【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

インドネシア政府などとロシア産原油の取り引き議論 ロシア大使

インドネシアに駐在するロシアのボロビエワ大使は、7日に開いた記者会見で「インドネシア側からロシアの原油購入について打診があった。両国の政府や関係企業が議論をしている」と述べ、両国が原油の取り引きに向けた議論を始めていることを明らかにしました。

インドネシアはこれまでロシア産原油の取り引きはありませんでしたが、先月、閣僚の1人が「ロシア政府から国際価格より30%安い価格での原油の取り引きをもちかけられた」と述べたことで、インドネシア国内で注目が集まっていました。

ただ、インドネシア政府の関係者は、NHKの取材に対し、インドネシアはアメリカからも原油を輸入しており、ロシア産の原油を輸入すれば、新たな摩擦になる可能性があるという見方を示すなど、取り引きには慎重な意見も出ています。

インドネシアは、G20=主要20か国の議長国も務めているだけに、欧米などがロシアへの経済制裁を続ける中、インドネシア政府がどのように対応するか注目されます。

“プーチン大統領と習主席 対面会談へ” 中国駐在のロシア大使

ロシア国営のタス通信は7日、中国に駐在するロシアのデニソフ大使が、プーチン大統領と中国の習近平国家主席が、今月15日と16日に中央アジアのウズベキスタンで開かれる、上海協力機構の首脳会議に合わせて、対面形式で会談することを明らかにしたと伝えました。

これについて、中国外務省の毛寧報道官は7日の記者会見で「提供できる情報はない」と確認を避けました。

これに関連して5日、ウズベキスタンの隣国、カザフスタン外務省の報道官が会見で、習主席が今月14日にカザフスタンを公式訪問する予定だと明らかにしたと伝えられていました。

習主席はおととし、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大して以降、外国への訪問を控えてきましたが、外国を訪問すれば、感染拡大以来初めてです。

ロシア大統領府は、上海協力機構の首脳会議にプーチン大統領が出席することを明らかにしていて、両首脳が対面形式で会談すれば、ことし2月4日に北京で行われて以来で、2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したあと初めてとなります。

ゼレンスキー大統領 “1300キロの長い前線で激戦”

ウクライナ軍の参謀本部は7日、SNSに動画を投稿し「ロシア軍はこの24時間で、ウクライナの軍事施設や民間施設を対象に少なくとも7発のミサイル攻撃と25回の空爆を行った」として、東部のハルキウなどのインフラ施設が被害を受けたことを明らかにしました。

これに対してウクライナ軍も反撃し、ロシア側の軍事拠点およそ40か所に攻撃を加え、戦闘機1機とヘリコプター1機、それに巡航ミサイル5発を破壊したということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日に公開した動画で「ロシア軍が発射した6発の巡航ミサイルのうち5発を撃ち落とし、多くのウクライナ人の命を救った」と述べました。

また「前線のほぼ全域で、激しい衝突が続いていることに関心を寄せてほしい。1300キロにもおよぶ長い前線で、激戦が行われている」と述べ、国際社会に対して改めて支援を訴えました。

プーチン大統領 “軍事作戦でロシアは何も失っておらず”

ロシアのプーチン大統領は7日、極東のウラジオストクで開かれている国際経済会議の全体会合で演説し「ウクライナからの穀物の輸出が再開されたが、そのほとんどが、貧しい途上国ではなく、ヨーロッパ諸国に運ばれている。これでは人道的な大惨事につながる。ヨーロッパへの穀物輸出を制限する必要がある」と述べました。

そのうえで、この問題をめぐって、ロシアとウクライナを仲介した、トルコのエルドアン大統領と協議する意向を示しました。

また、プーチン大統領は「新型コロナウイルスのあと、欧米の制裁という世界に影響を及ぼす新たな攻撃的な課題が現れた。欧米は、自分たちにとってのみ、有益な世界秩序を維持しようとしているが、制裁が、世界経済を弱体化させた」と述べ、欧米諸国がロシアに科した制裁を批判しました。

そして「ロシアのインフレ率は低下傾向にあり、来年は目標水準に達する」と述べ、ロシア経済は大きな打撃を受けていないと主張しました。

さらにプーチン大統領は「ウクライナへの特別軍事作戦を開始してから、ロシアは何も失っておらず、今後も失うことはないと信じている。ロシアにとっての利益という観点では、われわれは主権を強化することができた」と主張しました。

