ロシア軍 ハルキウ州で繰り返しミサイル攻撃 多くの死傷者も

ウクライナ侵攻を続けるロシア軍は東部のハルキウ州でミサイル攻撃を繰り返しているとみられ、多くの死傷者が出ています。ウクライナ政府は、南東部にある原子力発電所を掌握するロシア軍が、国連のグテーレス事務総長のウクライナ訪問にあわせて挑発行為をする可能性があると警戒を強め、原発の安全性への懸念が深まっています。

ウクライナ東部のハルキウ州では、今月17日以降、ロシア軍が住宅などへのミサイル攻撃を繰り返しているとみられ、地元のシネグボフ知事はSNSに、子どもを含む合わせて17人が死亡し、42人がけがをしたと投稿したほか、19日の早朝にも合わせて5回の砲撃を受け、女性1人の死亡を確認したとしています。

イギリス国防省は19日、「ハルキウはロシア軍の前線からおよそ15キロで、多くの部隊の射程圏内にあり、複数のロケット砲と精度の低い兵器が街の多くに壊滅的な被害をもたらした」と指摘しています。

そして、南部でウクライナ軍が反撃を続けていることを念頭に、「ロシア軍はウクライナ側に、東部の戦線に戦力をとどまらせ、他の地域で反撃のための戦力として利用されるのを防ごうとしている」と分析しています。

こうした中、ロシア軍が掌握する、南東部にあるヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所をめぐって、ウクライナ国防省の情報当局はSNSに「入手可能な情報から、国連事務総長のウクライナ滞在にあわせてテロ攻撃を行う可能性がある」と投稿し、ロシア側による挑発行為を警戒していることを明らかにしました。

ウクライナを訪れている国連のグテーレス事務総長は、原発の状況に強い懸念を示し、「原発の周辺は非武装化されるべきだ」と述べ、軍事行動の停止と部隊の撤退を求めていますが、ロシア側は「原発の安全性がさらにぜい弱になる」と主張し、拒否しています。

さらにロシア国防省は、逆にウクライナ側がグテーレス事務総長のウクライナ訪問にあわせて原発がある地域への砲撃を計画し、ロシアに責任を負わせようとしているなどと主張していて、原発の安全性への懸念が深まっています。