高校野球 愛知 愛工大名電が大分 明豊に勝ちベスト8進出

夏の全国高校野球、大会10日目の第3試合は、愛知の愛工大名電高校が大分の明豊高校に5対2で勝ってベスト8に進出しました。

愛工大名電は1回、フォアボールとヒットで1アウト一塁三塁として、4番の山田空暉選手のレフトへの犠牲フライで1点を先制し、3回にも1点を追加しました。

さらに5回、チャンスで5番の有馬伽久投手と6番の市橋昂士選手の連続タイムリーでさらに2点を追加し突き放しました。

3試合連続の先発となったキャプテンでエースの有馬投手は、ランナーを出すものの140キロを超える力強いストレートとスライダーで連打を許さず、ヒット6本、2失点で完投し、愛工大名電が5対2で明豊に勝ってベスト8に進出しました。

明豊は、4回に犠牲フライで1点、7回には3人目として登板した森山塁投手のスリーベースヒットから内野ゴロの間にさらに1点を返しましたが、相手の有馬投手に押さえ込まれました。

愛工大名電 有馬投手「変化球を低めに集めて打たせようと」

強打の明豊打線を2点に抑えた、愛工大名電のエースでキャプテンの有馬伽久投手は「バットを振ってくる打線だったので、変化球を低めに集めて打たせようと思っていました。やりたいことができてよかったです」と自身のピッチングを振り返りました。

3試合連続の先発で初めて完投したことについて「きょうは1人で投げきるつもりでした。8回の前に監督から継投の話がありましたが、自分から『投げます』と言いました。完投できてほっとしています」と話していました。

愛工大名電 市橋選手「常にセンター返しを意識」

4打数4安打と活躍した愛工大名電の6番、市橋昂士選手は「出てきたピッチャーに対して常にセンター返しをできるように意識しました。次の選手につなげば得点につながると打席に立ちました」と話しました。

貴重な追加点となる5回のタイムリーヒットについては「チャンスをつくる中でなかなか点数が入らなかったので、よかったなと思いました」と振り返りました。

準々決勝で対戦する宮城の仙台育英については「よいピッチャーが集まっていてロースコアの試合になると思うので、しっかり準備をしたいです」と話していました。

愛工大名電 倉野監督「その上を目指して」

愛工大名電の倉野光生監督は、2失点で完投した有馬投手について「相手に連打を許さず、点の取られ方も大量点ではなく、しかたがないものだったので、これなら自分たちが点を取って試合を優位に進められるだろうと思いました。一つ間違えれば長打のある鋭いスイングの明豊高校打線をどう封じるか、バッテリーが研究して試合に臨んだので、それがよかったと思います。守備も“前に出る”という練習でやっていることが随所にこの大舞台で出ました。内野手、外野手ともによかったです」と話しました。

そのうえで「夏に弱い名電とよく言われましたが、これでベスト8なので、その上を目指して選手たちには頑張ってほしい」と話していました。

明豊 江藤主将「コントロールミス 失点につながった」

明豊のキャプテンで先発した江藤隼希投手は「甲子園のマウンドはとても広く大きな舞台だなと思いました。ただ、自分のコントロールミスでランナーを出して失点につながったことがよくなかったです」と甲子園初登板を振り返りました。

そのうえで「ベンチに入れなかった選手も含めて支えてくれたすべての人に『今までありがとう、協力してくれてありがとう』と伝えたいです」と感謝の気持ちを話していました。

明豊 森山投手「スタミナが課題とわかった」

明豊の2年生で4回から3人目として登板した森山塁投手は「自分のせいで打たれて負けてしまったので後悔があります。もっと長く3年生と夏を過ごしたかったです。キャッチャーの鈴木蓮選手とは新チーム発足の時からバッテリーを組んでいて、甲子園の舞台でも組めたのでよかったです」と話しました。

そのうえで「だんだんと球速が落ちてしまい、スタミナが課題だとわかりました。ことしかなわなかった“日本一”を秋からの新チームでも目標に掲げて頑張っていきたいです」と話していました。

明豊 川崎監督「チーム一丸となって戦ってくれた」

明豊の川崎絢平監督は「予想以上に愛工大名電高校の先発投手のできがよくて、点を取るのが難しかったです。ただ、三振して簡単にアウトになることは少なかったので、食らいついていけていたと思います。それ以上に相手の守備の球際の強さが上回りました」と話しました。

そのうえで「キャプテンの江藤隼希投手と記録員の片岡快選手を中心に、いいチームを作ってくれました。ベンチに入っているかどうかにかかわらず、チーム一丸となって戦ってくれたことがすごくうれしいです」と話していました。

愛工大名電 “エースとしての強い責任感”

強打の明豊高校打線を2点に抑え完投した愛工大名電高校の有馬伽久投手を支えたのはエースとしての強い責任感でした。

左投げで打たせて取るピッチングが持ち味の有馬投手。

キャプテンでエース、打っては中軸を任されるなどチームを引っ張ってきました。

新型コロナウイルスの影響で満足に練習ができない中、冬からはボールの回転数や回転軸を測る最新の機器を導入。

数値を確認しながら効率的に練習を進め「ストレート、変化球ともに回転数が上がってキレが増しました」と自身の成長に手応えを感じていました。

そして迎えた甲子園。

有馬投手は1回戦は足がつるアクシデント、2回戦は終盤に打ち込まれ、いずれも途中でマウンドを降りました。

「力んで力任せに投げてしまっていました。エースらしいピッチングができませんでした」と話した有馬投手。

リベンジを胸に15日も先発し、7回まで毎回ランナーを出しながらも、140キロを超えるストレートや変化球を低めに集めて連打を許さず、明豊打線を2点に抑えます。

7回が終わり、倉野光生監督は継投を考えていたといいます。

しかし、有馬投手にはエースとしての強い責任感がありました。

試合後「きょうは1人で投げきるつもりでした。自分から『投げます』と言いました」と打ち明けた有馬投手。

志願して上がった8回と9回とマウンドもヒットを許さず完投。

チームをベスト8に導きました。

愛工大名電の夏の最高成績は、プロ野球で活躍した工藤公康さんを擁した1981年のベスト4。

エースとしてキャプテンとして有馬投手はさらに上を見据えます。

「偉大な先輩を尊敬していますが、今は超えたい気持ちが大きいです」

愛工大名電 アルプススタンドもベスト8進出を後押し

愛工大名電高校のアルプススタンドは、選手の保護者やOBたちで埋まり、チームカラーの紫色のメガホンやタオルを使って41年ぶりの夏の甲子園ベスト8進出を後押ししました。

勝利を収めると、スタンドからは選手たちに感謝を伝える拍手が沸き起こりました。

卒業生で、高校生の時には地方大会で野球部の応援をしたという愛知県春日井市の20代の男性は「うれしいです。次はベスト4やその先を目指してほしいです。これからも応援しています」と話していました。