小麦の売り渡し価格据え置きへ 食料品の価格 今後どうなる?

電気代が、値上げ。
食料品も、値上げ。
相次ぐ値上げが、暮らしを直撃しています。

こうした中、政府は輸入小麦の売り渡し価格を当面、据え置く方針を固めました。
価格の抑制策をとるのは14年ぶりです。

パンや、お好み焼きなど身近な食料品の値段は、今後どうなっていくのでしょうか。

輸入小麦「価格を据え置くための具体策を」

ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、エネルギーや食料価格の高騰が続く中、政府は15日午前、総理大臣官邸で「物価・賃金・生活総合対策本部」を開きました。

この中で岸田総理大臣は、輸入する小麦について、このままだと、10月以降、国際価格の高騰を反映して、2割程度の価格上昇が見込まれるとしたうえで、政府が製粉会社などに売り渡す価格を当面、据え置くための具体策を早急に検討するよう、農林水産省に指示しました。
価格の抑制策をとるのは14年ぶりです。

お好み焼き店「経営は楽観できない状況続く」

輸入小麦の売り渡し価格を当面、据え置く方針を固めたことについて、
大阪・天王寺区にある、お好み焼き店を取材しました。

この店では、外国産などの小麦粉を1日に6キロ程度使っていますが、仕入れ価格の高騰を受けてことし4月、一部の商品を値上げしました。

店の運営会社では、政府が小麦の売り渡し価格を据え置くことで、小麦粉の仕入れ価格の上昇に歯止めがかかることを期待しています。

ただ、全国で80店舗を運営するこの会社では、油など、ほかの原材料の価格や輸送コストも高止まりしていることから、経営としては楽観できない状況が続くとしています。

「鶴橋風月」の運営会社の五影亮介さんは「安定的な価格で小麦粉を仕入れられることは安心材料だが、円安や電気・ガス料金などコストアップの要因はある。今後の状況を見極めながら経営戦略を練りたい」と話しています。

パン販売店「付加価値ある商品で売り上げ回復を」

名古屋市天白区にあるパンの販売店では、去年12月以降、輸入の小麦粉や砂糖、それに牛乳などの原材料の仕入れ値が10%ほど上昇したため、複数回、商品の値上げを行いました。

ただ、大幅な値上げを行えば、客足が離れるおそれもあるため、コスト上昇分をすべて価格に転嫁することはできず、中には「原価割れ」の商品も出ているということです。

店によりますと、人気メニューの「カツサンド」は原材料費や電気代、人件費などを考慮すると、500円以上で売らなければ利益が出ませんが、現在は420円で販売しています。

こうしたことから、店で9月、輸入の小麦粉を国産のものに変更し、天然酵母や旬の野菜を使ったパンを売り出すなど、大幅なリニューアルを行い、多少価格が高くても付加価値のある商品で売り上げ回復をはかりたいとしています。

経営者の石原千花子さんは「値上げをすれば、翌日には別の材料の仕入れ値が上がり、いたちごっこのようです。このまま続けるよりも、うちでしか買えないものを作ったほうがいいと考え、リニューアルを決断しました」と話していました。

パンメーカー「コスト全体見ないと判断しづらい」

東京 小平市に本社を置く中堅のパンメーカー「第一屋製パン」の細貝正統社長は、15日の決算会見で「ほとんどの原料を海外に頼っているので、小麦の価格だけが下がったり据え置かれたりしたから良いという状況ではない。どういう形で政府が小麦の売り渡し価格を維持するか、それ以外の原料も値上がりしているのに対して、どういう対策が打たれるのか、コスト全体を見ないと判断しづらい」と述べました。

小麦の約9割は輸入 政府が買い付け販売価格決定

そもそも小麦の価格は、なぜ政府が決めているのか。

国内で消費される小麦のうち、およそ9割は輸入です。
政府は製粉会社などが求める小麦の銘柄を商社を通じてアメリカやカナダ、オーストラリアなどからまとめて輸入しています。このように政府が国内の企業のために、まとめて輸入する仕組みを「国家貿易制度」といいます。
政府が一括して大量に買い付けることで品質を確保しながら安定的に調達するねらいがあります。

一方、政府は商社から引き渡された外国産の小麦を買い入れて製粉会社などへ売り渡します。そして、その際の販売価格を半年ごとに見直しています。

小麦だけじゃない 燃料価格の上昇抑える対策も指示

岸田総理大臣は15日に総理大臣官邸で開いた会議で、ガソリンなどの燃料価格の上昇を抑える対策についても、具体化を西村経済産業大臣に指示したほか、内閣府に対しては、地域の実情に応じた、きめこまやかな支援策を展開させるため、地方創生臨時交付金を現在の1兆円から増額するよう指示しました。

そして、これらの追加策を9月上旬をめどに対策本部で取りまとめる考えを示しました。
岸田総理大臣は「パンや麺類などの製品価格の高騰は切実だ。経済は生き物であり、状況に応じて前例にとらわれることなく、切れ目なく大胆な対策を講じる。物価上昇が国民生活に大きな影響を与えている中、持続的な賃上げが重要だ。下請け、中小企業へのしわ寄せ解消に向けた、価格転嫁対策の強化を進めてほしい」と述べました。

野中農林水産副大臣 「早急に検討したい」

政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」に出席した野中農林水産副大臣は記者団に対し「食品の価格高騰に関する対策について、輸入小麦の価格が上昇してしまうということもあるので、10月以降の売り渡し価格を据え置くよう総理から指示があった。このほか飼料なども絡めて価格上昇を抑えるよう指示があったので、早急に農林水産省として検討して参りたい」と述べました。

西村経済産業相 「政府一体となり負担軽減 図りたい」

西村経済産業大臣は「物価・賃金・生活総合対策本部」のあと、記者団の取材に応じ、岸田総理大臣からガソリンなどの燃料価格の負担軽減について、ことし10月以降の対策を具体化するよう指示を受けたと述べました。

そのうえで西村大臣は、ガソリンなどの価格の上昇を抑えるために、ことし9月までを期限に石油元売り会社に支給している補助金について「これまでの実施状況も踏まえつつということだったので、よく点検をして、どういった形の対策がいいのか検討を急ぎたい。政府一体となって負担軽減を図っていきたい」と述べ、10月以降の負担軽減策の検討を進める考えを示しました。