ゼレンスキー大統領 “東部と南部で6000平方キロ以上を解放”

ウクライナ軍が東部で反転攻勢を続ける中、ゼレンスキー大統領は12日、「東部と南部で6000平方キロメートル以上を解放した」と述べたうえで、反撃をさらに進める考えを示しました。
一方、ロシア側は軍事侵攻を継続する構えを改めて強調していて、今後のプーチン政権の出方が焦点になります。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、東部でウクライナ軍の反転攻勢の動きが鮮明になっています。

ロシア国防省は東部での戦線の重要拠点となっているハルキウ州イジュームからの撤退を事実上、表明していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は11日、ウクライナ軍がイジュームを含むハルキウ州のほぼ全域を奪還し「ロシアの作戦に大きな敗北をもたらした」と指摘しています。

こうした中、ゼレンスキー大統領は12日に公開した新たな動画で「われわれの兵士たちはすでにウクライナの東部と南部で6000平方キロメートル以上を解放した。わが軍の移動は続いている」と述べ、反撃をさらに進める考えを示しました。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は12日「すべての目標が達成されるまで作戦は継続される」と述べ、軍事侵攻を継続する構えを改めて強調しました。
プーチン大統領は、今月15日から行われる上海協力機構の首脳会議に出席するため中央アジアのウズベキスタンを訪問する予定ですが、大統領府に近い情報筋によりますと、これを前に戦況などについて分析する安全保障会議が開かれる可能性があるということで、今後のプーチン政権の出方が焦点になります。
一方、ウクライナが奪還したとされるイジュームの状況について12日、地元の市議会議員がオンラインで会見を開き、戦闘に巻き込まれるなどして少なくともおよそ1000人の市民が死亡したと明らかにしました。

今後、ロシア側の占領や、戦闘などによる住民の被害の実態解明が急がれることになりそうです。

ゼレンスキー大統領 さらなる反転攻勢を強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日に公開した動画で「9月初めから今日までにわれわれの兵士たちは、すでにウクライナの東部と南部で6000平方キロメートル以上を解放した。わが軍の移動は続いている」と述べ、さらなる反転攻勢を強調しました。

また、11日と12日の2日間にロシア軍が行ったエネルギー関連のインフラへの攻撃により、数十万人が停電の影響を受けたとしたうえで、ロシア軍が民間施設をミサイルで攻撃していると非難しました。

そして「これはこの戦争をたくらんだ者の絶望の表れであり、ハルキウ州での敗北への反応である。彼らは戦場でわれわれの英雄に何もできないので、民間のインフラに卑劣な攻撃をしている」と述べました。

米軍高官 “ロシア軍 ハルキウ市近郊から撤退”

アメリカ軍の高官は12日、記者団に対し、ウクライナ軍が反転攻勢を続けるウクライナ東部の戦況について、ロシア軍がハルキウ市近郊で掌握していた地域の大部分を明け渡し、撤退したという分析を明らかにしました。

撤退したロシア軍の部隊の多くは国境を越えてロシア領内に移動したとしています。

そのうえで、この高官はウクライナ軍がハルキウ州内の重要拠点のイジュームも奪還した可能性が高いという認識を示しました。

この高官は、アメリカなどが供与している兵器がウクライナ軍の反転攻勢に役立っていると指摘し、国際社会と連携しながらウクライナに対して必要な軍事支援を続けていく考えを強調しました。

松野官房長官「引き続き対ロ制裁とウクライナ支援を柱に」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「戦況の見通しについて確定的な評価や予測を示すのは困難だが、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹がロシアのウクライナ侵略によって脅かされており、平和秩序を守り抜くため、G7=主要7か国をはじめとする国際社会が結束して、断固たる決意で対応していく必要がある」と述べました。

そのうえで「わが国は、主権と領土そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにある。引き続き、強力な対ロ制裁とウクライナ支援の2つの柱にしっかりと取り組んでいく」と述べました。