【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻は開始から6か月余りとなりました。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“プーチン大統領 兵士13万7000人増に署名” ロシアの国営通信社

ロシアの国営通信社は25日、プーチン大統領がロシア軍の兵士の数を13万7000人増やし、兵士の総数をおよそ115万人にする大統領令に署名したと伝えました。

アメリカ国防総省のカール国防次官は今月8日の記者会見で、ことし2月にウクライナへの軍事侵攻が始まって以降のロシア側の戦死者と負傷者の数が合わせて7万人から8万人にのぼるという見方を示すなど、ロシア軍が深刻な兵力不足に陥っている可能性があると指摘していました。

ザポリージャ原発めぐるIAEAの派遣が焦点に

イギリス国防省は25日、砲撃が相次ぐヨーロッパ最大級の南東部ザポリージャ原子力発電所について、衛星写真の分析からロシア軍が原子炉の60メートル以内に装甲車を配備し軍事プレゼンスを強化していると指摘しました。

そして、「ロシア軍が原発の掌握を続ければ、原子炉の冷却システムの混乱やバックアップ電源の損傷、そして、ロシア軍の圧力による従業員の人的ミスが起きるなどリスクがある」と警告しています。

ザポリージャ原発を巡り、IAEAのグロッシ事務局長は23日に発表した声明で「調整がまとまれば、数日以内に専門家チームの派遣が行われる可能性がある」と明らかにし、24日にはトルコでロシア国営の原子力企業ロスアトムのリハチョフ総裁と会談するなど、調整を加速させているもようです。

また、ロシア国防省は25日、ショイグ国防相がフランスのルコルニュ国防相と電話会談し、ショイグ国防相がIAEAの専門家がザポリージャ原発を訪問することは重要だとし、支援する用意があると表明したとしています。

原発の砲撃について、大規模な原子力災害への懸念が高まっていて、IAEAの専門家チームの派遣が実現できるかが焦点となっています。

米シンクタンク “ロシア軍 デンマーク以上の支配地域失う”

軍事侵攻から半年がたち、ロシア軍の部隊の前進は停滞していると指摘されています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日、「ロシア軍はウクライナに最も深く進軍したとみられる3月21日以降、デンマークより広いおよそ4万5000平方キロメートルもの支配地域を失った」として、ロシア軍は勢いを失いウクライナ軍が掌握された地域を奪還していると分析しています。

ウクライナ東部の砲撃 死者25人に 子ども2人が犠牲に

ウクライナの東部、ドニプロペトロウシク州の鉄道の駅などが砲撃を受けたことについて、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は25日、SNSのテレグラムに投稿し現場での救出活動が終わったとしたうえで「25人が死亡し、31人がけがを負った」と明らかにしました。

そして「死者のうち2人は子どもだった。11歳の男の子が家屋のがれきの下敷きになり、また別の6歳の子どもは駅の近くで車両火災に巻き込まれて死亡した」と述べ、被害の状況を明らかにしました。

ウクライナ東部の駅などが砲撃 子ども含む22人死亡

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから半年となる24日、ウクライナの東部では鉄道の駅などが砲撃され、ゼレンスキー大統領は、11歳の子どもを含む22人が死亡したとロシア側を非難しました。

ウクライナ東部、ドニプロペトロウシク州のチャプリネでは24日、鉄道の駅やその周辺が相次いで砲撃されました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、一連の砲撃で、
▽11歳の子どもを含む22人が死亡し、
▽数十人がけがをしたとロシア側を非難しました。

そして新たに公開した動画で「われわれは必ず、ロシア側にすべての行いの責任を負わせる。そして必ず、われわれの土地から侵略者を追い出す」と徹底抗戦を呼びかけました。

一方、ロシアのショイグ国防相は24日「特別軍事作戦は計画どおりに進められ、すべての目標は達成される」と述べ、軍事侵攻の継続を強調しました。

また、ことし2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で半年がたち、国際社会からは、ウクライナへの連帯を表明する動きが相次ぎ、
▽EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長や、
▽NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長、
▽それにドイツのショルツ首相などが、
それぞれSNSに動画やメッセージを投稿し、
ウクライナへの支援を改めて表明しました。

50か国以上がウクライナの人々と連帯する意思示す

24日の安保理会合のあと、日本や欧米各国など合わせて50か国以上が共同で声明を発表し、ロシア軍によるウクライナへの攻撃を非難したうえで、ウクライナの人々と連帯する意思を示しました。

安保理の議場前には共同声明に加わった各国の国連大使らが集まり、ウクライナのキスリツァ国連大使が声明を読み上げました。

声明では「武力の行使や威嚇によるいかなる領土の獲得も、合法とは認められない」と強調し、ロシア軍に対して、市民や民間施設への攻撃を速やかに停止し、無条件で撤退するよう求めました。

米高官 “長期戦になっても最後までウクライナ支援続ける”

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は24日、記者団に対し、ロシアの軍事侵攻から半年になることについて「バイデン大統領は侵攻が直ちに終わることを望んでいる。プーチン大統領が正しく判断し、ウクライナから軍を撤退させれば直ちに終わらせることができるが悲しいことにロシア側にその様子は見られない」と述べて長期戦になる可能性があるとの見方を示しました。
そのうえで、アメリカとしては最後まで支援を続ける考えを強調しました。
バイデン大統領は25日にゼレンスキー大統領と電話会談を行い、アメリカ側のこうした考えを伝えるとしています。

