【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウク側の反撃前にロシア 併合向けた住民投票困難か

イギリス国防省は5日、ロシアは政治的な目的からドネツク州の全域掌握に執着していると指摘したうえで「ロシア軍は9月15日までに任務を完了するよう命令を受けているとウクライナ側はみている。しかし、これが達成される可能性は非常に低く、ロシアが計画する占領地域での住民投票の実施をさらに困難にしている」と分析しています。

ロシア側は、支配を強める東部2州や南部ヘルソン州などで、当初、9月11日にも一方的な併合に向けて住民投票の準備を進めてきたとみられていますが、ウクライナ側の大規模な反撃を前に、計画どおりの実施が難しくなっているという見方が出ています。

ウクライナ首相がドイツ首相と会談 継続的な支援求める

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナのシュミハリ首相は4日、ドイツの首都ベルリンでショルツ首相と会談し、軍事面や財政面での継続的な支援を求めました。

ウクライナのシュミハリ首相は4日、ベルリンを訪れ、ドイツのショルツ首相と会談しました。

会談についてシュミハリ首相はSNSで「防衛力強化と包括的な支援について議論した」と投稿し、さらなる兵器の供与や資金援助など継続的な支援を求めたということです。

そのうえで、シュミハリ首相は、近くEUから新たに50億ユーロ、日本円にしておよそ7000億円の財政支援を受ける見込みだと明らかにしました。

また、ドイツ首相府によりますと、会談は1時間ほど行われ、ショルツ首相は、軍事侵攻が半年に及ぶ中でも徹底抗戦の構えを崩さないウクライナに敬意を表したうえで「軍事支援のみならず、政治や経済、人道的な面でも支援する手を緩めることはない」と述べ、ウクライナへの支援を継続していく姿勢を示したということです。

ロシアによるウクライナ侵攻長期化で欧米の「支援疲れ」も指摘されるなかで、ドイツはウクライナへの結束を強調した形です。

ウクライナ ゼレンスキー大統領 “南部と東部で集落を解放”

ウクライナのゼレンスキー大統領は4日に公開した動画で、ウクライナ南部の2つの集落を解放したと述べました。

そして、ロシアが7月初旬に完全掌握を宣言した東部ルハンシク州のリシチャンシクから、隣接するドネツク州のシベルシクにかけての地域で「よい前進があった」と述べ、砲撃の拠点となる複数の高地を奪還したと主張しました。

さらに、東部ドネツク州でも1つの集落を解放したと述べ、東部で抵抗を強める構えを改めて示しました。

これに対し、ロシア国防省は4日「ウクライナ軍の試みは失敗続きだ」として、ロシア軍が撃退していると主張しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日「ウクライナ軍の反転攻勢は南部と東部で進展を遂げている。

また、ロシア軍は必要な物資が欠乏し、指揮統制が混乱し、兵士の士気が低下している」として、ウクライナ軍が新たな攻勢で一定の戦果を出しているという分析を示しました。

ウクライナ軍 南部で新たな攻勢 ロシア軍 ロケット砲で攻撃

ウクライナ軍はヘルソン州など南部で先月下旬から領土の奪還に向けて新たな攻勢に出ていて、地元メディアは4日、ロシア軍の弾薬庫として使われている施設を攻撃したほか、一部地域を奪還したと伝えました。

これに対してロシア軍は4日、隣のミコライウ州でロケット砲による攻撃を強め、地元メディアによりますと住宅や教会などが被害を受け、崩れた建物でけが人も出ているということです。
イギリス国防省は4日、ウクライナに派遣されたロシア軍の部隊について、武器や食料の補給が滞っていることに加えて「かなりの額にのぼる戦闘手当が支給されていない可能性が高い」として、兵士の士気や規律が低下していると分析しています。

ウラジオストクで5日から開かれる東方経済フォーラムに出席するプーチン大統領は6日、ロシア軍の大規模軍事演習「ボストーク」を視察する予定で、軍事力に余力があることを内外に示すねらいもあるものと見られます。

ドイツ 約9兆円の支援策 エネルギー価格など高騰で

ロシアがことし2月、ウクライナに軍事侵攻したあと、ドイツなどヨーロッパでは、ロシア産の天然ガスを輸送する主要なパイプライン、ノルドストリームを通じたガスの供給が大幅に減り、エネルギー価格が高騰しています。

さらにロシア側は、先月末からノルドストリームを点検した結果、問題が見つかったとして、輸送の再開を見送り、供給停止が長期化することも懸念されています。

こうした中、ドイツのショルツ首相は4日、首都ベルリンで記者会見し、エネルギー価格をはじめとする物価の高騰に国民が不安を抱いているとして、650億ユーロ、日本円にしておよそ9兆円の支援策をまとめたと発表しました。

支援策には、年金受給者や学生を対象とした一時金のほか、電気代の一部の減額などが盛り込まれています。

ショルツ首相は会見で、ガスの需要が増える冬を前に対策をとったことを強調し「もはやロシアは信頼できるエネルギー供給国ではない」と非難しました。

そのうえで「われわれは冬を乗り越えられる」と述べ、国民に結束を呼びかけました。

ロシア極東で国際経済会議 プーチン大統領「新しい世界秩序に」

ロシア極東のウラジオストクでは、5日から4日間の日程でロシア政府主催の「東方経済フォーラム」が開催され、60以上の国と地域から企業の代表や政府関係者の参加が見込まれているということです。

ことしのテーマは「多極化する世界への道」で、フォーラムの期間中、ロシアは、中国とロシアが主導する枠組みの上海協力機構や、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する各国との経済連携の強化などに向け意見を交わす予定です。

ロシアのプーチン大統領は開幕に先立ちメッセージを公開し「時代遅れの一極集中モデルは、新しい世界秩序に取って代わられようとしている」として、アジア太平洋地域、とりわけ中国を重視する姿勢を鮮明にしています。

ウクライナへの軍事侵攻をめぐり欧米がロシアに厳しい制裁を科すなか、プーチン政権としては、会議を通じて、中国などとの連携を強調することで、国際的に孤立していないと内外に示し、欧米に対抗する狙いがあると見られます。