高校野球 宮城 仙台育英が茨城 明秀日立に勝ちベスト8一番乗り

夏の全国高校野球、大会10日目の第1試合は、宮城の仙台育英高校が茨城の明秀日立高校に5対4で勝ち、ベスト8一番乗りを決めました。

仙台育英は2点を追う4回、1アウト一塁三塁として代打の岩崎生弥選手がセンターにタイムリーヒットを打ち、2対3と1点差に詰め寄りました。

その後、再び2点差とされますが、7回、1アウト満塁から2つの押し出しのフォアボールで同点としたほか、途中出場の岩崎選手の犠牲フライで5対4と勝ち越しに成功しました。

投げては7回から4人目で登板した2年生の高橋煌稀投手が3イニングを投げて明秀日立打線を2安打無失点に抑え、仙台育英が5対4で接戦を制し、ベスト8一番乗りで準々決勝に進みました。

夏の甲子園初出場の明秀日立は、2回に先制すると、4回には7番の武田一溪選手がレフトにホームランを打ち、リードを広げました。

背番号1の猪俣駿太投手とキャプテンで背番号9の石川ケニー選手が小刻みにマウンドに立って逃げきりをはかりましたが、逆転を許し、初戦に続く勝利はなりませんでした。

仙台育英 岩崎選手「“気持ち悪い”バッティングできた」

仙台育英の岩崎生弥選手は、4回に代打で出場してタイムリーヒットを打ち、7回には犠牲フライで決勝点をたたき出しました。

岩崎選手は4回のタイムリーについて「いつでも出られる準備はしていました。須江航監督から、いつも言われている、詰まっても外野の前に落とす“気持ち悪い”バッティングができました」と話しました。

また、7回の犠牲フライについては「1点がほしい場面だったので、犠牲フライを打つために、高めをねらっていました。練習でやってきたことが結果につながったと思います」と充実した表情で話していました。

仙台育英 古川投手「1戦必勝でしっかり戦っていく」

2人目としてマウンドに上がった仙台育英の古川翼投手は「きょうも厳しい試合になると思って、チーム全員で気合をいれて臨んだので、勝つことができてほっとしています。相手打線も強力で警戒していたのですが、自分の思いどおりの投球ができませんでした」と試合を振り返りました。

また、次の試合に向けては「ベスト8以上の試合が本当の甲子園だと思います。これから厳しい試合が続くと思いますが、1戦必勝でしっかり戦っていこうと思います」と話していました。

仙台育英 須江監督「よくやってくれた」

仙台育英の須江航監督は「相手が強かったので、ちょっとした運の差でした。ゲームプランどおりで、離されても1点2点だったので、つないでいくという気持ちでよくやってくれました」と試合を振り返りました。

また、4人の投手リレーについては「湯田投手は、初回を0点で抑えましたし、古川投手は失点しながらも崩れないで投げてくれたことが勝因だと思います。あれだけの打線相手に、それぞれがよくやってくれました」と話しました。

明秀日立 石川主将「気持ちが強くなりすぎた結果」

投打で活躍した明秀日立のキャプテンの石川ケニー選手は「前日に監督に『甲子園で明秀の打撃ができていない。気楽にのびのびと振っていけ』と言われました。甲子園で試合した中では、きょうが一番振れていたのではないかと思います」と振り返りました。

石川選手は投手として先発し、その後、ライトに交代したあと、ピンチの場面で再びマウンドにあがるなど、合わせて3回登板したことについて「ロースコアになると想定できていました。猪俣駿太投手と自分は2人で一つというふうに、いつも監督が言っているので、いつでもいける準備はしていました。投げにくさや、つらさはなかったです。猪俣と自分で抑えるという気持ちで、特にピンチの場面でマウンドに上がった時は、なんとか抑えてやろうと思っていました」と振り返りました。

そのうえで、7回に1アウト満塁のピンチで、押し出しのフォアボールで1点失点したことについて「マウンドに上がった直後の先頭は抑えられましたが、そのあと、抑えてやろうという気持ちが強くなりすぎて、ああいう結果になっていまいました」と話しました。

明秀日立 金沢監督「打つべき手は全部打った 悔いはない」

明秀日立の金沢成奉監督は「打つべき手は全部打って負けました。やりきった感があります。こちらは2人の投手でつなげなくてはならないが、向こうは力を蓄えた状態で、ピッチャーが次から次に4人、5人出てくる。そういうところが差だったと思いますが、選手たちは力を出し切ったと思います」と試合を振り返りました。

そして、2人の投手を小刻みに継投させたことについて「そのまま投げさせて点を取られるよりは、打つべき手を打って点を取られるほうがいいと思い、監督である自分自身の感性を大事にしてやりました。試合前から想定していましたが、ここまで小刻みになるとは思っていませんでした。継投を小刻みにせざるを得なかったのが、負けた要因になったと思いますが、悔いはありません」と話しました。

また、7回に石川ケニー投手が1アウト満塁のピンチで、押し出しのフォアボールで1点を失ったあと、交代した猪俣駿太投手が、さらに押し出しのフォアボールで同点とされた場面について「自分の中で逃げたら負けだと思って、選手を信じてやりましたが、私が予想している以上に選手には大きなプレッシャーがあったのかなと思います」と悔しそうな表情で話しました。

「Everything’s all up to me」チームスローガンどおり

接戦を制して、準々決勝に進んだ仙台育英高校。

この試合で、代打で登場し、タイムリーヒットと勝ち越しの犠牲フライを打った3年生の岩崎生弥選手は、去年患った病気の影響で、宮城大会はベンチ外でしたが、甲子園でベンチ入りを果たしました。

岩崎選手は中学時代、大阪桐蔭高校のキャプテン 星子天真選手や、滋賀の近江高校のエース 山田陽翔投手らと、日本代表として世界大会で優勝した経験があります。

岩崎選手は去年6月、逆流性食道炎となり、階段を上り下りするのもつらい状態となりました。

その後、チームに復帰したものの体力が戻らず、宮城大会ではベンチ入りはなりませんでしたが、甲子園では登録メンバーに入り、初戦の鳥取商業との試合では、5点リードの8回、ノーアウト二塁三塁の場面で、代打で出場し、2点タイムリーヒットを打って勝利に貢献しました。

15日の試合では、2点を追う4回の1アウト一塁三塁の場面で、またも代打で登場し、2試合連続となるタイムリーヒットを打ったほか、7回には、同点としたあとの1アウト満塁でセンターに勝ち越しの犠牲フライを打って、これが決勝点となりました。

試合後、岩崎選手は「いつでも出られる準備をしてきたことが、きょうの結果につながったと思います。甲子園で活躍できているのは家族やチームメートが支えてくれたことが大きいので次も勝ちたいです」と話しました。

須江航監督は、岩崎選手について「病気で長期間、離脱していたのに勝負強さには頭が下がります。いろいろなものを経て、打席に心や技術の安定感があり、見ていて涙が出ちゃうくらいです」と評価していました。

チームには、須江監督が授けたスローガンがあります。

それは「Everything’s all up to me」。

「すべては自分次第」という意味で、どんな苦難にも負けず、自分ができることを精いっぱい探して、やりきってほしいという思いが込められています。

このスローガンどおり病気を克服し、任された代打というポジションで結果を残している岩崎選手。

東北勢初の、夏の甲子園制覇に向け、これからも”できる準備”をして出番を待ちます。