パリでロシアの軍事侵攻に反対するデモ行進

フランス・パリでは24日、ロシアの軍事侵攻に反対するデモ行進が行われ、市内の中心部の広場には、フランスに住むウクライナ人やフランス人など、1000人以上が集まりました。
そして国旗やプラカードを手に「ウクライナに連帯を」などと声をあげながら、エッフェル塔に向かって行進しました。
子ども2人を連れ、夫を残して首都キーウから逃れたウクライナ人の女性は「世界でもさまざまな危機が起きるなか、多くの国が支援に疲れていると思うがウクライナへの支援を続けてほしい」と話していました。
また、フランス人の男性は「民主主義が問われている。多くの人が集まってウクライナとともにあることを示すことが大事だ」と話していました。
フランスでは東部リヨンや南部ニースなどでもデモ行進が行われたほか、マクロン大統領も、ビデオ演説を公開し「ロシアの侵略からウクライナの主権と独立を守ることは、世界の安定を守ることだ。引き続きフランスに期待してほしい」と述べ、今後もウクライナへの支援を続けることを約束しました。

ゼレンスキー大統領「われわれの独立は全世界の安全でもある」

ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会の会合に24日、オンラインで参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、東部ドニプロペトロウシク州の鉄道の駅がロシアによる攻撃を受け少なくとも15人が死亡し、およそ50人がけがをしたと述べました。
ゼレンスキー大統領は「これがわれわれの日常だ。これがきょうの安保理会合のためにロシアが準備したものだ」と述べ、ロシアを非難しました。
そのうえでゼレンスキー大統領は「もしロシアをいま、ウクライナで止めなければ、ロシアの殺人者はヨーロッパやほかの地域まで襲うだろう。われわれの独立はあなたたちの安全で全世界の安全でもある」と述べ、国際社会に支援と協力を呼びかけました。

英ジョンソン首相 キーウ訪問 約87億円の追加支援を表明

イギリスのジョンソン首相は24日、首都キーウを訪れてゼレンスキー大統領と会談し、5400万ポンド、日本円でおよそ87億円の追加の軍事支援を表明しました。
イギリスの首相官邸によりますとこの中にはミサイルシステムのほか、ウクライナ側が要請していた対戦車用の無人航空機など最新鋭の無人機合わせて2000機が含まれます。
ジョンソン首相は会談で「私がきょうここにいるのは、イギリスはこれからもウクライナとともにあるということ、そしてウクライナは必ず勝利できるということを伝えるためだ」と述べたということです。
また、会談後の会見では「侵略と専制政治に屈すれば世界にとって悲劇だ。われわれは、経済が困難な状況に見舞われていても断固として乗り越える決意だ」と述べ、ロシアへの制裁を続ける考えを改めて示しました。
ジョンソン首相がキーウを訪れたのはこの半年間で3回目で、来月で辞任するため任期中は最後になるということで、この日はゼレンスキー大統領から外国人への最高の章である「自由勲章」を授けられました。

プーチン大統領 約2万3000円の教育一時金支給の考え示す

プーチン大統領は24日、ウクライナ東部のドネツク州、ルハンシク州、ハルキウ州、そして南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州で新学期が始まるのを前に、6歳から18歳の子どもの親に対して1万ルーブル、日本円でおよそ2万3000円を教育の一時金として支給する考えを表明しました。
プーチン政権は、軍事侵攻を続けるとともに、ウクライナでの支配の既成事実化も強めています。

国際社会 SNSでウクライナへの連帯を表明する動き

侵攻半年となる24日、国際社会ではSNSでウクライナへの連帯を表明する動きが出ています。
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は、ブリュッセル中心部の広場でベルギーに住むウクライナ人とウクライナの国旗を広げる様子の動画を投稿しました。
フォンデアライエン委員長は国旗の色である黄色のジャケットと青色のシャツを着て「ウクライナの友人たちが自由で独立したウクライナで生きることができる未来を望んでいる」とつづっています。
また、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は「NATOはウクライナの独立以来、ウクライナを支援してきた。これからもNATOを頼りにできる」と投稿しました。
ドイツのショルツ首相も「この6か月間、あなたたちはロシアの侵攻に直面しながら、独立を勇敢に守った。私たちの心はウクライナと共にある」と投稿しています。
さらにリトアニア外務省はウクライナの国旗を持った人々の動画を公開し、「祖国の自由と私たちの共通の未来のために戦う勇気ある人々を心から応援している」と連帯を表明しています。

ドイツ ウクライナへ約680億円にのぼる兵器供与を発表

ドイツ政府は24日、政府のホームページにウクライナに供与する兵器の最新のリストを公開しました。
政府の報道官によりますと、あらたに供与するのは、ロケットランチャー20基や防空システム、それに弾薬などで、金額にして5億ユーロ以上、日本円にしておよそ680億円にのぼるとしています。
また、その大部分は来年中に供与されるとしています。
ドイツは当初、重火器の供与に慎重だったことから、ゼレンスキー大統領をはじめウクライナ側から支援に消極的だと批判されました。
ショルツ首相は23日の国際会議で「ウクライナが必要とするかぎり支援を続ける」と述べるなど、ウクライナへの財政支援や兵器供与を積極的に行っていく考えを明らかにしました。