親ロシア派 ロシア編入の住民投票表明 ウクライナや欧米が反発

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナで、親ロシア派の勢力は今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。これに対してウクライナや欧米は強く反発していて、住民投票が強行されればロシアへの批判が一層強まるとみられます。

ウクライナの親ロシア派勢力は20日、東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州それに南東部のザポリージャ州の支配地域で、それぞれ今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。

ウクライナ軍の反転攻勢を受けてプーチン政権が急きょ、支配地域の一方的な併合に動き出した形です。
これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアが偽りの住民投票を行おうとしている」と非難したうえで、住民投票の実施に国際社会が一致して反対することが重要だと強調しました。

そして、ウクライナ軍が反転攻勢を強める東部などの状況について「前線の戦況は軍事的な主導権がウクライナ側にあることを示している」と述べ、さらに反撃を強化する考えを示しました。
また、アメリカのブリンケン国務長官は20日「もし、住民投票が進められ、ロシアがウクライナの領土の併合をもくろんでいるのなら、アメリカは決して認めることはない。国連憲章を支持するほかの国々にとっても、それを明確にすることは非常に重要だ」と述べ、住民投票などが進められた場合、国連の加盟国に対し反対の立場を示すよう呼びかけました。

このほか、ドイツのショルツ首相なども住民投票は認められないとして強く反発していて、住民投票が強行されればロシアへの批判が一層強まるとみられます。

松野官房長官「国際法に反する行為 強く非難」

松野官房長官は、午前の記者会見で「ウクライナ国内での住民投票と称する行為は、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法に反する行為であり認めてはならず強く非難する。そうした試みは無効であり、国際社会の法の支配に反するものだ」と述べました。

また「力による一方的な現状変更の試みは決して看過できず、引き続きG7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携しつつ、強力な対ロシア制裁とウクライナ支援の2つを柱にして、しっかり取り組んでいく」と述べました。