濃厚接触者 定義は?自宅待機期間 その後の対策は?【8/26版】

新型コロナウイルスのオミクロン株の流行による「第7波」では、7月後半以降、一日当たりの新規感染者の報告が過去最多となりました。

感染者の家族をはじめ誰もが濃厚接触者になる可能性があります。
一方で濃厚接触者となった場合の対応は以前と比べて変わってきています。

どこからどこまでが濃厚接触者?濃厚接触者の定義は?自宅待機期間はいつまで?待機が終わっても対策は必要?
濃厚接触者になった場合、どうすればいいのか取材しました。

Q1.そもそも濃厚接触者の定義は?どこまでが濃厚接触?

濃厚接触者は、感染した人と近距離で接触したり、長時間接触したりして、感染している可能性がある人です。
国立感染症研究所が公表している「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(2021年11月29日版)という文書の中に、定義が書かれています。

濃厚接触者かどうかを判断する際の重要なポイントをまとめると次のとおりです。
【接触の期間】
▽感染者に症状が出た日の2日前から、療養や退院の基準を満たすまでの期間
※発症後10日間たっていて、かつ症状が治まってから72時間たつまでの間
(感染者が無症状の場合は検査の検体を採取した日の2日前から検体採取後7日間たつまでの間)

【接触の目安】
▽マスクなどをつけずに感染者に手で触れたり、お互いに手を伸ばしたら届く距離で15分以上接触したりした場合
▽感染者の体液などがついたものに直接触れた可能性のある場合など

家族に感染者がいる場合や感染者の介護をしている場合などは、多くがこの目安に当てはまることになると思われますが、医療機関や介護施設で行われているように、しっかりとした感染予防策がとられていた場合は濃厚接触者とはみなされません。

また、15分以上の接触といっても、会話をしていたか、歌を歌ったり大声を出したりするうような環境だったか、換気が十分にできていたかなど、その場の具体的な状況によって濃厚接触者と判断されるかどうかは変わってきます。

Q2.濃厚接触 そもそも誰が決める?

濃厚接触者の対応について厚生労働省は、感染状況が悪化している場合など地域の状況に応じて自治体が柔軟に判断することを認めています。
そのうえで、厚生労働省が示している考え方は次のとおりです。
濃厚接触者にあたるかどうかについては、感染者がどこで発生したかによって対応が異なります。
1.家庭に感染者が出た場合
同居する家族が感染した場合は、保健所などが濃厚接触者を特定し、行動制限を求めることになっています。同居家族は感染しているリスクが高いためです。「特定」とは言っても、保健所が一人ひとりに聞き取りを行う必要はないとされています。

2.職場などで感染者が出た場合
同居家族に比べて感染のリスクが低いと考えられ、さらに職場などでしっかりと感染対策が取られている場合は、それ以上は拡大しないケースもあります。このため、保健所による一律の濃厚接触者の特定は求められていません。感染者が出た職場や接触した人などが自分で濃厚接触者にあたるかどうかを判断することになります。

3.医療機関、高齢者施設などで感染者が出た場合
潜伏期間や発症間隔が短いオミクロン株であってもリスクの高い人が多くいる施設などでは、保健所が迅速に濃厚接触者を特定することになっています。

4.保育所、幼稚園、小学校、中学校などで感染者が出た場合
自治体や教育委員会などが連携して、あらかじめ濃厚接触者の特定をどうするか決めておくことが望ましいとされています。特に未就学児と小学生以上ではマスクなどの対策の実施状況に差があると考えられるため、対応が異なる可能性があるということです。

Q3.家族が感染 濃厚接触者になった場合どうすれば?

