【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

イギリス国防省 “ウクライナ軍 最大で50キロ前進”

戦況を分析するイギリス国防省は10日に「ウクライナ軍は今月6日からハルキウ州南部で作戦を開始し、ロシアが占領していた地域に最大で50キロ前進した。ロシア軍は奇襲を受けた」と指摘しています。
さらにウクライナ軍が東部ドンバス地域の最前線で戦うロシア軍の補給路となっているハルキウ州のクピヤンシクに迫っていて、奪還に成功すればロシア軍に大きな打撃になると分析しています。

ウクライナ軍の攻勢受け ロシアの“併合向けた住民投票”延期か

ロシア軍が支配してきた東部や南部では、ロシアで11日に行われる統一地方選挙にあわせて、併合に向けた住民投票を実施する計画があったとみられています。

しかし、今月になってプーチン政権の与党幹部が住民投票を11月に実施するよう提案していて、ウクライナ軍の反転攻勢を受け投票を延期せざるを得なくなったと受け止められています。

ゼレンスキー大統領 「ハルキウ州で30以上の集落奪還」

ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、新たに動画を公開し「ウクライナ軍が東部ハルキウ州で30以上の集落を奪還し、支配下に置いた」と明らかにしました。

9日にハルキウ州にある奪還した集落の1つで撮影された映像では、住宅や教会などが砲撃によって大きく壊れていて、ウクライナ側の警察が住民への支援のほか、ロシア軍による戦争犯罪について捜査を始めたということです。

ウクライナ軍は先月下旬からヘルソン州など南部で反転攻勢を開始し、今月8日には東部ドネツク州のクラマトルシク近郊などでもロシアが占領した地域に攻め入ったと発表していて、各地で軍事作戦を展開し、反撃に転じているとみられます。

ゼレンスキー大統領は動画のなかで「少しずつ新たな集落を奪還し、ウクライナの国旗と安全をわれわれの国民に返還する」と述べ、攻勢を続ける姿勢を強調しています。

ロシア国防省「部隊をハルキウ州に再び展開」

ロシア国防省は9日、ハルキウ州をミサイルなどで攻撃し、ウクライナ軍の指揮所を破壊し、兵士を殺害したと発表しました。

さらに「ロシア軍の部隊をハルキウ州に再び展開している」として、戦車や軍用車が移動する映像を公開しました。

ウクライナ軍の反撃に対応する姿勢を強調したいねらいとみられ、ウクライナ南部だけでなく東部でも激しい攻防が続いています。

プーチン大統領 自国産農産物や肥料の輸出拡大指示

プーチン大統領は9日、クレムリンで開いた安全保障会議で、ロシア産の農産物と肥料の輸出を拡大するよう関係閣僚に指示し「制裁によって、アフリカやアジア、南米へのロシア産の肥料の輸出が妨げられている。これは差別だ」と批判しました。

また、ウクライナからも農産物の輸出が再開されたものの多くがヨーロッパ向けで、貧しい国に届いていないと主張し、ウクライナやヨーロッパ諸国の対応を批判しました。

プーチン大統領は来週、ウクライナからの農産物の輸出再開の仲介役をつとめたトルコのエルドアン大統領と会談し、ヨーロッパ向けの農産物の輸出を制限するよう提案する考えを示しています。

プーチン大統領としては、食料危機に直面するアフリカなど途上国に寄り添う姿勢を強調するとともに、ヨーロッパに揺さぶりをかけるねらいとみられます。