米中間選挙まで3か月 与党・民主党の苦戦を予想する見方広がる

アメリカのバイデン政権に対する有権者の審判の場ともなる中間選挙まで今月8日で3か月となります。記録的なインフレなどを背景にバイデン大統領の支持率は低迷していて、与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がっています。

アメリカの中間選挙は4年ごとの大統領選挙の中間の年に行われる連邦議会などの選挙で、大統領の政権運営に対して有権者が審判を下す重要な機会とも位置づけられています。

ことしは11月8日に行われ、連邦議会の選挙では上院の100議席のうち35議席と下院の435議席すべてが改選される予定で、現在、上下両院ともに主導権を握る与党・民主党が議席を維持できるかが最大の焦点です。

ただ、バイデン大統領の支持率は今月4日時点の各種世論調査の平均で39.6%と、アメリカ国内で続く記録的なインフレなどを背景に低迷しています。

中間選挙は歴史的に政権与党に厳しい結果になることが多く、今回も与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がっています。

今月5日時点での政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめでは、議会下院では野党・共和党が優勢で過半数の議席を確保する勢いとなっているほか、上院では激しい接戦となることが予想されています。

今回の中間選挙で共和党に多数派を奪われればバイデン大統領の政権運営は一層厳しくなることが予想され、2年後の大統領選挙を占ううえでも重要な節目になるとして注目されています。

「『インフレと生活費』が重要」96%に上る

CNNテレビが先月22日から24日にかけて行った世論調査では、2024年の大統領選挙について、民主党支持者の75%がバイデン大統領以外の人物に候補者になってほしいと回答しています。

ことし1月から2月にかけて行われた世論調査では同様の回答は51%で、この半年で24ポイントも増えています。

バイデン大統領に対する厳しい評価の背景の1つにあるとみられるのが記録的なインフレです。

アメリカで先月発表された消費者物価指数はおよそ40年半ぶりの水準に達しています。

有力紙、ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が先月5日から7日にかけて行った別の世論調査では、次の中間選挙の投票において「インフレと生活費」が「とても重要」、「ある程度重要」と回答した人を合わせると96%に上り、国民が経済の状況に高い関心を寄せていることがうかがえます。

一方「国の経済や経済状況についてどう評価するか」という質問に「とてもよい」と「よい」と回答した人の割合は合わせて10%にとどまり、国の経済をめぐり厳しい評価となっています。

民主党支持者「共和党支持に傾いている」

アメリカでは物価の高騰が市民生活を直撃し、国民の不満がバイデン政権に向かっていて、特定の支持政党がないいわゆる無党派層や民主党支持層の間でも支持が揺らいでいます。

西部アリゾナ州のスーパーに買い物にきていた特定の支持政党はないという男性は「あらゆるものの値段が2倍近くになっており、生活に影響している。バイデン政権は私のような人たちを気にかけていない。ことしの中間選挙では絶対に共和党に投票する」と話していました。

アリゾナ州フェニックスでパーティーやイベント向けに料理の宅配サービスを行っているリカルド・アギーレさんは、食材費やガソリン価格などの上昇を受けてことしに入ってから料理の値段を平均で16%程度引き上げましたが、今、客からの注文の減少に直面しています。

物価の高騰に合わせるように注文を受ける回数は減り続け、この3か月間の売り上げは40%程度、減少したということで、「すべてのものが高くなり、みんなお金をあまり使わなくなった。われわれも価格を調整しなければならないが、客からは『なぜこんなに高いんだ』と言われる」と話しました。

十分な売り上げがないなか、アギーレさんは必要経費の支払いのため貯金を取り崩しながら事業を継続していて、政府からは十分な援助が受けられていないと考えています。

アギーレさんはここ数年、民主党を支持してきましたが、今回の中間選挙では共和党を支持することも検討していて、それぞれの政党の政策を見極めて判断したいとしています。

アギーレさんは「インフレをどうするつもりなのか、どうやって解決するつもりなのかがいちばんの関心事だ。まだ決められていないが、共和党のほうが少しだけ多くの解決策を持っていると思うので共和党支持に傾いている」と話していました。