【自宅待機の期間は?】
同居家族に感染者が出て濃厚接触者となった場合は、自宅待機が求められています。厚生労働省では、この場合の待機期間をこれまで原則7日間としていましたが、社会経済活動を維持していくため、2022年7月22日から5日間となっています。
【待機する日数はいつから数える?】
1.感染者が発症した日
2.感染者が無症状の場合は検体を採取した日
3.感染が分かって「感染対策」をとった日
この1~3の中で、最も遅い日を0日とします。
そこから5日間、自宅などで待機して、6日目から解除となります。
ただ、2日目と3日目に国が承認した迅速検査キット(抗原定性検査)を使ってどちらも陰性だった場合は、3日目から解除できることになっています。

3に書かれている「感染対策」とはどのような対策でしょうか?
厚生労働省によりますと、今回、想定されている「感染対策」は、完全に部屋を分けて一切の接触をなくすといった厳格な隔離ではないということです。
具体的には、日常生活を送る上で可能な範囲で
▽マスク着用
▽手洗い・手指消毒
▽物資等の共用を避ける
▽消毒の実施
▽こまめな換気などとされています。

また、厚生労働省によりますと、幼い子どもでマスクの着用を徹底するのが難しい場合などは、手洗いを徹底したり、タオルなどの共用を避けたりするなどの対策が考えられるということです。
このほかにも、換気をする、極力接触を避けるなど、基本的な感染対策はできるかぎりとる必要があります。
【待機期間中に別の家族が発症した場合は?】
最初に感染が分かった家族とは別の家族が、待機期間中に感染確認された場合は、改めて日数を数え直すことになります。

【子どもが感染した場合】
<軽症>
子どもの感染が確認され、軽症で自宅待機となった場合を考えてみます。検査の結果が出ていなくても、子どもが発症してすぐに念のため家庭内での感染対策をとっていたという場合は、子どもの発症日を0日として数え、家族の自宅待機は5日間です。そして6日目に解除となります。

ただ、例えば子どもが発症してから2日後に検査で感染確認されるまで、自宅内で特に対策をとっていなかった場合は、検査で確認された日を0日として、家族はそこから5日間の自宅待機となります。

感染した子ども自身は、発症日を0日として10日間、かつ症状が治まって72時間たっていれば、検査を受けなくても療養が終了となります。
※症状が悪化するなどした場合は必ず相談窓口などに相談してください。
<無症状>
感染した子どもが無症状の場合、子ども本人の療養期間は検体を採取してから7日間たてば解除されます。
ただ、感染が確認されるまで家庭内で対策がとられていなければ、家族の自宅待機期間は、感染が確認された日を0日として数えます。

症状が出た場合でも、無症状の場合でも、検査を受けた日に結果を待たずに感染対策を始めれば、濃厚接触者の自宅待機もその分、早く解除できる可能性があります。

Q4. 5日間待機や2、3日目の検査で陰性確認後の対応は?

濃厚接触者の自宅待機が解除されれば、通勤や通学などができるようになります。
しかし、発症したり、人に感染させたりするリスクが完全になくなるわけではありません。
この期間がすぎても、一般的な感染対策は継続することが重要です。

国立感染症研究所の報告(2022年1月13日)によりますとオミクロン株に感染した場合
▽3日目までに発症する確率は53.05%、
▽5日目までに発症する確率は82.65%、
▽7日目までに発症する確率は94.53%となっています。
つまり、待機が解除されたあとも一定のリスクが残っている可能性があります。

新型コロナウイルス対策にあたる専門家の有志は、こうしたリスクが十分伝わっていないとして、8月にまとめた提言のなかでは、濃厚接触者はそうでない人よりも感染している可能性が高く発症前にほかの人に感染させるリスクがあるとして「感染者との接触から7日間は、より一層行動の注意が求められる」と注意を呼びかけました。
この「7日間」に求められる基本行動として
▽職場に行く場合は可能なかぎり抗原検査キットで陰性を確認する
▽会食やふだん会わない人との接触など感染を広げやすい行動を避ける
▽軽い症状でも発症したら必ず外出を控える
▽人と接触する場面では必ず不織布マスクをつける
この4つを挙げ、この行動をすべて実行するよう求めています。

Q5.家庭以外の場所で濃厚接触者になった場合は?