そして「確かに、世界でも国内でもある種の二極化が起きたが、それはわれわれに利益をもたらすだろう」と述べました。

また「ロシアの目的は、東部ドンバス地域の住民を助けることだ。われわれは最後までこれをやり遂げる」と述べ、軍事侵攻を継続する考えを改めて強調しました。

砲撃相次ぐザポリージャ原発めぐり国連安保理で会合

ロシア軍が掌握しているウクライナ南東部のザポリージャ原発では砲撃が相次ぎ、安全性への懸念が高まっていて、国連安保理で6日、対応を話し合う会合が開かれました。

冒頭、グテーレス事務総長が「原発を危険にさらす可能性のあるいかなる行為も容認できない。まずはロシア軍とウクライナ軍が原発周辺で軍事活動を行わないと約束すべきだ」と述べたうえで原発周辺の非武装化が必要だと改めて訴えました。

続いてオンラインで出席したIAEAのグロッシ事務局長が、今月1日からの専門家チームによる原発の調査結果について報告し、事故を防ぐ暫定的な措置として原発周辺を安全が確保された区域に設定するべきだとしたうえで「われわれはいますぐ当事者と協議する用意がある」とロシアとウクライナの双方に呼びかけました。

このあと会合では欧米各国から、ザポリージャ原発から軍を撤退させるようロシアに求める意見が相次ぎましたが、ロシアのネベンジャ国連大使は、砲撃を行っているのはウクライナ側であり、ロシア軍が原発の安全を守っていると従来の主張を繰り返しました。

ザポリージャ原発 IAEAが調査報告「核燃料施設近くでも被害」

砲撃が相次ぎ安全性への懸念が高まっているウクライナのザポリージャ原子力発電所で調査を行ったIAEA=国際原子力機関が報告書を公表し、核燃料の貯蔵施設の近くでも被害が確認されたなどとして砲撃を即時に停止するよう訴え、原発周辺を安全な区域に設定するよう提案しました。

IAEAは、今月1日から専門家チームがウクライナ南東部のザポリージャ原発の調査に入り、6日、報告書を公表しました。

報告書でIAEAは砲撃によって複数の場所で被害が確認され、そのなかには核燃料や放射性廃棄物の貯蔵施設が入る建物の損傷も含まれるとして、屋根にあいた穴の写真も掲載しています。
また、タービン建屋を含む施設内のさまざまな場所にロシア軍の車両などが配置されているのを確認し、原発で働くウクライナの技術者らがロシア軍の管理下に置かれ、強いストレスや圧力のもと安全確保の対応を難しくしているとも指摘しています。

そのうえで「紛争が終結するまで、攻撃によって懸念される原子力事故を防ぐための暫定的措置が必要だ」として、砲撃を即時に停止するよう訴えるとともに原発周辺を安全な区域に設定するよう提案しました。

一方、今回の報告書では、ウクライナとロシアの双方が相手の攻撃だと非難する砲撃についてどちらによるものなのかは言及していません。

ゼレンスキー大統領「原発周辺非武装化の提案であれば支持」

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、新たに動画を公開し、IAEA=国際原子力機関が公表した報告書について「ロシアがわれわれの原発の技術者らに圧力をかけていることを強調し、ロシア軍の占領について明確に言及しているのはいいことだ」と述べ、一定の評価を示しました。

一方、IAEAが原発周辺を安全な区域に設定するよう提案したことについては「この提案が、原発周辺を非武装化するという内容であれば支持する」と述べ、原発の安全性の確保にはロシア軍の撤退が欠かせないと改めて訴えました。

ウクライナ南部 「ロシア無人機の出撃回数が減った」

ウクライナを軍事侵攻するロシアの国防省は6日、巡航ミサイル「カリブル」で攻撃し、東部ドニプロペトロウシク州で燃料庫を破壊したと発表しました。

これに対し、ウクライナ軍は、南部ヘルソン州を中心に反転攻勢を続け、ロシアに支配されていた南部と東部の複数の集落を解放したと強調しています。

イギリス国防省は6日、ヘルソン州でロシア軍の無人機の出撃回数が先月と比べて、大きく減っていると指摘しました。

その要因として欧米の制裁によってロシアで無人機の部品が不足していることなどを挙げ「無人機の運用が限られ、ロシア軍の作戦に影響が出ている」と分析しています。

一方、アメリカ政府は、ロシアと友好関係にあるイランが、ロシアに対して数百機の無人機の供与を進めていると懸念を示しています。

ロシア大統領府報道官 「軍事作戦参加の市民に仕事を保証」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団に対し「ウクライナでの軍事作戦への参加を望む市民にこれまでどおりの仕事が保証されるよう、大統領は政府に指示するだろう」と説明しました。

