台風14号 専門家「速度が遅く 暴風や大雨が長く続くおそれ」

専門家は、今回の台風14号は速度が遅いため暴風や大雨が長く続くおそれがあるとしていて、頑丈な建物で避難を続けるよう呼びかけています。

人が飛ばされるような風 頑丈な建物に避難を

名古屋大学の坪木和久教授は台風14号の警戒点について「台風の接近前から強風となっているが、接近によりさらに風は強まる。特に中心付近の風が最も強く、人が飛ばされるほか、電柱が折れ、車が横転するような風が吹くので頑丈な建物に避難を続けることが重要だ」としています。

台風中心付近 70センチ水面上昇も

さらに「高潮」にも厳重な警戒が必要だとしています。

坪木教授は「現時点の台風の中心気圧は930ヘクトパスカル余りだが、中心付近ではこの影響で70センチ程度水面が上がる。猛烈な風で海水が海岸に吹き寄せられて潮位があがる『吹き寄せ効果』で水位はさらに高くなるおそれがあり、危険な状態だ。海の近くや川には近づかないことが重要だ」と話していました。

台風北上で今後熊本でも大雨おそれ

今後の台風の進路や勢力などについては、「鹿児島県に上陸したが、中心付近の地上の風が極めて強く暴風に対する厳重な対策が必要だ。今後台風は勢力を維持して北上する予想だが、移動速度がゆっくりで暴風や大雨が長く続く。現在、台風の東側の宮崎や大分で大雨になっているが、北上とともに、今後は熊本側でも大雨となる可能性がある」としています。

台風中心から離れた地域でも警戒を

また、台風の中心から離れた地域でも警戒が必要だといいます。

坪木教授は「いま台風の中心の東側、四国から関東にかけて、南から大量の水蒸気が流れ込み大気の状態が極めて不安定な状態になっている。関東を含む太平洋側のすべての地域で注意が必要な状況で、場合によっては『スーパーセル』のような激しい積乱雲、それに伴う竜巻が発生する可能性がある。台風の中心が遠いから大丈夫ということはなく警戒が必要な状況だ」と話していました。

土砂災害の専門家 “深層崩壊”で大規模な土砂災害の危険性

大雨の特別警報が出されている宮崎県では降り始めからの雨量が800ミリを超えている地域もあり、専門家は、「深層崩壊」などの大規模な土砂災害の危険性が高まっていると指摘しています。

九州の土砂災害に詳しい鹿児島大学の地頭薗隆教授は、宮崎県では、斜面が地下深くからえぐられるように崩壊する「深層崩壊」などの大規模な土砂災害の危険性が高まっていると指摘します。

その理由として宮崎県で今月15日の降り始めからの雨量が800ミリを超えていることをあげています。

2005年9月の台風14号では宮崎県を中心に死者・行方不明者が29人にのぼりましたが、大規模な「深層崩壊」が発生した宮崎県の椎葉村では総雨量が800ミリを超えていたということで、今回も場所によってはこのときの雨量に迫るか超えているような状況になっています。

地頭薗教授は「『深層崩壊』は非常に規模が大きな現象で、崩壊する土砂の量も多くなるため集落の近くで発生すると大規模な被害を引き起こすおそれがある。今回はすでに深層崩壊のような大規模な崩壊が起きる雨量に達していることを知っておいてほしい」としています。

また、「深層崩壊」は雨がやんでからも発生することがあり、大雨が一段落したとしても注意を続ける必要があるということです。