【職場で感染者が出た場合】
厚生労働省は、事業所などの職場で感染者が出た場合は、基本的には自宅待機などの行動制限は設けないとしています。
ただ、感染者と接触があった人は、接触した最後の日から目安として7日間は、リスクの高い高齢者や高齢者施設などへの訪問、不特定多数での飲食や大規模イベントの参加など、感染リスクの高い行動を控えるよう、周知するということです。
また、職場でマスクの着用などの対策をせずに感染者と飲食をした場合などは、例えば5日間の待機に加え、自主的に検査をして陰性を確認するなど、感染拡大防止の対策を取るよう求めています。
ただ、医療機関や高齢者施設など重症化のリスクが高い人が多く集まる場所では、注意が必要です。
このため、濃厚接触者になった場合は5日間の待機が求められます。
この時は家庭内での濃厚接触と同様に、2日目と3日目に抗原検査で陰性を確認した場合は3日目から待機が解除できます。これはエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)に限らずすべての人が対象です。
また、医療従事者や介護従事者などについては、濃厚接触であっても、毎日の検査を行って陰性を確認すれば、出勤は可能だとしています。

Q6.自宅待機している間 どう生活すればいいか?

自宅待機の際には不要不急の外出はできるかぎり控え、やむをえず外出する場合にはマスクの着用や手洗いなどの感染対策を行って、人との接触を避けることとされています。
また通勤や通学も控える必要があるということです。
東京都の新型コロナ対策を担当する東京都の感染症対策部では次のようにしています。
▽不要不急の外出は控え職場や学校には行かずに自宅で待機
▽待機中は、毎日、朝と夕方の2回、体温を測って体調に異常がないか確認
▽発熱やせきなどの症状が出たらかかりつけ医か新型コロナの検査や診療が可能な医療機関を受診
▽なるべく公共交通機関の利用を避ける

濃厚接触者になった場合は、決められた期間がすぎるまでは「もしかしたら感染しているかも」と考えて行動することが重要です。

Q7.濃厚接触者の濃厚接触者はどうすれば?

家族に濃厚接触者が出た場合について、東京都の感染症対策部によりますと「『濃厚接触者の濃厚接触者』という概念はないため、濃厚接触となった人を除いて家族全員が行動を制限されることはなく、行政としても行動は制限していない」ということです。
ただ、勤務先や通学先などで個別にルールを定めている場合もあるため、会社や学校と話し合って、それぞれのルールにしたがってほしいということです。
もちろん、濃厚接触者が待機中に発症するなどして、実は感染していたことが分かる可能性もあります。
万が一感染していた場合に備えて濃厚接触者となった家族の待機期間中は
▽家庭内でのタオルの共用を避けたり食事の時間をずらしたりするなど、できるかぎり空間を分けて生活する
▽マスク着用などでせきエチケットを守る
▽手洗いやアルコール消毒などを心がける
▽ドアノブやテレビのリモコンなど頻繁に触れるものを消毒する
▽定期的に換気をするなどの注意をしてほしいということです。

オミクロン株は重症化する割合が低くなったと言われていることから、ついついこれまでよりも軽く考えてしまうこともあるかもしれませんが、それでも高齢者や基礎疾患がある人などを中心に、重症化する人が世界中で報告されています。
油断せずに、特に、基礎疾患があったり、高齢だったりして、重症化のリスクが高い家族がいる場合は、注意が必要です。

Q8.感染の再拡大 注意すべきことは?

オミクロン株は家庭内で感染する場合が多いことが知られています。
オミクロン株の感染経路は、これまでの新型コロナウイルスと変わらず、飛まつ感染、特に換気の悪い場所でのいわゆる「マイクロ飛まつ」(エアロゾル含む)による感染が中心だとされていて、従来からの感染対策を徹底することで防ぐことができると考えられています。

厚生労働省は家族の感染が疑われる場合に次の注意点を挙げています。
1.部屋を分ける
2.感染が疑われる家族の世話は限られた人で行う
3.マスクを着用する
4.こまめに手洗いをする
5.換気を行う
6.手で触れる共有部分を消毒する
7.汚れたリネンや衣服は洗濯する
8.ゴミは密閉して捨てる。

また、オミクロン株になって濃厚接触者への制限は以前に比べると緩和されていますが、一人ひとりの感染対策は引き続き重要です。