ロシア軍 黒海艦隊に新トップ就任 戦力立て直しねらいか

ロシアが8年前一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは、ロシア軍の黒海艦隊の司令部が無人機で攻撃されるなど、軍事施設への攻撃が相次いでいます。こうした中、ロシアでは黒海艦隊に新しいトップが就任したと伝えられ、戦力を立て直したいねらいもあるとみられます。

ロシア国防省は20日、ウクライナ東部ハルキウ州を攻撃し、アメリカ人の戦闘員を含む230人以上の兵士を殺害したと主張しました。

一方、ウクライナ南部クリミアの軍港都市セバストポリでは、8年前のロシアによる一方的な併合のあと、行政府のトップとなったラズボジャエフ氏が20日、ロシア軍の黒海艦隊の司令部が無人機で攻撃されたことを明らかにしました。

ラズボジャエフ氏は、無人機は司令部の上空で撃墜されたと主張しています。

クリミアでは今月9日にも駐留するロシア軍の基地で大規模な爆発が起き、ロイター通信は19日、欧米の当局者の話として、この爆発で、黒海艦隊に所属する戦闘機の半分以上が運用を停止していると伝えました。

こうした中、ロシアの有力紙コメルサントは19日、黒海艦隊の新しいトップにビクトル・ソコロフ氏が就任したと報じました。

黒海艦隊ではことし4月、旗艦「モスクワ」がウクライナ軍の対艦ミサイルに攻撃されて沈没し、イギリス国防省などは、当時の司令官が責任を追及されたという見方を示していました。

イギリス国防省は今月16日、黒海艦隊について、「効果的に制海権を行使することに苦慮している」と分析していて、ロシアとしては、ウクライナ軍が南部で反転攻勢を強める中、黒海艦隊のトップを刷新することで戦力を立て直したいねらいもあるとみられます。

また、ロシア軍が掌握する南東部のザポリージャ原子力発電所やその付近では今月に入って砲撃が相次ぎ、IAEA=国際原子力機関は現地の視察や調査を求めています。

これについてゼレンスキー大統領は、19日に公開した動画で「調査団の派遣に向けてウクライナの外交官や国連、それにIAEAなどが詳細を詰めている」と述べました。

ロシアのプーチン大統領も19日、フランスのマクロン大統領との電話会談で、IAEAによる調査団の早期派遣の重要性については一致したとして、反対しない姿勢を示していて、今後、IAEAの訪問が実現できるかが焦点となっています。