【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(24日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が始まって24日で半年となります。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

首都キーウ 戦闘で命を落とした家族を悼む人も

キーウの中心部にある戦闘で亡くなった兵士などの写真が並ぶ場所では、23歳の息子を亡くしたという48歳の女性が「あなたは国を守った英雄です。ありがとうと伝えたい」と涙ながらに話していました。
ウクライナ政府は、旧ソビエトからの独立記念日でもある24日に合わせてロシアが攻撃を激化させるおそれがあると警戒を呼びかけています。このため、多くの人が集まる中心部の独立広場では防空警報が鳴るとすぐに地下通路に避難する人の姿がみられ、6歳の子どもを連れて地下に避難した母親は「軍が守ってくれるので怖くはありませんが、警報が鳴ったらすぐに地下シェルターに隠れます。子どもの安全が最優先です」と話していました。
また、21歳の大学生の男性は「サイレンが鳴るといつも避難するようにしています」と、ロシアのミサイル攻撃を警戒していると話していました。

ゼレンスキー大統領 ”ウクライナの独立と勝利を守る”

ゼレンスキー大統領は首都キーウの独立広場でスピーチをする動画を公開し、ことし2月24日にロシアが軍事侵攻を始めたことに触れ「この6か月の間に、私たちは歴史や世界を変え、そして私たち自身を変えた。2月24日に真の意味でひとつになり生まれ変わったのだ」と述べ、国民が結束していることを強調しました。
そのうえで「われわれは国のために最後まで戦う。この6か月間持ちこたえた。難しいことだが、拳を握りしめて自分たちの運命のために戦っている。私たちはさまざまな状況の中でこの日を迎えているが、目的はただ1つ、ウクライナの独立と勝利を守ることだ」と述べました。

ロシア国防相 “軍事作戦の目標は達成される”

ロシアのショイグ国防相は、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれた上海協力機構の国防相会議で演説し「ウクライナの政権がミンスク合意の履行を拒否し、ドンバスの住民やロシアに現実的な脅威を与えた。これによってウクライナで特別な軍事作戦を実施する必要性が促された」と主張しました。そのうえで「特別な軍事作戦は計画通りに進められ、すべての目標は達成される」と述べ、プーチン大統領の命令に従い侵攻を推し進める考えを強調しました。
一方、ショイグ国防相は「われわれは民間人の犠牲を防ぐためにあらゆる努力を払っている。確かに進軍は遅くなるが、それは意図的にやっている」と主張しました。

松野官房長官「ロシアは蛮行を即座に停止を」

松野官房長官は記者会見で「ロシアの一連の行為は決して許されない暴挙であり、 このような蛮行を即座に停止するよう求める。今後も国際社会と連携しながら 国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していく」と述べました。また、軍事侵攻を背景とした物価高騰への対応について「9月上旬をめどに、関係省庁が対応策の具体化を進めている。 新たな財源措置を伴うものは予備費を機動的に活用し、国民に迅速に届けていく。その後についても、物価や景気の両面の状況に応じ 迅速かつ総合的な対策に切れ目なく取り組んでいきたい」と述べました。

砲撃相次ぐザポリージャ原発 国連安保理で双方が互いを非難

ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所で砲撃が相次いでいることについて国連の安全保障理事会で緊急の会合が開かれ、ロシアとウクライナは砲撃は相手側によるものだと主張して互いを非難しました。

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所では今月、砲撃が相次いでいて、原発の安全への懸念が高まっています。

これについて国連安保理では23日、緊急の会合が開かれ、国連のディカルロ事務次長が「毎日のように憂慮すべき事件が報告されている。さらに激しくなれば、大惨事に直面するおそれがある」と述べ、現地の状況を調査するIAEA=国際原子力機関の専門家チームを受け入れるようロシアとウクライナの双方に求めました。

このあと、会合を要請したロシアのネベンジャ国連大使は、砲撃はウクライナ軍によるものだと改めて主張したうえで、アメリカがウクライナに供与した武器も攻撃に使われたと述べました。
これに対してウクライナのキスリツァ国連大使は「大胆にもロシアはみずから安保理会合を要請し、自らのテロ行為を議論している」と述べ、砲撃はロシアによるものだと改めて非難しました。

一方、IAEAの現地調査については、ロシアとウクライナの双方が協力する姿勢を示し、今後、専門家チームの通行ルートなどで両者が合意し、調査が実現するかどうかが焦点となります。

アメリカ ウクライナに4000億円余りの追加軍事支援

欧米のメディアは23日、アメリカ政府高官の話として、バイデン政権が8月24日にもウクライナに対し、追加の軍事支援を発表すると伝えました。支援額はおよそ30億ドル、日本円にして4000億円余りで、半年前にロシアの軍事侵攻が始まって以降、1度の支援額としては、最大になる見通しです。
24日は、ウクライナが1991年にソビエトからの独立を宣言した記念日で、この記念日に向けて、追加支援の準備が進められているとしています。

支援の内訳について、AP通信は、戦闘の長期化を踏まえ、ウクライナの中長期的な防衛力の強化を目的としたものだと伝えているほか、ロイター通信は、弾薬のほか、防衛システムなども含まれると報じています。
バイデン政権は、ロシアを過度に刺激してアメリカとの衝突につながらないよう慎重な姿勢を維持しながら、戦況にあわせた兵器の供与を続けていて、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナに対する軍事支援はこれまでにおよそ1兆3000億円に上ります。

東部ハルキウ州で外出禁止令 ロシア軍の攻撃激化への警戒で

ウクライナでは24日、軍事侵攻から半年とともに、旧ソビエトからの独立記念日にもあたり、ロシア軍が攻撃を激化させることへの警戒が強まっています。

東部ハルキウ州では、23日夜から25日朝にかけて市民に対し外出禁止令が出されていて、州都ハルキウでは23日、閑散とした街なかを銃を手にした警察の部隊が巡回していました。

