【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“三者会談”前に ウクライナ大統領とトルコ大統領が会談

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、ウクライナを訪れている国連のグテーレス事務総長とゼレンスキー大統領、それにトルコのエルドアン大統領の三者による会談が行われるのに先立って、ゼレンスキー大統領とエルドアン大統領が個別に会談を行いました。

ウクライナ西部リビウでは、18日、現地を訪れている国連のグテーレス事務総長と、ゼレンスキー大統領、それに同じく現地を訪れているトルコのエルドアン大統領との三者による会談が行われます。

トルコの政府系通信社アナトリア通信は、これに先立ってエルドアン大統領とゼレンスキー大統領が会談したと伝えました。

18日は、国連のグテーレス事務総長とゼレンスキー大統領との個別の会談も予定され、ロシア軍が掌握する南東部にあるヨーロッパ最大規模のザポリージャ原発やその周辺で攻撃が相次ぎ、原発の安全性への懸念が深まっていることから安全確保について協議すると見られます。

そして、グテーレス事務総長は、ゼレンスキー大統領、エルドアン大統領との三者会談では、世界的な食料危機への懸念が続く中、ロシアとウクライナがトルコと国連の仲介で合意し、再開した農産物の輸出の継続に向けて意見を交わすということです。

三者会談を前にトルコ側は、「戦争の終結に向けた可能性を協議する」としていて、長期化する戦闘の終結に向けた道筋が見いだせるかも注目されます。

ロシアがクリミア半島の航空機などを移動か

ウクライナ国防省の情報総局は17日、ロシアが一方的に併合した南部クリミア半島にあるロシア軍の基地などで爆発が相次いだあと、ロシア軍が少なくとも航空機24機とヘリコプター14機をロシア本土や半島内の別の飛行場に移動させていると発表しました。

イギリス国防省などは爆発で戦闘機が破壊され、ロシア軍の航空戦力が低下したと指摘しており、さらなる損害を防ぐため、移動させた可能性もあるとみられます。

ウクライナ避難民受け入れ モルドバ10億支援

ロシア軍の侵攻を受けて、ウクライナから多くの避難民を受け入れているモルドバを支援するため、政府は、人工透析装置など医療機器を提供する10億円規模の無償資金協力を決めました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、隣国のモルドバは、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、8月1日時点で50万人を超える避難民を受け入れていますが、医療資源の不足が指摘され、日本政府は、調査団を派遣して現地にどんな支援が必要か、調べてきました。

その結果、首都キシナウの5つの公的医療機関に対し、人工透析装置や、手術用の機器、がん治療のための内視鏡など、医療機器を提供する10億円規模の無償資金協力を行うことを決めました。

また、JICA=国際協力機構の医療分野の専門家を派遣し、技術的なサポートも行うとしています。政府は、引き続きモルドバに対して支援を行い、避難民の医療サービスの改善や、生活水準の向上につなげたいとしています。

ハルキウ住宅砲撃で7人死亡

ウクライナの非常事態庁は17日、ウクライナ東部のハルキウで、3階建ての集合住宅がロシア軍による砲撃を受け、少なくとも7人が死亡し、16人がけがをしたとSNSで明らかにしました。

現地からの映像では、激しく燃える建物に向かって消防隊が放水する様子が確認できます。

住民の女性は「バンという音がして、灰色の煙が立ちこめた。階段が崩れかけていて住民たちは助け合っていた。ここには50人ほどが住んでいる」と話しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は攻撃を非難する声明をSNSに投稿し、「住民に対する非道な攻撃で、決して正当化できない。民間人への攻撃は侵略者の無力さを示している。私たちは必ず報復する」と述べています。

”クリミアで相次ぐ爆発 ウクライナが関与“ 米CNN

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアで相次ぐ爆発について、アメリカのCNNテレビはウクライナ政府の内部報告書をもとにウクライナが関与したと伝えました。

ウクライナ南部のクリミア半島では先週以降、駐留するロシア軍の基地や弾薬庫で爆発が相次いでいます。

8年前にクリミアを一方的に併合したロシアは、16日の弾薬庫での爆発について破壊工作を受けたとしていますが、ウクライナ政府は公式に関与を認めていません。

こうした中、CNNテレビは17日、ウクライナ政府で共有された内部報告書の内容をもとに一連の爆発についてウクライナが関与したと伝えました。

CNNによりますと、報告書でウクライナ側は、「今月9日の爆発はロシアにとって痛手だが一度きりの損失だった」とした一方、「その後の攻撃はクリミアを標的とするウクライナの組織的な軍事能力の証拠だ」と説明していると伝えています。

ロシアからの天然ガス減で大幅赤字 ドイツ大手エネルギー会社

ドイツの大手エネルギー会社「ユニパー」は17日、ことし上半期の決算で最終損益が日本円でおよそ1兆6400億円の赤字になったと発表しました。ロシアから供給される天然ガスが大幅に減らされたためだとしています。

ドイツの大手エネルギー会社ユニパーはことし1月から6月までの上半期の決算を発表し、最終損益が120億ユーロ余り、日本円にしておよそ1兆6400億円の赤字となりました。

ロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」から供給されるはずだった天然ガスが大幅に減らされ、不足した分を補うために価格が割高なガスを市場から購入せざるをえなかったためだとしています。

またロシアとドイツを結ぶ主要なパイプライン「ノルドストリーム」によるガスの供給はことし6月中旬以降、段階的に減らされ、現在は本来の20%にとどまっている一方、市場で取り引きされるガスの価格は高値が続いていて、ユニパーは当面、厳しい経営が続くとしています。

ユニパーは、ロシアから購入した天然ガスを国内の自治体や企業に幅広く販売するガス供給の要を担っているため、ドイツ政府にとってユニパーの経営をいかに下支えするかが大きな課題になっています。

国連 グテーレス事務総長 ウクライナ西部のリビウに到着

国連のグテーレス事務総長は17日、ウクライナ西部のリビウに到着し、18日にはウクライナのゼレンスキー大統領、トルコのエルドアン大統領と三者で会談するほか、ゼレンスキー大統領との間では個別の会談も予定されています。

これについて国連のハク副報道官は17日の定例会見で「事務総長は農産物の輸出やザポリージャ原子力発電所の問題、現地の緊張緩和のために取り組んでおり、これらが議論の一部になるだろう」と述べ、ウクライナ情勢をめぐってさまざまな懸案について意見を交わすことになるという見通しを示しました。

クリミアの爆発 ロシア側 “ウクライナ側が攻撃に関与”

ウクライナ南部のクリミア半島では16日、北東部にある弾薬庫で爆発があり、8年前にクリミアを一方的に併合したロシアの国防省は、破壊工作を受けたことを認めました。

ロシア側の消防当局は17日、この爆発で近くの町にあるアパート9棟と住宅およそ70棟が屋根や窓が壊れるなどの被害を受けたと明らかにしました。

またロシア側の地元議会の議長はロシアメディアに対し「このような破壊工作には当然ウクライナ政府が関わっている」と述べ、ウクライナ側が攻撃に関与したという見方を示しました。

ウクライナ政府は公式に関与を認めていませんが、ポドリャク大統領府顧問はイギリスの有力紙ガーディアンのインタビューで「われわれの戦略は補給路や弾薬庫を破壊し軍を混乱させることだ。今後2、3か月の間にさらなる攻撃が行われる可能性がある」と述べました。

クリミアをめぐっては、ロシアのプーチン大統領が「われわれの歴史的な土地だ」と主張して譲らず、前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は先月「クリミアへの攻撃などが起きれば、ウクライナは瞬時に破滅的な状況にさらされる」などと威嚇しています。