【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ザポリージャ原発に砲撃” ウクライナ・ロシア双方が発表

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は27日、南東部にあるロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所の敷地内でロシア軍による砲撃が繰り返しあったと発表しました。発表では、発電所の建物が被害を受け、水素漏れや放射性物質の拡散などのおそれがあるとしていますが、調査中だとして詳しい状況は明らかにしていません。

一方、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は27日、「過去24時間の間に、ウクライナ軍が原発に対して17発の砲弾を発射した。このうち4発が核燃料貯蔵施設の屋根に命中した」などと主張し、ウクライナ側の攻撃だと非難しています。そのうえで「原発の放射線レベルは正常だ」としています。

NPT再検討会議 ロシアの反対で「最終文書」採択できず閉幕

世界の核軍縮の方向性を4週間にわたって協議してきたNPT=核拡散防止条約の再検討会議は、最終日になって「最終文書」の草案のウクライナ情勢をめぐる文言にロシアが反対したことで、合意に至らず閉幕しました。

「最終文書」の草案には、ロシア軍が掌握しているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所について、ロシアの名指しは避けながらも原発周辺での軍事活動に重大な懸念を示し「ウクライナ当局による管理の重要性を確認する」という表現が盛り込まれていました。

「ロシア 併合にらむ住民投票の準備ほぼ完了」ウクライナ国防省

ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、掌握したとするヘルソン州やザポリージャ州などでロシアへの併合をにらんだ住民投票を9月11日にも実施する準備を進めているとされていることについて、ウクライナ国防省の情報総局の幹部は26日、地元メディアに対してすべてのプロセスを監視しているとしたうえでロシアから絶えず支配地域に政治家やボランティアなどが到着しているとし「準備はほぼ完了している」と述べ、警戒感を示しました。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、ロシアの支配地域ではウクライナ側による反撃が続いているほか、親ロシア派内部での摩擦や住民投票の準備を進める協力者が不足しているとして「9月に見せかけの住民投票を成功させる可能性は低いだろう」と分析しています。

「集合住宅攻撃で2歳と8歳の子ども死亡」ザポリージャ州知事

ウクライナ南東部のザポリージャ州の知事は、27日、SNSで、集合住宅がロシア軍に攻撃され、2歳と8歳の子どもを含む5人が死亡したとして、ロシアを非難しました。

一方、ウクライナ軍はSNSで26日、ロシアが掌握したとする南部ヘルソン州にある2つの橋を攻撃したと発表し「橋は使えなくなった」としてロシア軍の補給路に打撃を与えたとしています。

ゼレンスキー大統領 「最悪のシナリオ回避」

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日に公開した動画で、周辺で砲撃が相次いでいるザポリージャ原子力発電所について「最悪のシナリオは回避できたが、再び送電網が切断されるなどの事態になれば危険にさらされる。一刻も早くIAEAに現地に到着してもらい、原発をウクライナの管理下に置くことが重要だ」と述べました。

またゼレンスキー大統領は、ロシアとの合意に基づいて8月再開したウクライナ産の穀物の輸出について、「これまでにオデーサなど3つの港から100万トンが輸出され15か国に送られた」と述べ成果を強調しました。

ベラルーシ大統領「爆撃機に核兵器搭載できるよう改装」

ベラルーシのルカシェンコ大統領は、26日、記者団に「ベラルーシ軍のスホイ24爆撃機に核兵器を搭載できるように改装することを以前、ロシアのプーチン大統領と話し合いその作業がすべて完了した」と述べました。

ベラルーシの国営通信が伝えたもので、このなかでルカシェンコ大統領は、「ベラルーシは、欧米のあらゆる脅威に対し、適切な反撃をする用意がある」と欧米側をけん制しました。

ロシアとベラルーシは同盟関係にあり、プーチン大統領はことし6月のルカシェンコ大統領との首脳会談で、「今後、数か月以内に短距離弾道ミサイル『イスカンデルM』をベラルーシに供与していく」と述べ、核弾頭の搭載も可能なミサイルの配備を急ぐ考えを示していて両国は核戦力も誇示しながら欧米へのけん制を繰り返しています。

IAEA ザポリージャ原発に専門家常駐させたい考え

グロッシ事務局長は26日に公開されたフランスの有力紙「ルモンド」のインタビューの中で、「事故のシナリオを排除できない」と述べ、現状への危機感をあらわにしました。

そのうえで「現地では、使用済み核燃料プールを調査し原子炉の冷却に不可欠な電力供給の問題に取り組む」と述べ、IAEAの専門家をザポリージャ原発に常駐させたい考えを示しました。

ロシア軍は原発の敷地内に軍の部隊を増強させていると指摘されていてIAEAが施設に立ち入り安全性が確保されるかが焦点となっています。

ザポリージャ原発 ウクライナの送電網へ電力供給を再開

ヨーロッパ最大級のザポリージャ原子力発電所をめぐって、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、25日、付近で発生した火災により送電線が切断され「侵略者の行動により、原発が送電網と完全に切り離された」と発表していました。

これについて、「エネルゴアトム」は26日、SNSへの投稿で、「25日に運転を停止した原子炉が26日午後に送電網につなげられた」と書き込み、ウクライナの送電網へ電力の供給を再開したことを明らかにしました。

また、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長も、26日の声明で原発と送電網との接続が復旧したことを歓迎しながらも改めて懸念を示し、「願わくは数日後に専門家チームの調査を行えるよう、すべての関係者と調整を進めている」として、近くIAEAによる専門家チームを現地に派遣することに意欲を示しました。