ゼレンスキー大統領「“ウクライナ疲れ”は全世界の脅威」

世界各国でウクライナ情勢への関心が低下していると指摘されていることについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は23日の記者会見で「それぞれが自国の問題を抱える中で『ウクライナ疲れ』の状態になることはあり得ると思うが、今はそうはなっていない。しかし今後、世界が『ウクライナ疲れ』の状態になってしまうなら、それは全世界にとっての大きな脅威であるし、ウクライナにとっても破滅へとつながる大きな脅威だ」と述べ、各国に対し支援を継続するよう訴えました。

また、8年前にロシアに一方的に併合された南部クリミアについては「各国に事前に相談することなく、私たちが正しいと考えるあらゆる手段を使って取り戻す」と述べ、奪還を目指す決意を改めて示しました。

ロシア側がウクライナ人捕虜の裁判始めるか 国連も懸念

ウクライナへの軍事侵攻が始まってから半年となる中、ロシア側がウクライナ人捕虜の裁判を始めるのではないかとの見方が出ていて、ロシア側が完全掌握した東部マリウポリでは、音楽ホールにつくられた鉄格子でできたおりのようなものの映像がSNS上などで伝えられています。

これについて国連人権高等弁務官事務所の報道官は、23日の記者会見で「映像を見ると巨大なおりに捕虜を入れたまま裁判を行う考えのようだ」としたうえで「こうした裁判のやり方は受け入れられない。戦時中の捕虜にとって屈辱的であり、推定無罪の原則が守られるのかも懸念される」と述べました。

ザポリージャ原発 IAEA「数日以内に専門家チーム派遣の可能性」

砲撃が相次ぎ安全性への懸念が高まっているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所をめぐり、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、23日、声明で「調整がまとまれば、数日以内に専門家チームの派遣が行われる可能性がある」と明らかにしました。

また、ウクライナ側から20日と21日に砲撃によって研究所と化学施設を含む原発の施設が損傷したとの報告があったほか、22日の砲撃では近くにある火力発電所の変圧器が損傷し、原発への送電が数時間にわたって断たれたものの復旧したとしています。

ザポリージャ原発への砲撃についてはウクライナとロシアが互いに相手の攻撃だと非難を繰り返していますが、IAEAは原発の安全性を確保するための調査が必要だとしていて専門家チームの派遣が実現するかが焦点となってます。

ウクライナ ポドリャク大統領府顧問「国境線を完全に回復」

ウクライナのポドリャク大統領府顧問が23日、首都キーウでNHKの単独インタビューに応じました。

ポドリャク大統領府顧問は、ウクライナ軍はアメリカなど欧米から供与された兵器を使って、ロシア軍の弾薬や燃料庫、それに戦術的な指揮拠点などを重点的に破壊し、撤退に追い込む作戦を進めていると明らかにしました。

そのうえで「戦いは、国際的に認識された国境線を完全に回復するために行われている」と述べ、戦況はウクライナ側が領土の奪還に向けて攻勢をかける局面に入っているという認識を示しました。

ロシアに8年前に一方的に併合されたクリミアで今月相次いだ爆発や攻撃について、ウクライナ側の直接的な関与があったかどうかは「認められない」としながらも「クリミアで行う軍事作戦も南部などで進めているものと同じものとなることを示している」と述べ、奪還を目指す領土には、クリミアも含まれると強調しました。

一方ポドリャク氏は、ロシアは長距離砲やロケット砲を大量に保有しているため火力で差をつけられているという認識を示し「高機動ロケット砲システム=ハイマースが50基追加で供与されたりすれば領土を奪還するスピードはかなり早まるだろう」と述べ、欧米からさらなる兵器の供与が必要だと訴えました。

アメリカ国務省「ロシアがウクライナの施設に攻撃強化の情報」

アメリカ国務省の報道担当者は23日、記者団に対し「ロシアが近くウクライナのインフラ施設や政府機関の施設に対し、攻撃を強化するという情報がある」と述べ、警戒を強めていることを明らかにしました。

また、ウクライナの首都キーウにあるアメリカ大使館も同様の情報があるとして、ウクライナ国内にいるアメリカ人に対し、ただちに出国するよう呼びかけました。

ウクライナ軍事侵攻半年 戦闘長期化、緊迫の度合い強まる

ウクライナでは、東部では戦況はこう着していますが、ヘルソン州など南部では、ウクライナ軍が欧米から支援された兵器を効果的に活用してロシア軍の弾薬庫や補給路を破壊するなど、反転攻勢を強めています。

今月に入ると、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアのロシア軍基地で爆発が起き、黒海艦隊の航空部隊が打撃を受けるなど、戦線はクリミアにまで拡大しているもようです。
一方、ロシアはウクライナ軍の施設だけでなく、市街地へのミサイル攻撃も続けるとともに、掌握している南東部にあるザポリージャ原子力発電所を盾にして攻撃を激化させているともみられています。

ロシア軍は、深刻な兵員不足が指摘されていますが、プーチン政権は国民の強い反発が予想される総動員は避けながら、ロシアの地方などで兵士を募集して戦地への派遣を進めているとされています。

また、ロシア側は、掌握したとする東部や南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州などで支配の既成事実化を強め、早ければ、ロシアの地方選挙が行われる来月にも将来の併合をにらんで住民投票を実施する準備を進めているとみられます。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で半年となりますが、戦闘が長期化する様相と大規模な原子力事故への懸念も含めて緊迫の度合いが強まっています。