トランプ前大統領「この国を取り戻す」

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めているのが共和党のトランプ前大統領です。

自身の主張に同調する中間選挙の候補者への支持を次々と表明し、全米各地で演説を行って存在感をアピールしています。

先月、南部フロリダ州で数千人の共和党支持者を前に演説したトランプ氏は、インフレの現状に触れながら「今、私たちの国は衰退し、失敗している。われわれはこの国をすぐに取り戻す」と訴えました。

そしておととしの大統領選挙で大規模な不正が行われたという主張を繰り返し、「選挙は盗まれた。私たちはもう一度やらなければならないかもしれない」と述べて2024年の大統領選挙への立候補に意欲をにじませました。

ただ、中間選挙の機会を通じて求心力の維持を目指すトランプ氏に対して、足元では「トランプ離れ」とも言える状況が指摘されています。

ロイター通信などが先月下旬に行った世論調査によりますと、「トランプ氏は大統領選挙に立候補すべきではない」という問いに、「強く賛成する」あるいは「ある程度、賛成する」と答えた人は共和党支持層の間で6月の26%から32%に増加していました。

これについて共和党系の政治コンサルタントのジョン・フィアリー氏は「トランプ氏は2年前の選挙についてばかり語り、将来何をしたいのか語らない。人々は過去の話にうんざりしている。この感情は数字では表せないがかなり多いと思う」と指摘しました。

東部メリーランド州に住む共和党支持者の男性は「トランプ氏はいいこともたくさんしたが、悪いこともたくさんした。彼は自分の過ちを認めていない」と述べて、現時点でトランプ氏を支持できないという考えを示していました。

共和党内では、中間選挙でトランプ氏が前面に出過ぎると無党派層などを取り込むうえでマイナスに働く可能性があるという懸念も出ていて、フィアリー氏は「トランプ氏に注目が集まる現状は共和党にとって必ずしもいいことではない。ただ、トランプ氏はそのようなことは気にしない」と述べて、トランプ氏の動向が今後の情勢を左右する要素になるという見方を示しました。

共和党内ではトランプ氏から距離をとる動きを

共和党内では次の大統領候補と目される政治家たちの動きが活発化していて、2年後の大統領選挙を見据えたせめぎ合いが早くも始まっています。

このうち、複数の世論調査で共和党の大統領候補としてトランプ氏に次いで2番手につけているのが南部フロリダ州のデサンティス知事です。

新型コロナウイルスの対応で学校でのマスク着用の義務化を禁止し、経済回復を目指して州内の規制をいち早く解除するなど、保守層からの支持を意識した政策を打ち出し、注目が集まっています。

こうした政策もあり、トランプ氏の支持者を取り込みながら支持を広げているとみられ、東部ニューハンプシャー州で6月に行われた世論調査では、デサンティス氏が次の共和党の大統領候補としてトランプ氏を上回りました。

トランプ氏支持からデサンティス氏支持に切り替えたという人たちからは「トランプ氏はすばらしいリーダーだったが私たちには何らかの変化が必要だ」とか「デサンティス氏は分断をうむリーダーではなく、人々とうまくやるだろう」といった声が聞かれました。

デサンティス氏は4年前の中間選挙ではトランプ氏の全面支援を受けて知事選挙に臨み「ミニ・トランプ」とも言われましたが、今回の選挙ではトランプ氏に支持を要請せず、距離をとる動きを見せています。

また、トランプ政権で副大統領を務めたマイク・ペンス氏もトランプ氏と距離をとりながら活動を活発化させています。

ペンス氏は中間選挙の共和党の候補者選びでトランプ氏が支持する候補とは別の候補を支援するなど一線を画す動きを見せていて、先月、首都ワシントンで行った演説では「一部の人々は過去に焦点を当てることを選ぶかもしれないが、選挙は未来に関わるものだ。保守派がアメリカを取り戻すには未来に目を向けなければならない」と訴えました。

有力紙、ニューヨーク・タイムズなどが先月はじめに行った世論調査では、大統領選挙に向けた共和党の候補者選びでトランプ氏に投票するという人が最も多く49%、デサンティス氏が25%、ペンス氏が6%という結果になっています。

共和党関係者は中間選挙の結果は次の大統領選挙に向けたそれぞれのリーダーの求心力に大きな影響を及ぼすことになると指摘しています。