サンマ初水揚げ 1キロ5万円 去年の5倍以上も 北海道 根室

サンマの深刻な不漁が続く中、北海道根室市の花咲港では18日朝、主力の棒受け網漁の小型船が戻り、初水揚げを行いました。水揚げ量はおよそ260キロと少なく、競りでは高いもので1キロ当たり5万円と去年の5倍以上の価格で取り引きされました。

サンマの水揚げ量が12年連続で日本一の根室市の花咲港には18日午前6時半ごろ、今月10日の解禁日に出漁した棒受け網漁の小型船1隻が戻り、北太平洋の公海でとれたサンマを初水揚げしました。

水揚げ量はおよそ260キロと去年の花咲港での初水揚げの10分の1以下にとどまり、船上で箱詰めされたサンマは手渡しで船から降ろされると、早速、市場に運ばれていきました。

漁船の30代の漁労長は「量は少なかったが、はじめとしてまずまずです。今後に期待します。脂が少ないので、刺身などで食べてほしいです」と話していました。

このあとの競りでは、高いもので1キロ当たり5万円の値が付き、去年の花咲港での初水揚げと比べて5倍以上の価格で取り引きされました。

ことしは日ロ関係の悪化の影響で、公海の漁場に向かう際にロシア側の主張する排他的経済水域内を通ることに不安の声が出ていましたが、18日に水揚げした漁船は排他的経済水域内を一部通過したものの、ロシア側の臨検を受けることなどはなかったということです。

北太平洋でのサンマの棒受け網漁は20日、大型船による漁が解禁されます。

根室市内の鮮魚店「赤字覚悟の価格」

根室市内の鮮魚店では、水揚げされたサンマが早速午前中から店頭に並びました。

この店では「サンマ船応援価格」と銘打って、1匹300円と初物としては手ごろな価格で販売されていました。

名古屋市から観光で訪れた50代の男性客は「サンマはきれいでおいしそうです。この価格なら買えます」と話していました。

鮮魚店の浅野昌英社長は「売り残してもしかたないので、赤字覚悟の価格です。はしりのサンマなので生で食べてほしいです」と話していました。

サンマの漁獲量 10年で約10分の1に減少

サンマの漁獲量はこの10年でおよそ10分の1に減少しています。

農林水産省によりますと、去年のサンマの漁獲量は過去最低の1万9500トン。

2012年は22万1470トンだったため、10年間で10分の1以下に減りました。

その一方で、産地での平均の取り引き価格は、2012年は1キログラム当たり78円でしたが、去年は627円と、およそ8倍に高騰しました。

国の研究機関「水産研究・教育機構」によりますと、ことしのサンマの漁獲量は過去最低となった去年を上回るものの、引き続き低い水準になると見ています。

また、スーパーなどに並ぶサンマには、小ぶりなものが多くなりそうだとしています。

大型船による棒受け網は20日解禁 銚子漁港から漁船が出発

サンマ漁は主力となる大型船による棒受け網漁が20日に解禁されます。
これに合わせて銚子漁港では18日午後、関係者が集まり、漁の安全と豊漁を祈願しました。

そして、家族などが見送る中、大型船が漁場となる北太平洋の公海に向けて出発しました。

銚子市によりますと、サンマ漁は漁場が銚子から遠く離れた北太平洋の公海に移っていることなどから、ここ数年、不漁が続いていて、水揚げ量は6万1000トンを記録した平成21年をピークに減少が続き、去年はわずか17トンにとどまっています。

出港した大型船によりますと、これまでは漁場に向かう際、ロシア側の主張する排他的経済水域を通っていましたが、ことしは日ロ関係の悪化を受けてう回するということです。

乗組員の辻野元裕さんは「漁への期待はありますが、ロシア情勢に不安を感じます。遠回りになっても安全な漁を目指したい」と話していました。