IAEA ウクライナ原発への軍事行動中止求める 砲撃相次ぎ損傷も

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部の原子力発電所で砲撃が相次ぐ中、IAEA=国際原子力機関は、使用済み核燃料の貯蔵施設がある一帯の建物が損傷したと連絡を受けたとして、改めて原発への軍事行動をやめるよう求めています。

ウクライナ南東部にあり、ロシア軍が掌握するヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所では5日以降、砲撃が相次ぎ、ウクライナ、ロシア双方が相手による攻撃だと主張しています。

これについて、IAEA=国際原子力機関は9日、声明を発表し、ウクライナ側から、6日の砲撃で使用済み核燃料の貯蔵施設がある一帯の建物の壁や屋根などが損傷したといった連絡を受けたことを明らかにしました。

IAEAの専門家の評価では、原発の安全が直ちに脅かされる状況ではないとしながらも、グロッシ事務局長は改めて重大な懸念を示し、原発への軍事行動をやめるよう求めています。

一方、ウクライナでは、ロシア軍が撤退した地域に残された地雷や不発弾によって市民の被害が相次いでいるほか、農業の再開や生活再建などが妨げられています。

これに対し、アメリカ国務省は9日、地雷や不発弾の除去のため8900万ドル、日本円にしておよそ120億円相当の支援を行うと発表しました。

除去のための技術指導や装備の提供を行い、ウクライナでおよそ100の専門チームが作業にあたれるようにするということです。