これについてアメリカのシンクタンク、「戦争研究所」はロシア軍は兵員不足が深刻化していて、志願兵の確保に向けてプーチン政権の中枢にあたる大統領府が直接、動き始めていると指摘しています。

ゼレンスキー大統領 ウクライナへの投資を呼びかけるメッセージ

ニューヨーク証券取引所では6日の取り引き開始前にウクライナのゼレンスキー大統領がビデオメッセージでウクライナへの投資を呼びかけました。

この中でゼレンスキー大統領はウクライナへの投資を呼び込むための大規模なキャンペーンを始めるとし「私たちは経済を再建しているところで、あなたやあなたの会社と私たちが一緒に働く機会になります。ウクライナは未来の勝利の物語であり、数千億ドルの価値のあるプロジェクトにいま投資して、私たちと勝利を分かち合うチャンスです」と述べました。

プーチン大統領 中国軍などとの軍事演習を視察 7日は演説予定

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、極東でロシア軍が中国軍などと行っている合同の軍事演習を視察しました。7日は極東のウラジオストクで演説する予定で、軍事・経済の両面で中国との連携強化をアピールし、アメリカや日本を強くけん制するものとみられます。

ロシアのプーチン大統領は6日、ロシア軍が極東地域などで中国軍やインド軍などと行っている大規模な合同軍事演習を視察しました。

演習では、濃い霧が立ちこめる中、砲撃訓練などが行われ、プーチン大統領は双眼鏡で演習の様子を視察したりショイグ国防相から説明を聞いたりしていました。

また、ロシア国防省は6日、千島列島の松輪島に去年配備された地対艦ミサイルシステム「バスチオン」による初めての発射演習を行ったと発表し、その様子を公開しました。
一方、7日は、極東の中心都市ウラジオストクで国際経済会議の全体会合が開かれ、プーチン大統領が演説するほか、中国の共産党の序列3位で、全人代=全国人民代表大会の栗戦書委員長やミャンマーで実権を握る軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官が出席する予定です。

全体会合を前にロシア政府は、5日、北方領土の元島民らによる、いわゆる「ビザなし交流」などの日本との合意を一方的に破棄したと発表し、欧米とともにロシアへの制裁を強めてきた日本にも強く反発しています。

プーチン大統領は演説やそのあとの討論を通じて、軍事・経済の両面で、中国との連携強化をアピールし、アメリカや日本を強くけん制するものとみられます。

アメリカ ロシアを「テロ支援国家」には指定せず

アメリカのバイデン政権はウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアについて、輸出や金融面などでさまざまな制裁措置の対象にする「テロ支援国家」には指定しないと明らかにしました。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は6日、バイデン大統領の最終的な判断だとしていて、その理由についてロシアとウクライナが合意した黒海に面する港からの農産物の輸出に影響が出るなど、ウクライナにとって意図しない結果を招くおそれがあるためだと説明しました。

アメリカ政府は現時点でイラン、北朝鮮、シリア、キューバの4か国を「テロ支援国家」に指定していて、ウクライナのゼレンスキー大統領はバイデン大統領に対してロシアも対象とすることを求めていました。

「ロシア 北朝鮮から兵器の購入進める可能性」米高官

アメリカ政府高官は6日、記者団に対し「ロシアは北朝鮮から数百万発のロケット弾や砲弾の購入を進め、ウクライナで使用しようとしている」と明らかにしました。

そのうえで、この高官は「これは、欧米などによる輸出規制や制裁もあり、ウクライナにいるロシア軍が兵器の供給不足に陥っていることを示すものだ。ロシアは北朝鮮からさらなる兵器の購入を進める可能性がある」として、注視する考えを示しました。

また、アメリカ国防総省のライダー報道官も6日、記者会見で「われわれはロシアが砲弾を求めて北朝鮮に接触したという情報を持っている。これは物資の供給や維持の能力について、ロシアの置かれた状況を示すもので、北朝鮮に接触したという事実は何らかの課題を抱えていることの現れだ」と指摘しました。