ウクライナへの軍事侵攻半年 ロシア市民の声は

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で半年となりました。
長期化する軍事侵攻に、ロシアの市民はどのような思いを抱いているのか、各地でたずねました。

首都 モスクワでは

首都モスクワで暮らし、ウクライナ東部のドンバス地域に親戚がいるという52歳の男性は「ロシアの同胞はどんな形であれ守る必要がある」と軍事侵攻を支持しました。
そして、ロシア語を話す人はウクライナの南部でも多いと主張し、プーチン政権がさらに1年以上をかけて、こうした地域で旧ソビエトの勢力圏を回復するだろうという持論を展開しました。

一方、ことし大学を卒業した22歳の男性は「就職したかった外資系企業はみな撤退してしまい、厳しい状況になった」と不満を示しました。
男性は、軍事侵攻をめぐる情報に接すると、強い不安を感じるため、徐々に遠ざけるようになったとし「今は興味がない。ニュースを見る気も読む気も起きない」と心境を語りました。

運送業界で働く26歳の女性は「ずっと不安な状態のまま半年が過ぎた。早く終わってほしいと思うが、きっと長引くのだろう。欧米各国との対立は、まだ始まったばかりだ」と将来への不安を口にしました。

極東 ウラジオストクでは

ロシア極東のウラジオストクなど地方都市では、軍事侵攻の開始直後、モノ不足や物価上昇といった生活への悪影響を懸念する声が高まりました。

しかし、今は市民生活への影響はそれほど大きくないと受け止められ、ウラジオストクに住む自営業の30代の男性は「生活の中で、全く変化を感じない」と話していました。

そのうえで「当局がソーシャルメディアを規制し、何が本当で何がうそなのかが分からなくなった。最初はニュースを追っていたが、何となく遠ざかりこの1、2か月は現地で何が起きているのかさえ分からない」と話し、プーチン政権が厳しい情報統制を敷いた結果、幅広い情報に触れることが難しくなり、ウクライナ情勢への関心そのものを失いつつあるという心情を述べました。

第2の都市サンクトペテルブルクでは

プーチン大統領の出身地で、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクでは、長期化する軍事侵攻に対する不安の声が相次ぎました。

25歳の息子がいる女性は、戦闘で死傷者が増える中、自分の息子もいずれ徴兵され、戦地へ送られるおそれがあると不安を示しました。
そして「私が指導者ならとっくに停戦しているし、そもそも始まることさえなかった」とプーチン政権を批判しました。
そのうえで「ロシアにも、人を殺してはいけないと信じる人間が少なくないことを海外の人たちに理解してもらえたらうれしい」と話していました。

22歳の男子大学生も「心の中では何でもありだと思っている」と述べ、いつ動員されてもおかしくないと不安を口にしました。
そして軍事侵攻については「解決策の一つであっても、人が犠牲になる以上、最良の選択ではない。翌朝、目が覚めたらすべてが終わっていてほしい」と話していました。