【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ南部 ミコライウ州 ロシア軍が攻撃 子どもら12人けが

ウクライナ南部ミコライウ州のキム知事によりますと、20日、州内の建物にロシア軍による攻撃があり、子ども4人を含む12人がけがをしたということです。

攻撃があった地域のおよそ30キロ北には、南ウクライナ原子力発電所があり、ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、攻撃を非難しました。

ゼレンスキー大統領 クリミアの奪還を目指す決意を示す

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に公開した動画で、「ロシアによるクリミアの占領は一時的なものだ。ウクライナがクリミアを取り戻すと感じることができるだろう」と述べ、クリミアの奪還を目指す決意を示しました。

そして、今月24日でロシアによる軍事侵攻から半年となることに触れ、ウクライナの勝利のため国民の団結を呼びかけました。

クリミアで攻防激化 ロシア軍の黒海艦隊司令部が無人機で攻撃

ウクライナ南部クリミアの軍港都市セバストポリでは、8年前のロシアによる一方的な併合のあと、行政府のトップとなったラズボジャエフ氏が20日、ロシア軍の黒海艦隊の司令部が無人機で攻撃されたことを明らかにしました。

詳しい状況は分かっていませんが、無人機は司令部の上空で撃墜したとしています。

一方、ウクライナ政府は、この無人機による攻撃についてこれまでのところコメントしていません。

クリミアでは今月9日にも駐留するロシア軍の基地で大規模な爆発が起き、ロイター通信は19日、欧米の当局者の話として、この爆発で黒海艦隊に所属する戦闘機の半分以上が運用を停止していると伝えました。

こうした中、ロシアの有力紙コメルサントは19日、黒海艦隊の新しいトップにビクトル・ソコロフ氏が就任したと報じました。

イギリス国防省は今月16日、黒海艦隊について「効果的に制海権を行使することに苦慮している」と分析していて、ロシアとしては、ウクライナ軍が南部で反転攻勢を強める中、黒海艦隊のトップを刷新することで戦力を立て直したいねらいもあるとみられます。

国連事務総長 ウクライナ農産物輸出再開への活動を視察

国連のグテーレス事務総長は20日、トルコのイスタンブールを訪問し、ウクライナの農産物の輸出を再開するため、ロシアとウクライナ、それにトルコと国連の4者が設置した共同調整センターが貨物船の検査を行う様子を視察しました。

そして会見で「65万トン以上の穀物や食料が すでに世界の市場に向かっている。すばらしい、感動的な活動だ」と述べたうえで、食料輸出を一層、拡大していく必要性を訴えました。

また「2022年に肥料がなければ2023年には十分な食料がないかもしれない」と述べ、今後、世界の食料価格を安定させるためには、ロシアの肥料などの輸出を再開することも重要だという考えを改めて示しました。

ウクライナ 独立記念日前に破壊した戦車など展示

ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから半年となる今月24日は、ウクライナが1991年にソビエトからの独立を宣言した記念日で、これを前に首都キーウの独立広場周辺ではウクライナ軍が破壊したロシア軍の戦車などが展示されています。広場の前の大通りには、およそ700メートルにわたって50台余りの軍用車両が並べられ、中には原形をとどめないほど大きく壊れ、焼けて赤茶色になった車両もありました。

広場には、大勢の家族連れや若者たちが訪れ、戦車によじ登るなどして写真を撮影していました。家族とともに訪れた17歳の女性は「市民が亡くなる中雰囲気は重苦しいですが、破壊された戦車はウクライナ軍の強さを表しています。私たちはロシアに勝てます」と話していました。

長引く戦闘で犠牲者が増え続けるなか、こうした展示によって国民に戦果を示し、結束を強める狙いもあるとみられます。

ロシア モスクワ郊外で「反ファシズム国際会議」開催

ロシア国防省は20日、首都モスクワ郊外で「第1回反ファシズム国際会議」と名付けたイベントを開催し、国防省によりますと、中国やベラルーシなど37か国から軍の代表などが出席しました。
会議に出席したショイグ国防相は「ウクライナの政権は8年にわたり、ウクライナ東部の住民に対し悪事を働いた。またウクライナは、NATO=北大西洋条約機構への道を歩んだ。これらのすべてがロシアの安全保障にとって容認できない脅威を生み出した」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を正当化しました。そして「ロシアの国民がEU=ヨーロッパ連合に入国することを拒否する、ロシア嫌いの動きがあるが、これはナチズムの政策の表れだ」と欧米側を批判しました。

プーチン政権は、ウクライナのゼレンスキー政権をナチス・ドイツを肯定するネオナチ勢力だと一方的に決めつけ、軍事侵攻の名目の1つにウクライナの「非ナチ化」を掲げており、国防省としては今回の会議を通じて、参加国に侵攻の正当性を主張する狙いがあるとみられます。