旧統一教会をめぐる問題 来月から集中的に相談受け付けへ

旧統一教会をめぐる、いわゆる霊感商法などの問題について、政府は、被害者救済などに関係省庁で連携して取り組む初めての会合を開き、来月から1か月程度、相談を集中的に受け付ける強化期間を実施することを決めました。

旧統一教会をめぐっては、自民党の萩生田政調会長が記者団の質問に答えるなど、18日もさまざまな発言や動きがありました。

“被害者の救済に政府が連携して取り組む”

旧統一教会をめぐる、いわゆる霊感商法などの問題について、政府は18日午後、法務省や警察庁、消費者庁などが被害者救済などに連携して取り組む「旧統一教会問題関係省庁連絡会議」の初めての会合を開きました。

会合の最後に葉梨法務大臣は、「相談内容に応じて適切な対応を行うため、各省庁が持つ相談窓口の役割や対応可能な事項を整理するという認識を共有した」と述べました。

そのうえで、来月初めから1か月間程度、被害にあった人たちからの相談を集中的に受け付ける強化期間を設けることを明らかにしました。
葉梨大臣は、「この取り組みは、救いを求める声を吸い上げ、救済につなげるうえで極めて重要なものだ。関係省庁の皆様方には万全の体制により、スピード感を持って取り組んでいもらいたい」と述べました。

政府は、この期間中に東京都内の1か所に相談窓口の拠点を設けて関係省庁の職員を集め、全国からの相談対応にあたることにしています。

旧統一教会めぐる相談や支援を行う夫婦の訴え

旧統一教会の元信者や、その家族などが運営している民間の団体、「統一教会被害者家族の会」は専門的な知識を持ったカウンセラーの育成や相談窓口の必要性を訴えています。

「統一教会被害者家族の会」は2003年から旧統一教会をめぐる金銭トラブルや脱会に関する相談支援を行っていて、団体の立ち上げに携わった夫婦が取材に応じました。

元信者の女性が語る “きっかけはママ友”の声かけ

元信者の60代の女性は25年前、息子が通っていた中学校の“ママ友”から「家系図を学ぶ講習会がある」と声をかけられ、旧統一教会の関連施設に通うようになりました。

関連施設とは知らされないまま週に3回ほどのペースで通い、映像を見ながら先祖に対する供養や理想の母親としての姿について教え込まれたといいます。

旧統一教会だと知ったのは、施設に通い始めてから1年ほどたったときでしたが、すでに興味を持って学んでいたため、「やめようと思えばいつでもやめられるからもう少し勉強しよう」と考え、そのまま続けることにしました。

その後、高額の印鑑を買ったり、韓国にある関連施設に通ったりして、関わりを深くしていったということです。

夫が語る “脱会させる難しさ”

一方、女性の夫は急に優しくなったという妻の変化に気付きましたが、旧統一教会の関連施設に通っていることはわからなかったといいます。

妻は、教会の信者から、家族には教会の話をしないよう口止めされていたからです。

ある日、妻のかばんの中から旧統一教会に関する本をたまたま見つけ、入信に気付いた夫は、家族を脱会させたい人たちが集まるグループに参加し、その方法を教わりましたが、最初は夫婦げんかが絶えなかったといいます。

ただ、妻のことを否定せずに入信した理由などを丁寧に聞き取っていくことで、およそ1年半かけて脱会させることができたということです。

“カウンセラーの育成 相談窓口の設置が必要”

夫婦はその後、自分たちのように苦しんだ人たちを支えたいと、仲間と一緒に支援団体を立ち上げました。

妻は元信者として、夫は元信者の家族としての経験を踏まえて家族らの相談に乗り、必要があれば弁護士やカウンセラーを紹介しています。

夫婦は、民間団体の支援だけでは限界があると感じていて、国に対しては「経済的な支援のほかにも、宗教2世の自立支援なども必要になってくる。被害に遭っている人は自分から被害者だと言えない精神状態の人も多い。そういう方を見つけ出せるような体制を整えてほしい」と話しました。

そのうえで、「旧統一教会に関する専門的な知識を持つカウンセラーを育成したり、相談から支援まで完結できる窓口を設置したりする必要がある」と話しました。

支援団体には金銭トラブルなどの相談が急増

安倍元総理大臣が銃で撃たれて死亡した事件の後「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の元信者や家族の支援をしている団体には、金銭トラブルなどの相談が急増しています。
安倍元総理大臣の事件が起きる前、旧統一教会の元信者や家族の支援活動をしている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」には、1か月に1、2件程度の相談が寄せられていましたが、事件以降の7月8日から8月9日までの、およそ1か月間には100件余り相次ぎ、相談が急増しました。

相談の内容の多くが金銭トラブルに関するもので、「過去にした献金を返してもらいたい」というものや、「遺産相続を話し合う親族の中に信者がいて、どう使われるか心配だ」というものもあるということです。
一方、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会は高額の献金をめぐる金銭トラブルについて8月10日の記者会見で、「2009年に一部の信徒が検挙されて以降、社会的、法的に問題になる行為をしないようコンプライアンスの徹底に努めてきた。1998年に係争中の民事訴訟は78件あったが、ことしは5件に減っている」と説明しています。

