「ビザなし交流」破棄 “北方墓参は影響しない” ロシア外務省

ロシア外務省は、北方領土の元島民らによるいわゆる「ビザなし交流」などに関する日本との合意を破棄したことを日本側に通知したと発表しました。一方、日本と北方四島の交流事業のうち、元島民らが先祖の墓を訪れる「北方墓参」については「影響しない」としています。

ロシア政府は5日、北方領土の元島民らによる「ビザなし交流」や、元島民らが故郷の集落などを訪問する「自由訪問」に関して、これまで日本との間で結ばれた合意を一方的に破棄したと発表しました。

そしてロシア外務省は7日、この決定を日本政府に通知したとする声明を発表しました。

一方で、ロシア外務省は声明で、日本と北方四島の交流事業のうち、元島民らが島に残された先祖の墓を訪れる「北方墓参」については、「実施に影響しない」としています。

「北方墓参」は、1964年に日本とソビエトが合意し、いったん中断したものの1986年に再開された交流事業の枠組みで、1991年に合意された「ビザなし交流」や1999年に加わった「自由訪問」と合わせて、元島民らと北方領土に住むロシア人の交流を促進してきました。

ロシア政府が「ビザなし交流」と「自由訪問」の合意を一方的に破棄したと発表したことについて、6日、岸田総理大臣は記者団に対し「極めて不当で断じて受け入れられない。ロシアに対し、こうした考え方を伝達したうえで、改めて強く抗議した」と述べています。