【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

クリミアのロシア軍基地爆発 “ウクライナが関与”米有力紙

ロシアが8年前に一方的に併合した、ウクライナ南部クリミア半島では、西部にあるロシア軍の基地で、9日、大規模な爆発がありました。

ロシア国防省は、飛行場にある航空機の弾薬庫が爆発したと発表し、攻撃を受けたものではないと主張しています。

一方、ウクライナ側は、関与について公式に言及していませんが、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは10日、ウクライナ政府当局者の話として攻撃はウクライナの特殊部隊が行ったと伝えました。

また、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ政府高官の話として「ウクライナ政府に忠誠を尽くすパルチザン部隊が関与した」とするなど、ウクライナ側が攻撃に関与したという見方を伝えています。

ロシア ドネツク州の捕虜収容施設の現場をメディアに公開

先月、ウクライナ東部ドネツク州ではロシア側が管理する捕虜の収容施設が攻撃を受け、50人以上が死亡したとされています。

これについてウクライナとロシアの双方が相手側による攻撃だったと非難し合っている問題で、ロシア側は現場をメディアに公開しました。

10日に公開された収容施設を撮影した映像には、屋根に穴があいてあらわになった骨組みや、焼け焦げた大量のベッドなどがうつっています。

集まったメディアに対し、親ロシア派の幹部は「ウクライナ側は捕虜たちが上官からの命令で行った犯罪について話さないように、その一部を殺害し、残った者に恐怖を与えた」と述べ、攻撃はウクライナ側によるものだったとする主張を繰り返しました。

この施設をめぐり、ウクライナ側は、収容されていたのは東部マリウポリで最後の激戦地となったアゾフスターリ製鉄所から連れてこられた捕虜たちだとみて「ロシア側の戦争犯罪だ」と強く非難しているほか、国連が調査団の立ち上げを決めています。

人工衛星運用の米企業 大規模爆発のロシア軍基地の衛星画像公開

人工衛星を運用するアメリカの企業、プラネット社は、9日に大規模な爆発があったクリミア半島にあるロシア軍の基地の衛星画像を公開しました。

撮影された衛星画像を爆発の前後で比べて見ると、主要な滑走路は、攻撃を受けたような痕跡はありませんが、その周辺の地面が黒く焼け焦げたり陥没したりしている様子や、駐機してあったとみられる複数の航空機が損傷している様子が確認できます。

“住宅地がロシア軍の攻撃を受け市民13人死亡”地元州知事

ウクライナ東部ドニプロペトロウシク州では、ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所の近くを流れる川の対岸にある2つの町の住宅地が、ロシア軍によるロケット弾の攻撃を受け、13人の市民が死亡したと、10日、地元の州知事が明らかにしました。

ウクライナ軍 ロシア軍の補給路断とうと攻勢続ける

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で、ドニエプル川にかかる要衝の橋を攻撃して通行できなくしたと発表し、ロシア軍の補給路を断とうと攻勢を続けています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日公開した動画の中で「ウクライナはドニプロペトロウシク州での攻撃に反応しないわけがない」としたうえで「占領者たちにより損失を与えるほど、私たちの国はより早く解放され、ウクライナの安全を保つことができる」と述べ、徹底して抵抗する姿勢を重ねて強調しています。

ウクライナ 原発公社総裁“ロシアはクリミアへ送電を計画”

ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握するヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所では5日以降、砲撃が相次ぎ、ウクライナ、ロシア双方が相手による攻撃だと主張しています。

ウクライナのメディアによりますと、ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムのコティン総裁は9日、「3本の送電線が損傷した」と述べるなど、危機的な状況にあると訴えました。

そして、コティン総裁は、ロシア軍が原発を攻撃したとしてその目的はこの原発から8年前に(2014年)ロシアが一方的に併合した南部クリミアへの電力の供給を計画していて、まずは原発の送電線を破壊して現在のウクライナの送電網を遮断しようとしているという見方を示しました。

原発を「核の盾」として使用と指摘も

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ロシア軍は『核の盾』として原発を利用している。原子力事故に対する欧米の恐怖心をあおり、ウクライナへの軍事支援を行う意欲を低下させようとしている」とも指摘しています。

一方、G7=主要7か国の外相は10日、「ウクライナの原子力施設をロシア軍が掌握し、施設の安全に深刻な脅威をもたらし、原発事故のリスクを著しく高めウクライナや周辺国、そして国際社会を危険にさらしていることを深く懸念している」とする声明を発表し、ロシアに対して原発をただちにウクライナ側に戻すよう求めました。

またIAEA=国際原子力機関の専門家チームが現地に入ることが必要だと訴えています。

東部ドネツク州知事「ロシアの砲撃で少なくとも6人死亡」

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は10日、SNSで「ロシアの砲撃により、少なくとも6人が死亡し、3人が負傷した」と明らかにしました。

砲撃を受けたのは、バフムトにある12棟の住宅で、このうち4棟で火事が起きたということです。

キリレンコ知事が投稿した写真には、消防隊員が消火活動に当たっていたり、兵器とみられるものが地面に突き刺さっていたりする様子が映っています。

ロシア産原油 供給再開の見通し

ロシア産の原油をヨーロッパに輸送するためのパイプラインを運営するロシア国営の「トランスネフチ」は、ウクライナのパイプラインを通じたハンガリーとチェコそれにスロバキアの3か国への原油の供給が8月4日から停止されていると明らかにしていましたが、供給は再開される見通しとなりました。

原油の輸送停止について、「トランスネフチ」は、ウクライナ領内でパイプラインを運営するウクライナの会社にパイプラインの通過使用料を支払おうとしたものの、欧米の制裁によって送金ができなかったためだと主張していました。

これについて、スロバキアの石油会社によりますと協議の結果、送金の問題を解決するため、スロバキアとハンガリーの石油会社がウクライナ側に使用料を支払うことで合意したということです。

ロシアの国営メディアなどは、これによってスロバキアへの原油の供給が再開され、ハンガリーにも近く原油が届く見通しだと伝えています。

反戦訴えたロシア国営テレビ元職員 起訴される

ことし3月に、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中、スタジオに入って反戦を訴えた元職員のマリーナ・オフシャンニコワさんが、10日、ロシア軍に対するうその情報を広めたとして起訴されました。

ロシアメディアは、弁護士の話として、オフシャンニコワさんが7月、ロシア大統領府があるモスクワのクレムリンの近くで、プーチン大統領を「殺人者」と批判する紙を持って抗議する写真をSNSに掲載していたなどとして起訴され、最大で懲役または禁錮10年が言い渡される可能性があると伝えています。

これに先立ち、オフシャンニコワさんは、みずからのSNSに「私がまだ寝ていたけさ6時、警察などが家宅捜索に来た。小さな娘が怖がっている。いま私は連れて行かれている」などと投稿していました。

オフシャンニコワさんは、ことし3月にも、ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領を批判し、抗議活動を呼びかけるビデオメッセージをSNSに投稿したことを巡り、罰金刑を受けていましたが、その後も反戦を訴える活動を続けていました。