世界平和統一家庭連合 「宗教弾圧」と主張

また、「世界平和統一家庭連合」は18日、首都ソウルで集会を開き、旧統一教会をめぐる日本メディアの報道を批判し、「宗教弾圧だ」などと主張しました。

韓国の首都ソウルの中心部では18日午後、旧統一教会、今の「世界平和統一家庭連合」が主催する集会が開かれ、韓国在住の日本人を中心に大勢の信者が参加しました。

警察関係者によりますと、3000人余りが集まったということで、集会では冒頭、安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件を受けて全員で黙とうをささげました。

続いて、事件以降、旧統一教会をめぐって、日本のメディアがコメンテーターを使ってわい曲した報道を行っていると批判し「宗教弾圧であり、信仰の自由を尊重すべきだ」などと主張しました。

政務三役73人の約4割が旧統一教会と接点

旧統一教会との関係をめぐっては、第2次岸田改造内閣の閣僚・副大臣・政務官の政務三役73人について、NHKのまとめでは、これまでに少なくとも32人、およそ4割に何らかの接点があったことが分かっています。
このうち、第2次岸田改造内閣の閣僚で旧統一教会の関連団体などと接点があったことを認めているのは、
▽寺田総務大臣
▽葉梨法務大臣
▽林外務大臣
▽加藤厚生労働大臣
▽西村環境大臣
▽山際経済再生担当大臣
▽高市経済安全保障担当大臣
▽岡田地方創生担当大臣の8人です。

萩生田政務調査会長「思い足りず反省」

さらに自民党の萩生田政務調査会長が、参議院選挙の公示直前の6月中旬、旧統一教会の関連施設を訪問していたことについて、記者団の取材に応じ、「教会の社会的な問題は今はないと認識していたが、いまだに苦しんでいる方がいることに思いが足りず、反省している」と述べました。

自民党の萩生田政務調査会長は、先月の参議院選挙で初当選した自民党の生稲晃子議員とともに、選挙の公示直前の6月18日、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関連施設を訪れていたことが明らかになりました。

萩生田氏は18日午後、自民党本部で記者団の取材に応じ、旧統一教会との関わりについて、「地元の支援者のなかに『世界平和女性連合』の会員がいて、その縁でつきあいが始まった。『世界平和統一家庭連合』と名称が非常に似ているが、旧統一教会との関係はあえて触れなかった」と述べました。

そして、生稲氏と関連施設を訪問したことについては、「私が了解して訪問した。私は『女性連合』の皆さんの集まりだという認識で行ったが、生稲氏は知らなかったと思う」と述べました。

そのうえで、「私自身は、旧統一教会の昭和の時代の社会的な問題は、承知をしていたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったし、かつての社会的な問題は、今はないという認識をしていたが、いまだ、いろんなことで苦しんでいる方がいらっしゃることには少し思いが足りなかったと反省している」と述べました。

そのうえで、「今後は一線を画し、政務調査会長として、宗教法人の在り方などをめぐる政府の動きと連携しながら、しっかり見守っていきたい」と述べました。

生稲参議院議員「教会の関連施設と知らなかった」

また、自民党の生稲晃子参議院議員も18日、記者団の取材に応じ、当時は教会の関連施設とは知らなかったと説明しました。

生稲議員は18日昼すぎ、自民党本部で記者団の取材に応じ「旧統一教会の関連施設だったとわかったのは、岸田総裁の指示を受けて調べた結果で、最近のことだった」と述べ、訪問当時は、教会の関連施設とは知らなかったと説明しました。

また、施設で行った演説については、「自分が街頭演説でいつも話をしていたことを話したと記憶している」と述べました。

そのうえで「これからは国会議員として、一つ一つ、しっかり慎重に把握して行動していく」と述べました。

旧統一教会の名称変更 野党が合同ヒアリング

野党側も追及を強めています。

旧統一教会の名称変更が行われた経緯をめぐり、立憲民主党や共産党などが18日、合同でヒアリングを行いました。

旧統一教会をめぐって文化庁は、平成27年に「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証し、専門家などからは名称変更により、霊感商法や献金の強要などの被害が広がったのではないかという指摘が出ています。

ヒアリングで議員からは、「名称を変えることで『正体隠し』がやりやすくなり、人をだますことにつながった」として、審査を厳正に行う必要があったという指摘が出されました。

また、宗教法人の設立の審査基準では、法令違反の行為が疑われる団体には、布教の方法に詐欺的・脅迫的な手段を用いていないかなどを調査すると規定されていることを踏まえ、今回の名称変更でも、そうした調査を行うべきだったのではないかという意見も出されました。

これに対し、文化庁の担当者は、「名称変更の審査基準では、設立時と同様の調査を行うことは求められておらず、名称変更自体は人をだます行為にはつながらない」などとして、形式上の要件を満たしている場合には申請を拒むことはできないと改めて説明しました。