新型コロナ “第6波”以降 中等症からの死亡が増加 90%近くに

ことし初めからの新型コロナウイルスの第6波以降、コロナの症状が中等症で亡くなる人の割合が増えたことが、国立国際医療研究センターが全国の患者のデータを分析した結果、分かりました。
ワクチン接種が進むなどして重症化する患者の割合が減った一方、持病のある人がコロナ感染をきっかけに全身状態が悪化して亡くなるケースが多くなっているとしています。

国立国際医療研究センターは、先月下旬までに全国各地の医療機関に入院した7万人余りのうち、亡くなった2861人の経過を分析しました。

その結果、コロナによる肺炎が悪化し人工呼吸器が必要になるなど重症だったのは、去年夏の第5波では亡くなった患者のうちの42%だったのが、ことし初めからの第6波では13%と減少していました。

さらに、ことし夏の第7波では分析を行った時点で亡くなった人は少なかったものの、重症だった人は5%でした。

一方で、中等症だったのは第5波では57%だったのに対し、第6波で83%、第7波で89%と増加していてワクチン接種が進んだことなどで重症の肺炎になる患者が減った一方、コロナ感染をきっかけに持病が悪化して亡くなる患者が多くなっているとしています。

分析した大曲貴夫国際感染症センター長は「中等症でも、特に持病のある高齢者は、臓器の働きが悪くなって衰弱し亡くなる人が目立つ。『コロナは死ぬような怖い病気ではなくなった』という意見もあるが、現場ではコロナにかからなければ亡くなることはなかったというケースばかりだ。なるべくかからないよう対策し、ワクチン接種で重症化を回避することを続ける必要がある」と話しています。