【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9月19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 “南ウクライナ原発近くでミサイル落下”

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、SNSへの投稿で「南部ミコライウ州にある南ウクライナ原子力発電所からおよそ300メートルの場所にミサイルが落下し、短時間の停電が発生した」と明らかにしました。

ゼレンスキー大統領があわせて投稿した映像では、大きな爆発とともに火花が飛び散っているようすが確認できます。

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムによりますと、南ウクライナ原発の3基ある原子炉に損傷はなく、通常の運転を続けているほか、職員などにけがもないということです。

ただ、爆発の衝撃で原発の施設内にある建物の窓ガラス100枚以上が割れたということです。

ゼレンスキー大統領は「ロシアは全世界を危険にさらしている。手遅れになる前に止めなければならない」と述べロシア側による攻撃だとして非難を強めています。

ハルキウ州でロシア軍が市民を拷問したとみられる部屋見つかる

ロイター通信によりますと、ハルキウ州のデルハチ周辺では、ロシア軍によって地下室に市民らが閉じ込められ拷問が行われたとみられる場所が見つかったということです。

映像には、鉄格子のある部屋に薄黒く汚れたマットレスや毛布が置かれ、皿が散乱している様子が映っているほか、砲撃の影響で天井などが大きく壊れている様子も確認できます。

デルハチのザドレンコ市長は「ここがロシア側が市民たちを閉じ込めていた拷問用の地下室だ。市民はロシア軍から必要な情報を聞き出された後、この部屋に閉じ込められた。食べ物や医療の提供もなかった」と述べ悲惨な状況だったとしてロシア側を非難しました。

イジューム集団墓地で捜査続く 市長“2週間ほどかかる”

ウクライナがロシア軍から解放した東部ハルキウ州の重要拠点イジュームで見つかった多くの人が殺害され埋められたとみられる集団墓地では、ウクライナ当局による捜査が続いています。

18日も、作業服に身を包んだ人たちがシャベルを使って墓地の土を掘り起こし、遺体の詳しい状況を調べていました。

イジュームの市長は18日、テレビ番組の中で、すべての作業を終えるのには、2週間ほどかかるとの見通しを示しました。

ウクライナ当局は、遺体の身元の特定を進めるとともに、さらに詳しい捜査を行うため、すべての遺体をハルキウ市内に移送するとしています。

ゼレンスキー大統領 主要都市解放に向け改めて意欲示す

ウクライナのゼレンスキー大統領は、18日に公開した動画で、東部や南部での反転攻勢について「ウクライナ軍はこれまでに一連の勝利をおさめることができたが、もしかしたら今は小康状態に見えているかもしれない。しかし、これは小康状態ではなく、次の段階に進むための準備だ」と述べました。

そして、すでに奪還した東部ハルキウ州のイジュームなどに加えて、南部のヘルソンや東部のマリウポリなど、主要な都市の解放に向けて改めて意欲を示しました。

ロシアの国民的歌手がウクライナ侵攻をSNSで批判

ヒット曲「百万本のバラ」を歌ったことで知られるロシアの国民的歌手、アーラ・プガチョワさんが18日、事実上、ウクライナ侵攻を批判するメッセージをSNSに投稿し、ネット上で高い関心を集めています。

プガチョワさんは、夫で、政権をやゆしながら侵攻に反対してきたガルキンさんが今月16日にロシア政府から、いわゆる外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定されたのを受けて、自身のインスタグラムにメッセージを投稿しました。

この中で「祖国の繁栄、平和な生活、言論の自由を望み、幻想的な目標のために子どもたちを殺すのをやめさせたいと願う、真の愛国者である夫と連帯する」として、自身も「外国の代理人」のリストに加えてほしいと訴えています。

プガチョワさんはとくに高齢者層からの人気が根強く、プーチン大統領も8年前に直接、国家勲章を授与したり誕生日に祝意を伝えたりしてきました。

プガチョワさんの投稿に対しては、ウクライナだけでなくロシア国内からも賛同や称賛のコメントが相次いでいて、政権側の反応が注目されています。

“ロシア軍が民間のインフラ施設を攻撃” ウクライナ側が非難

ウクライナ軍は東部ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から解放したと発表し、さらに東のドンバス地域に部隊を進めているものとみられます。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は17日、ウクライナ軍は、東部ドネツク州の重要拠点リマンの周辺に駐留するロシア軍を包囲する可能性があるという見方を示しています。

一方、ウクライナ軍は18日、ロシア軍がミサイル攻撃を繰り返し、24時間で30以上の集落のインフラ施設が被害を受けたと発表しました。

また、ドネツク州のキリレンコ知事はSNSに戦況を相次いで投稿し、州内で合わせて7人の市民がロシア軍の攻撃で死亡したとしてロシアを強く非難したほか、東部ドニプロペトロウシク州のレズニチェンコ知事は攻撃で2人が死亡し、ガスパイプラインや送電線などが被害を受けたと明らかにしました。

イギリス国防省は18日、ロシア軍が民間のインフラ施設への攻撃を増やしていると指摘したうえで、ウクライナの人々と政府の士気を直接くじこうと、標的を拡大した可能性が高いと分析しています。