の支援を表明しました。

難民高等弁務官“ウクライナで数百万人の避難民 支援が急務”

国連総会に出席するためニューヨークを訪れているグランディ難民高等弁務官は、NHKのインタビューに応じ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が世界のさまざまな分野で危機を広げているとして、「30年以上、国連で働いてきたが、これほど多くの課題に直面したことはない」と、危機感をあらわにしました。

そのうえでウクライナ国内の状況について、「厳しい冬を控えいまだに数百万人が安全な住まいに戻れていない。東部や南部で続く激しい戦闘がいまも多くの避難民を生み出している」として、国内で避難を強いられたり、国外から帰国したりした人たちの生活の支援が急務だという考えを示しました。

そして、国連の安全保障理事会が大国どうしの対立から機能不全に陥り、ウクライナを含め世界各地の紛争を解決できなくなっていると指摘したうえで、「難民が故郷に戻るためには、紛争が政治的に解決される必要がある。各国の首脳が出席する国連総会の場で解決策を見いだして欲しい」と述べ、各国の首脳が参加する国連総会の場で政治的な解決策を模索すべきだと訴えました。